これまでに開催された住民説明会は2年7か月(15年7月から18年2月)で延べ127日間・66会場で、約1万6,800名が参加。4つのフェーズに分けて実施されている。
各フェーズの参加実績を可視化すると興味深い現象が見えてくる。
住民説明会の参加実績は約1万6,800名
石井国交大臣は「住民や関係自治体の方々に丁寧な情報提供を行い、首都圏空港の機能強化についてご理解をいただけるよう努めて参りたい」としている(参議院 国土交通委員会18年4月3日)。
その「丁寧な情報提供」の核となる地元住民説明会は、どのくらい開催されてきたのか? またその参加者は何人だったのか?
海江田衆議院議員(立憲民主)が18年7月13日に提出した「羽田新飛行ルートに関する質問主意書」に対する答弁書をひも解くと、累計約1万6,800名であったことが分かる。
政府としては、東京国際空港(以下「羽田空港」という。)における新たな飛行経路案(以下「新経路案」という。)について、関係地域の地方公共団体及び住民の方々の幅広い理解を得るため、平成27年7月から平成30年2月にかけて延べ127日間、関係地域の延べ66会場で住民説明会を開催し、約1万6,800名の方に参加いただき、丁寧な情報提供を行うとともに、広報活動、環境対策、落下物対策等について御意見を伺ったところである。
また、関係地域の住民の方々等への説明会については、幅広い方々に丁寧な情報提供を行うため、御指摘の「オープンハウス型」を基本として実施しているところであり、今後の住民説明会については、現時点で具体的な予定は決まっていないが、関係地域の地方公共団体とも相談の上、丁寧な情報提供に引き続き努めてまいりたい。
※詳しくは、「羽田新ルート|質問主意書(海江田議員)を読む」ご参照。
第4フェーズの参加者数は正式公開されていない!?
これまでに開催された住民説明会は2年7か月(15年7月から18年2月)で延べ127日間・66会場で、約1万6,800名が参加ということは分かった。
じつはこの住民説明会は、4つのフェーズに分けて実施されている(次表)。
第1フェーズは、16会場で延べ47日間かけて開催された。
第2フェーズは、その3か月後、ほぼ同様の会場・延べ日数で開催。
第3・第4フェーズはいずれも16会場で延べ日数16日。
これら4つのフェーズの説明会の参加者の累計が「約1万6,800名」ということなのだが、その内訳はどうなっているのか?
国交省が運営しているサイト「羽田空港のこれから」には、第4フェーズ開催のお知らせは掲載されているものの、その後の開催実績は掲載されていない(8月13日現在)。
第4フェーズの参加者実績はどうだったのか?
国交省のサイトをググってみると、意外なところに掲載されていた!
なんと、国土交通省生産性革命本部の第7回会合(18年5月29日開催)の参考資料「『生産性革命プロジェクト20』の具体化状況について」の17頁に「(参考) 住民説明会(第4フェーズ)について」として掲載されているのである(次図)。
地域住民の関心は徐々に高まってきている…
第4フェーズの参加者実績「約3,400人」が分かったところで、各フェーズの参加実績を可視化したのが次図。
第4・第3フェーズは第1・第2フェーズと比べて開催延べ日数を約3分の1(=16日÷47日)に減らした結果、来場者数は大幅に減ったものの、逆に1日当たりの平均来場者数は増えている。
この現象は、第3フェーズから第4フェーズにかけて、羽田新ルートへの地域住民の関心が徐々に高まってきていることを意味しているのではないのか。
国交省は地域住民の関心の高まりを抑制するかのように、開催延べ日数を減らしているようにも見えてしまうのだが……。