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日本の金融閉鎖性!『プライベートバンカー 驚異の資産運用砲』

杉山智一氏著『プライベートバンカー 驚異の資産運用砲』講談社現代新書 (18/3/15)を読了。

庶民にとっては無縁の世界だが、日本の金融閉鎖性をかいま見ることができる良書。

野村證券に新卒入社した著者がキャリアアップを重ねてプライベートバンカーになっていく経緯は、若い世代にも読んでほしい。


もくじ

プライベートバンカー 驚異の資産運用砲

日本に煩雑な金融規制が異常なほどたくさんあるのは…

日本に煩雑な金融規制が異常なほどたくさんあるのは、財政赤字の穴埋めに充てる国民の資産が海外へ流出するのを防止する側面もあるという。

日本を金融鎖国から解き放つために
(前略)日本政府には国民の資産をこれからも財政赤字の穴埋めに充て続けたい思惑があり、日本人のお金が海外の金融機関や金融商品に流れるような事態があっては困るのかもしれない。日本に煩雑な金融規制が異常なほどたくさんあるのは、その流出防止策という側面もあるのではないかと私は考えている。
 たとえば、海外には日本の保険会社では到底提供できない優位な保険商品がたくさんあり、これに加入することで大きな恩恵を受けられる日本人がたくさんいることは間違いない。ところがこうした保険を、日本に支店などを置いていない保険会社が日本の居住者に売ったり、逆に日本の居住者が加入することは保険業法第186条の規定で事実上禁じられているのである。(P68-69)

※日本人の金融リテラシーが高くないのは、学校で学ぶ機会がなかったため。そのほうが日本政府にとっては都合がいい……。

ただ、最近になって急に投資教育が言われ始めたのは、財政危機の政府は国民の面倒を見切れないから、自分の身は自分で守れという流れに変わってきたのだろう。

国債の大量保有で、金融システムが不安定化…

財務省は、将来起こりうる国家破綻のシナリオもすでにホームページなどで国民に明らかにしているという。

日本の将来への期待を押し下げる、政府の財政危機

(前略) 国際通貨基金(IMF)も、2017年度に約1300兆円だった日本の債務残高が、現在のペースのまま行けば2030年までに約3倍の3000兆~3500兆円になるだろうと日本政府に警告している。
 こうしたことから財務省は、将来起こりうる国家破綻のシナリオもすでにホームページなどで国民に明らかにしている
 財務省いわく、近年長期金利は低い水準で推移しているものの、これにしても日本の財政の持続可能性に対する疑念が今後さらに高まれば金利は急上昇し、利払い費が膨らむことで政府の資金調達が困難となり、歳出面でも大きな圧迫要因となる。さらにその場合は、企業や家計も円滑な借り入れができなくなるなど経済にも悪影響が出るほか、国債を大量に保有する金融機関に含み損が生じ、金融システムが不安定化する――というのである。(P159-161)

※たしかに財務省の「日本の財政関係資料(平成30年3月)」の「Ⅲ.財政健全化の必要性」には、「国債を大量に保有する金融機関に含み損が生じ、金融システムが不安定化する」と書かれている。財務省は消費税増税を実施したいのだろうが、今の政治状況がそれを許すか……。

非富裕層が行うべき運用法

本書には、「非富裕層が行うべき運用法」が12ページにわたって記載されている。

資産1000万円を超えてからの運用法

(1)1000万~3000万円以下
 こうした運用をゴツゴツ続けて資産を1000万~3000万円以下の水準まで増やすことができたなら、今度は本書109ページでも触れたようなレバレッジ・債券運用などに20万USドル単位(ものによっては10万USドル単位でも可能)の投資ができるようになり、これによりおおよそ4~6%台の利回りを追求することができる。(中略)

(2)3000万~1億円以下
 資産3000万~1億円以下の段階に届いたなら、まだ選択肢は少ないもののいくつかのプライベートバンクには資産運用を託すことができるようになる。前述の劣後債(117ページ参照)の組み合わせにレバレッジを効かせ、8%近い利回りが追求できるほか、【図表3-4】そのままに10%台の利回りでも追求することもできるようになる。

(P179-180)

※レバレッジを掛けた債券運用をすれば1~3千万円の資産でも4~6%の利回りを追求できるといわれても、臆病者にはハードルが高い。まあ、そういうやり方もあるのかと知識の幅だけはどんどん広がっていく。

本書の構成

全5章、186頁。

  • 第1章 プライベートバンカーとは何か
  • 第2章 私がプライベートバンカーになるまで
  • 第3章 プライベートバンカーの資産運用法
  • 第4章 お金持ちってこんな人
  • 第5章 動乱の時代を生き抜く資産運用

プライベートバンカー 驚異の資産運用砲

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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