菅官房長官は3月11日の午後の記者会見で、羽田新ルートについて、新型コロナの影響で国際線、国内線の減便が相次いでいるにも関わらず、予定通り、今月末から実施する予定だと答えた。
記者:飛行実験で騒音を低減する効果?
朝日新聞の阿部です。
話題変わりまして、羽田空港の新ルートについてお伺いします。
今月末から新ルートの運用が始まる予定ですが、通常よりも降下する角度が大きいということで、航空関係者から安全を懸念する指摘が出てます。
騒音対策として、このような方式にしているということですけども、これまでの飛行実験で騒音を低減する効果というものは認められたんでしょうか。
菅:国交省にて精査をしているところ
出典:首相官邸ホームページ
これについては現在、実地の飛行を行い、その結果を国交省にて精査をしているところでありますが、基本的には角度を大きくすることにより騒音が軽減されるということから、そうした運用を予定している、ということであります。
記者:新型コロナの影響、運用開始を延期?
再び、朝日新聞の阿部です。
この新ルートによって羽田空港の発着枠を増やすことができるということですけども、新型コロナの影響で、国際線ですとか国内線の減便も相次いでいます。
航空関係者や地元住民からも懸念や不安の声が出ている状態ということで、問題を洗い出す観点から、運用開始を延期するというようなお考えはないでしょうか。
菅:予定通り、今月末から実施する予定
まずは羽田空港の新ルート運用の具体内容については、まずは地元住民の皆さんには国交省から平成27年以来、それぞれの地域で少なくとも6回にわたる説明会を行っており、また実際に運航する航空会社についても各社に説明会を行っており、予定通り、今月末から実施する予定だと、こういうふうに聞いています。
雑感(ボーっと聞いていると…)
菅官房長官の回答は、いつものようにキッパリと強く言い切るので、ボーっと聞いていて「そんなもんかな」と納得させられてしまっていることはないだろうか。
文章にしてみると、その回答の抜け目のなさが見えてくる。
記者の質問「これまでの飛行実験で騒音を低減する効果というものは認められたんでしょうか」に対して、菅官房長官は次のように答えている。
国交省にて精査をしているところでありますが、基本的には角度を大きくすることにより騒音が軽減されるということから、そうした運用を予定している(略)
今一度よく読んでほしい。
記者が、降下角引き上げは騒音低減効果があるのか、と聞いているのに、「基本的には角度を大きくすることにより騒音が軽減される」と、一般論を述べているに過ぎない。
「国交省にて精査をしているところであります」で止めておかないで、「基本的に・・・」を付け加えたことで、あたかも騒音が軽減されたように誤認させる効果を生み出している。
降下角を引き上げることは、騒音低減に効果がないばかりか、尻餅事故などの危険性が増すということで、国際航空運送協会IATAが国交省を訪れて説明したばかりではないか。
ボーっと聞いていると、チコちゃんに叱られるぞ。
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