東京23区の新築分譲マンション市場は、庶民には手が出な状況が継続している。
では、ファミリータイプマンションとワンルームマンションの中間に位置するコンパクトマンション(専有面積30m2以上50m2未満)の市場動向はどうなっているのか?
不動産経済研究所は不定期に「首都圏コンパクトマンション供給動向」を発表している。そこで、23区のデータを中心に可視化してみた。
※19年3月29日(更新24年4月11日:23年データ反映)
シェアの推移
コンパクトマンションのシェア(全発売戸数に占めるコンパクトマンションの割合)は15年以降増加傾向を見せ、20年に2割を超えたあと下落(次図)。23年は15.7%。
平均価格・単価の推移
コンパクトマンションの平均価格・単価とも、リーマンショック(08年)の翌年以降、上昇傾向にあるなかで、22・23年は急上昇(次図)。
23年の平均価格は6,173万円、平均単価は155.4万円。
コンパクト vs 一般新築分譲
コンパクトマンションと一般新築分譲マンションの平均単価を比べると、前者のほうが概ね高い。その差は0~14万円と幅がある(次図)。
コンパクトマンションの平均単価は20・21年、若干であるが一般新築分譲マンションを下回った。また、23年は大きく下回った。ひょっとして、21年度から住宅ローン控除の対象が床面積40m2以上の住戸へ緩和された結果値崩れを起こしているのか……。
※一般新築分譲マンションは、不動産経済研究所が定期的に発表しているデータ(コンパクトマンションを含む)による。
コンパクトマンション市場の今後
単身者やDINKSをメインターゲットとしているコンパクトマンションの市場は、今後どうなっていくのか?
不動産経済研究所の見立ては、「さらに供給を伸ばしてシェアがアップすることも起こり得る」としている。
今後のコンパクトマンションは、エンドユーザーのニーズが一段と多様になっていること、また1~2人世帯が増加などによって高い人気を獲得していることから、当面は10%台の高いシェアを維持しそうだ。
2021年度に住宅ローン控除が床面積40m2以上にまで緩和された影響も依然として大きく、また地価の上昇や建設費の高騰などを理由としたマンション価格の上昇によって郊外部にも供給エリアを拡大していることから、さらに供給を伸ばしてシェアがアップすることも起こり得る。
(不動産経済研究所 24年4月9日)
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