各区議会で2月から19年の第1回定例会が始まっている。
羽田新ルートが通過する区の議会では羽田新ルートに係る一般質問がなされるのかといえば、必ずしもそうではない。
そのうちのひとつ、新宿区議会の状況を確認してみよう。
一般質問で誰も「羽田新ルート問題」を掲げていない
新宿区議会では19年第1回定例会の一般質問は2月19日・20日の2日間にわたって行われる。
代表質問8名、一般質問11名が予定されているが、19名のうち誰も羽田新ルート問題を掲げていない。
18年の「請願と陳情の審議状況」を確認すると、羽田新ルート関連は見当たらない。新宿区民は羽田新ルートへの関心は低いのか……。
区「丁寧な説明や正確な情報提供について国に強く要望」
新宿区議会の会議録(18年12月の定例会の会議録は未登録)を検索してみると、羽田新ルートへの言及があったのは、次の2件だけ。
- 18年6月定例会(第2回)06月13日
- 18年3月予算特別委員会03月02日
6月定例会では、川村委員(共産)の「中止を求めるべき」に対して、区は「丁寧な説明や正確な情報提供について国に強く要望してまいります」という、他の区でもよく聞く文言。
川村のりあき委員(共産)
- (前略)私どもは、そもそも都心上空で低空で飛行し、騒音や振動、落下物で区民の命を危険にさらす新ルート案について中止を求める立場ですが、実効性ある落下物対策ができず、地元理解も得られていない以上、新宿区として新ルート案について中止を求めるべきと考えますが、区長の御所見を伺います。
環境清掃部長
- 羽田空港の機能強化の必要性については理解していますが、安全対策・騒音対策を徹底するとともに、区民に十分な説明を行った上で進めていくべきものと考えています。
- 区では、中止を求める考えはありませんが、区民の安全・安心を守るために、引き続き落下物対策などの安全対策・騒音対策の徹底、丁寧な説明や正確な情報提供について国に強く要望してまいります。
なぜ、教室型説明会は角筈・柏木地域だけなのか
新宿では先月末、区内2地域で教室型説明会が開催された。角筈地域(1月30日)と柏木地域(1月31日)だ。同説明会では「対象地域の区民の方優先」とされていた(新宿区でも教室型説明会はじまる)。
なぜ、教室型説明会は角筈と柏木の2地域でしか開催されなかったのか?
羽田新ルートは新宿区の17地域の上空を通過する。羽田新ルートと角筈・柏木地域との関係を可視化したのが次図。
- C滑走路到着ルート
(好天時のみ)
中落合1丁目、中落合2丁目、中落合3丁目、上落合1丁目、上落合2丁目、北新宿4丁
(悪天時のみ)
中落合4丁目、上落合3丁目、西落合2丁目、中井1丁目、中井2丁目、北新宿2丁目
(好&悪天時)
北新宿1丁目、北新宿3丁目、西新宿1丁目、西新宿7丁目、西新宿8丁目
羽田新ルートは角筈・柏木地域の上空を通過することが確認できる。だから両地域で教室型説明会が開催された――。
では、なぜ羽田新ルートが上空を通過する落合地区では教室型説明会が開催されないのか? 落合地区の住民は怒りの声を上げてもいいのではないか。