首都圏新築マンション市場は、高くて売れない状況が継続している(首都圏新築マンション市場動向(19年2月) )。
では、ファミリータイプマンションとワンルームマンションの中間に位置するコンパクトマンション(専有面積30m2以上50m2未満)の市場動向はどうなっているのか?
不動産経済研究所が3月28日に発表した「首都圏コンパクトマンション供給動向」をもとに、23区のデータを中心に可視化してみた。
供給戸数・シェアの推移
コンパクトマンション供給戸数・シェア(全発売戸数に占めるコンパクトマンションの割合)ともに、4年連続増加(次図)。
平均価格・単価の推移
コンパクトマンションの平均価格・単価とも15年以降、高止まりしている(次図)。
平均価格は4千500万円前後、平均単価は112~121万円。
コンパクト vs 一般新築分譲
コンパクトマンションと一般新築分譲マンションの平均単価を比べると、前者のほうが常に高い。その差は5~13万円と幅がある(次図)。
※一般新築分譲マンションは、不動産経済研究所が定期的に発表しているデータ(コンパクトマンションを含む)による。
コンパクトマンション市場の今後
単身者やDINKSをメインターゲットとしているコンパクトマンションの市場は、今後どうなっていくのか?
不動産経済研究所の見立ては、「供給も当面は増加傾向」から「供給が年間3,000戸台で頭打ちとなる可能性」「住宅ローン控除適用でシェアアップ」まで、多様な予想となっている。
今後のコンパクトマンションは、エンドユーザーの多様なニーズは変わらず、また1~2人世帯が増えていることなどから高い人気を維持しており、供給も当面は増加傾向が続きそうだ。
しかし都心から近郊エリアにかけて広い範囲で地価は上昇しており、駅近などでの用地取得は年々難しくなっていることから、供給が年間3,000戸台で頭打ちとなる可能性もある。
また現在は登記簿面積が50m2未満の住戸は住宅ローン控除の対象外となっている。今後住宅ローン控除がコンパクトマンションにも適用されるようなことがあれば、一段と供給を伸ばし、シェアがアップすることも起こり得るだろう。