羽田新ルートの運用開始(3月29日)に向けて、実際に乗客を乗せた旅客機を使った飛行試験(実機飛行確認)が1月30日から3月11日まで、うち7日間の予定で実施されている。
降下角が通常よりも急であることを理由に、デルタ航空は「実機飛行確認」での運用を見合わせているという新聞報道があった。
詳しくは「実機飛行確認、デルタとエアカナダの対応は違う!? 」参照。
デルタ航空が「通常よりも急角度」だと難色を示している到着ルートを調べてみた。
※2月20日更新
デルタ航空が「難色を示している到着ルート」
まずは、デルタ航空が「難色を示している到着ルート」を航空路誌(AIP:aeronautical information publication)で確認してみよう。
羽田新ルートのAIPは、国交省が運営しているサイト「AIS JAPAN」で無料閲覧することができる(ただし、個人情報登録要)。具体的な閲覧方法については、「ある航空管制官のブログ/飛行経路が載った航空地図はAIS JAPANで簡単に手に入ります」参照。
※注意点としては、英語モードにしないと、航空図(aeronautical chart)のリンクが表示されないこと。
デルタ航空が「難色を示している到着ルート」は、航空路誌(AIP)では、「Instrument Approach Chart (RNAV(GNSS) RWY16R)」となっている(次図)。
通過ルートがイメージしやすいよう、上図中段に掲載されている降下ルート断面図に地名を追記(ピンク色)しておいた。中野駅あたりから降下角3.45度に設定されていることが確認できる(次図)。
※横軸は滑走路北端までの距離、縦軸は高さ(いずれもフィート表示)。アルファベットは飛行機が通過するウェイポイント(地点名)。
デルタ航空DL7便の飛行ルートを可視化
Flightradar24のデータをひも解くと、実施確認試験の2日目(2月3日)に、デルタ航空が運用しているDL7便(ロサンゼルス⇒羽田)が都心上空を飛んでいたことが確認できる(次図)。
デルタ航空DL7便の降下角を推定してみた
上記のデータをもとに、初台駅(渋谷)⇒五反田駅(品川)⇒羽田空港手前の降下角を計算した結果を次表に示す。
各地点間の降下角は次のようになった。
- 初台駅(渋谷)⇒五反田駅(品川):3.37度
- 五反田駅(品川)⇒羽田空港手前:3.15度
※2点間の距離測定は、グーグルマップの機能を利用した。
【追記】デルタ航空DL7便は「悪天時」飛行ルートだった
(※2月19日追記)
Flightradar24の詳細な飛行データを入手できるようになったので、デルタ航空DL7便の飛行履歴(飛行高度と座標)から飛行高度と降下角を試算した結果を次図に示す。
(※2月20日追記)
国交省が騒音測定結果の詳細として、後日公表した「2月3日(月)北風/南風運用測定結果(速報値/詳細)」を見ると、「2月3日は南風悪天運用で実施」と記されていることに気づく(次図)。
南風時に実施された7回の実機飛行確認のうち、2月3日だけは「悪天時」ルートだったのである(あとの6回は「好天時」ルートだった)。
つまり、「好天時」の場合には、降下角3.5度の引き上げが行われるが、「悪天時」の場合には飛行高度が低く、降下角3.5度の引き上げは行われないのである。
あわせて読みたい