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羽田新ルート|品川区議会「平成30年 決算特別委員会」紛糾

品川区議会の「平成30年第3回定例会」決算特別委員会(11月16日)で、「羽田新飛行ルート計画について」安藤たい作議員(共産党)の質疑応答があった。

全体の質疑応答時間が30分と長いので、落下物や騒音、飛行高度の引き上げ、教室型説明会を実施しないことなど、これまで代表質問や一般質問など幾度となく聞いてきた質疑応答は割愛し、後半で質疑が紛糾した約8分間を中心に議会中継(録画)をもとにテキスト化(約3千文字)しておいた。


質疑応答のポイント

※答弁は都市環境部長


議員:区長はどのような公約を掲げたのか?

安藤たい作議員
安藤泰作区議(共産、区議3期、漫画家、宮城教育大学卒、44歳)

現時点で区民の理解がない。こんなこと(区民の理解が得られていない)すら(区は)認められない。区民の声や不安を何だと思っているんでしょうか。政権忖度区政の極みだと思います。
先の区長選挙ではこの羽田新ルート計画の是非が大争点になりました。改めて区長はどのような公約を掲げたのか選挙広報に何と書いてあるのか伺います。そしてこれはどういう意味なのか伺います。

部長:区民の安全安心、これが最優先

都市環境部長
区長の代わりに答弁に立つ都市環境部長

今回の新飛行経路、国が提案した新飛行経路につきましては、区民の安全安心、これが最優先だということです。これが根底になければ、このあとどのような対策を立てたとしても全く無意味でございます。
国に対して様々な具体策を求めていく根底には、「安全安心というものが1番優先した提案をしてください」というふうに、国に求めているものでございます。以上でございます。

議員:「一自治体が反対するわけにはいかない」との区長発言

ここで2つ目の画像をiPadで示したいと思います。区長の選挙公報でございます。
もともとは、区長は2年以上前に国交省に出掛け、「国策だから甘受する」と、「容認表明」をし国から感謝もされていました。
しかし、世論と(反対)運動が拡がり、区長選挙でこの問題が最大争点となると、区長は「何よりも区民の安全安心を最優先」と、ここ(iPad)に書いてある通りです。公約に掲げ、区民の不安に寄り添うポーズを取らざるを得ませんでした。

また、選挙中は最大関心事、区民の関心事であるにもかかわらず、街頭で自ら、この羽田問題については一切語りませんでした

しかし、選挙後、当選すると就任記者会見で「国全体のインバウンドということを考えたら一品川区が反対するわけにはいかない」と公式の場で「容認表明」。掌を返したのです。
これは区民への重大な裏切りです。

区長選挙には3人が立候補し、うち二人の新人が「新ルート反対」と掲げ、区長もこの(iPad)とおり「安全が最優先」と公約。反対しない、計画容認と掲げたわけではありません。区民の審判は羽田新ルート容認では決してありません。
伺います。この区長選での審判、示された民意を区長はどう考えているのか伺います。
また、区長の「区民の安全安心が最優先」との公約と、当選後の「一自治体が反対するわけにはいかない」との発言は全く違うんじゃないですか。伺います。

部長:一自治体だけに提案されたものではないということ

選挙の過程や結果について、一自治体の職員である私(都市環境部長)が特に意見するところはございません。選挙の結果につきましては、一般論で恐縮でございますけれども、様々な要因によって結果がなされるもんだというふうに考えております。1つの原因で結果が決まるのではないというふうに感じているところでございます。

また、「一自治体が反対するわけにはいかない」というところでございますが、これは、国が案として示している羽田空港の機能強化につきましては、経路案が複数の自治体にまたがっております。一自治体だけに提案されたものではないということでございます。

そうしたなかで、品川区は品川区民の立場に立って、丁寧な説明と不安の払拭、こういったものを強く、引き続き(国に)求めていかなければいけないという考えでございます。

(外野:なぜ区長が答えないんですか)

議員:(新ルート容認表明は)公約違反ではないか?

私も一職員の方がこの質問に答えるというのは、本当にかわいそうだなと思うんですよ。区長がいらっしゃいますので、ぜひ答弁をしていただきたいんですけど。

「複数の自治体にまたがる」と言いましたが、「この品川区が反対しなくてどうするんですか」という感情がいま区民に溢れてますよ。

言い方をちょっと変えますけれども、質問もう一回します。「区民の安全安心を最優先」と公約に掲げながら、「一自治体が反対するわけにはいかない」と計画上への容認表明ですよね、これを行ったことは。これは公約違反ではないでしょうか。伺いたいと思います。

また、「区民の安全安心を最優先」と言いながら、区長は最優先しているのは国の意向、国策ではないのでしょうか。伺います。

部長:引き続き情報提供を(国に)求めているところ

この飛行経路案は複数の自治体にまたがっているというところで、「そのなかでも品川区は1番影響が大きい区だ」という認識のもとに、国に対していろいろな求めをしていかなければいけないというふうな状況でございます。

そういったなかで国もいろんな可能な限りの提案を今までしてきておりますけれども、やはりこれだけでは区としては充分ではないという判断にもとづきまして、引き続き情報提供や具体的な案の提案を(国に)求めているところでございます。

従いまして、品川区としましては、やはり複数の自治体にまたがる経路といいましても、やはり品川区民の立場に立って寄り添って、国に対して様々な求めをしているという立場は引き続きそうした考えで進めてまいりたいと考えております。以上でございます。

紛糾:区長本人を出せ!⇒委員長「ムリです」

鈴木博委員長
鈴木博委員長(自民党・子ども未来、区議2期、鈴の木こどもクリニック長、医学博士、埼玉医科大学卒、66歳)

委員長、区長自身の公約なんで、区長に伺っているんで、区長に答弁を求めてもらえませんか
委員長:ムリです

委員長!
(委員長:ムリです。ムリです)
委員長!
(委員長:手をあげて)


※以下紛糾(外野からの発言が錯綜したのですべてテキスト化したわけではない)

(外野:区長に答弁を要請します)
(外野:区長でないと答えられないって言ってんだろ!)
(外野:本人出してください。本人を! 本人が目の前にいるのに出さないなんて理不尽でしょう
(外野:そうだ!)
(外野:本人出せ、本人を!

(外野:委員長の権限だ。委員長の権限なんだから)
(外野:委員長シッカリしてください
(外野:本人を出せ。本人!)
(委員長:静粛にお願いします。)
(外野:指名してください、区長さんを!)

議員:反対しない意思表示、容認表明そのものではないのか

非常に残念ですけど、私たち共産党はこれらの区長公約や発言について、質問してきました。
しかし、一般質問でも、決算委員会でも、このように区長は一切答弁に立ちませんでした。今も立っていません

答弁した部長も課長も質問に答えず、はぐらかしてきました。聞かれたことには答えず、「機能強化、増便は一定理解するが、新ルートを容認したわけではない」とごまかしも繰り返し。

また、何を聞かれても「安全対策の実施や十分な説明は国の責任。国(区の誤読?)はそれを求めていく立場だと。まるで他人事のような答弁を繰り返しています

改めて伺いたいと思います。区は機能強化=増便は一定理解するが、新ルートを容認したわけではないと。しかし、区長が「一自治体が反対するわけにはいかない」と発言し、反対しない意思表示を行ったのは、新ルートの容認表明そのものではないのか。伺いたいと思います。

部長:丁寧な説明を国に対してしっかり求めていく

区としての基本的な考え方は、複数の自治体に対する課題であっても、そのなかで自分たちの品川区の区民の方々に対して、区民に向けて寄り添っていく。

そういった基本的な立場に立って、やはり国に対してまずは区民の皆様方に理解を深めていただくというところが1番現時点において大切というふうに考えております。

これは様々な意見が区に対しても寄せられますけれども、やはり「もう少し説明をしっかりしてほしい」というような意見が多数を占めております
それから「新飛行経路案というものについて初めて見た」という意見もございます。

従いまして、いま行うべきものは地域の皆様方への丁寧な説明を国に対してしっかり求めていくというところで、区民の皆様方に理解を深めていただくというところだというふうに考えてございます。以上でございます。

雑感

区長の代わりに立った都市環境部長の答弁には、「引き続き国に対して求めている」という、一般質問で何度も聞いたお決まりのフレーズがここでも登場。たしかに区の姿勢(国に委ねている)は一貫しているが、それで品川区民は納得するのだろうか

区長答弁を拒否する委員長や、必死で区長を代弁する都市環境部長の姿は、国会質疑を思い起こさせる。

区議会とはこんなものなのか。品川区民にはぜひ一度、区議会でのやり取りを視聴してほしいものである。

※マスメディアが取り上げなければ、羽田新ルート問題は区民には届かない。区議会議事録の肥しとなるだけだ。弱小なこのブログメディアによる区議会質疑応答の書き起こし情報が少しでもお役に立てば幸甚。

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