都議会の「20年第2回定例会」本会議の代表質問（6月2日）で里吉ゆみ議員（共産党）から、羽田新ルートに係る質疑応答があった。
録画映像をもとに、全文テキスト化（約1千200文字）しておいた。
※時間のない方は「質疑応答のポイント」と「雑感」をお読みいただければと。
里吉ゆみ議員（共産）
里吉ゆみ 議員（共産、都議2期、帝京大卒、元世田谷区議、53歳）
里吉：新飛行ルートは容認できないと表明すべき
知事は新型コロナ感染症から都民の命を守ると繰り返し発言していますが、都民の命と健康、暮らしを脅かす羽田新飛行ルートの危険性の認識は示したことがありません。
国が騒音低減策だとして導入した急角度で着陸する進入方法は実機飛行の結果、ほとんど効果がないと報道されています。住民からはコロナ対策で換気のために窓を開けているので、騒音が酷く我慢できないと声が上がるなど飛行機の騒音被害は深刻です。
国の調査によれば、4月の訪日客は前年度比99.9%も減っています。それでも新飛行ルートを飛んでいることについて、国交大臣は国会で騒音測定のためと答弁しました。驚くべき答弁です。
全く必要もないのに都民を苦しめてることを知事はどう考えているのですか。知事は騒音や落下物など都民の命と健康、暮らしを脅かす新飛行ルートは容認できないと表明すべきです。答弁を求めます。
知事：引き続き丁寧な情報提供や・・・
小池百合子 都知事（1期、カイロ大卒、67歳）
羽田空港の新飛行経路の運用についてでございます。
現在、新型コロナウイルス感染症の影響により、羽田空港における運行便が大幅に削減されていることは承知をいたしております。
将来にわたって東京が国際競争力を持って持続的な発展を続けていくためには国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることは不可欠でございます。
都と致しましては新飛行経路の導入にあたって、これまで国に対し、騒音影響の軽減をはじめ、様々な対策を求めてまいりました。
引き続き丁寧な情報提供や騒音・安全対策の着実な実施を求めてまいります。
技監：引き続き（略）丁寧な情報提供や・・・
佐藤伸朗 東京都技監（東大工学部都市工学科卒、60歳 ）
羽田空港の新飛行経路についてでございますが、東京が活力を持って将来への発展を続けていくためには国内外に豊富なネットワークを有する羽田空港の機能強化を図ることが不可欠でございます。
新飛行経路の導入にあたり、これまで都は、国に対して丁寧な情報提供や騒音影響の軽減、安全管理の徹底を求めてもありました。それを踏まえて国は6期に渡る住民説明会の実施や低騒音機の導入促進を図るための着陸料の見直し、航空機のチェック体制の強化、航空会社への落下物防止対策の義務づけなど、様々な対策を実施して運用を開始いたしました。
都としては引き続き国に対し、都民の理解がさらに深まるよう、丁寧な情報提供や騒音、安全対策の着実な実施を求めてまいります。
雑感（プロレスのような質疑応答…）
里吉ゆみ議員（共産）から「新飛行ルートは容認できないと表明すべき」との訴えに対して、「丁寧な情報提供」を繰り返す小池都知事と東京都技監。毎回、結果が見えているという意味では、共産党議員と小池都知事・佐藤技監との間で繰り広げられるのはプロレスのような質疑応答である。
そもそも事前に公開されている「質問項目」では、里吉議員が羽田新ルートを取り上げているのかさえ分からない。
1 新型コロナ感染症対策について
2 知事の基本姿勢について
録画映像の冒頭を視聴して初めて、質問項目の最後に「羽田新ルートについて」があることに気づかされる（次図）。
羽田新ルート問題は、同都議にとってこの程度の扱いなのか。これでは「都議会だより」の肥やしにしかならないのではないか。
とはいったものの、共産都議団の皆さんには気を悪くしないでいただきたい。まだ、羽田新ルート問題を取り上げただけ良としよう。今回の質問に立った都議19名（代表質問5名、一般質問14名）のうち、羽田新ルートに係る質問をしたのは里吉議員（共産）ただ一人なのだから。
※もし里吉議員（共産）以外にも「その他」のなかで羽田新ルート問題を取り上げていたとしても、そのような軽い取り扱いでは、外部からは容易に認識できない。
「令和2年第2回定例会 質問項目」を見る限り、都民ファーストは8名（質問時間146分）も登壇しながら（次図）、誰も羽田新ルートを取り上げていない。完全に自分ファーストな議員集団となっている。
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