6月10日(水)17時半から18時頃にかけて、JAL126便が2回連続ゴーアラウンド(着陸やり直し)が行われた。
2回続けてRNAV進入方式による降下角3.45度の着陸がかなわず、3回目に従来の進入方式(ILS方式)による降下角3.0度にて無事着陸した。
JAL126便、都心上空を3周(2回連続ゴーアラウンド)
2回連続ゴーアラウンド(着陸のやり直し)が行われたのは、JAL126便(伊丹⇒羽田)ボーイング787-8 Dreamliner。
C滑走路(東側)への着陸を試みること2回。
けっきょく約40分を費やして都心上空を3周することになった機内(総座席数291席)には何人の乗客がいたのだろか……。
flightradar24にピンク文字を加筆
※200倍速
JAL126便の降下角を可視化
なぜ、JAL126便のパイロットはゴーアラウンドを繰り返したのか?
従来の降下角3.0度よりも急な3.45度にうまく対応できなかったのか?
同便は、新宿駅上空付近で原則通りの3.45度の急角度で着陸体勢に入ったあと、品川駅上空の手前から、より緩やかな3.0度に切り替えている。その後降下角が下がりすぎてゴーアラウンド1回目(次図)。
flightradar24のデータを元に筆者作成(以下同じ)
再び降下角3.45度から3.0度に切り替えて進入するが、着陸できずゴーアラウンド2回目(次図)。
3回目は、精密な誘導電波を利用する従来の進入方式(ILS方式)により降下角3.0度にて無事着陸した(次図)。
JAL126便のせいで新ルート運用を30分早く打ち切った!?
国交省が運用しているサイト「羽田空港飛行コース」に公開されている「過去の運用状況」をひも解くと、JAL126便の1回目のゴーアラウンドの時刻(17:27)はまだRNAV進入方式で管制されていたが、2回目のゴーアラウンドの時刻(17:42)には既に従来運用(海から入って海に出る)に切り替わっていたことが確認できる。
- 17:00
RNAV RWY16L(C滑走路到着ルート)
RNAV RWY16R(A滑走路到着ルート) - 17:30
LDA W RWY22/LDA W RWY23 LDG RWY 22/23
本来であれば18時までRNAV方式で運用する予定であったのが、着陸の下手な(慎重な?)パイロットのせいで30分早く打ち切ったということではないのか。
なぜそのような推測が可能なのかといえば、同機がゴーアラウンドを繰り返していたころ(17:27~18:03)とその後の18:30の羽田空港の気象は、南南西の風、風速10m/sで変化していないからである(次表)。
2回連続で着陸やり直しとなったのは、羽田新ルートで新たに採用された人工衛星を利用するRNAV進入方式。ただでさえ、降下角3.45度での着陸の難度の高さが指摘されているのに、外気温度が40度近くまで上昇する夏場の降下角は3.8度近くになりさらに着陸の難度が上がる。それでも、赤羽大臣は「万全の安全の確保に努力してまいりたい」といって羽田新ルートを強行し続けている。
夏になるとゴーアラウンドが増えるのか……。
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