湯沢町長は9月25日、新潟県知事に要望書を手渡し、「宿泊施設がこれ以上、供給されると、町の経営基盤は崩壊する」と危機感を訴えたという。
湯沢での「民泊」開業に制限を(新潟日報)
田村町長は米山知事に要望書を手渡し、「宿泊施設がこれ以上、供給されると、町の経営基盤は崩壊する」と危機感を訴えた。
湯沢での「民泊」開業に制限を
町長、知事へ条例制定要望一般住宅に有料で客を泊める「民泊」が2018年にも許可されることを受け、湯沢町の田村正幸町長らが25日、県庁で米山隆一知事と面会し、同町での民泊開業を制限する県条例の制定を要望した。(略)
田村町長は米山知事に要望書を手渡し、湯沢町のホテルや旅館の客室稼働率が、平均21.4%(2016年)と低迷している現状を説明。「宿泊施設がこれ以上、供給されると、町の経営基盤は崩壊する」と危機感を訴えた。田村町長は、町内のリゾートマンションなどで近年、違法な民泊が増加しており、騒音やゴミ出しのトラブルが発生していることも報告した。米山知事は条例制定について「よく状況を確認して検討したい」と述べた。(以下略)
(新潟日報 9月26日)
新潟県内の民泊の実態を確認しておこう。
新潟県内のAirbnb登録物件、約230件
新潟県内のAirbnb登録物件は約230件(9月1日現在)。都道府県ランキング18位。それほど多いわけではない(次表)。
筆者が毎月モニタリングしているAirbDatabankデータのうち、新潟県内でAirbnbに登録されている物件数の推移は次図のとおりだ(次図)。
この1年間で70件ほど増えている。
(AirbDatabankデータを元に作成)
湯沢町内のAirbnb登録物件、県内2位(53件)
新潟県内のAirbnb登録物件は、妙高市と湯沢町に集中している(次図)。
(AirLABOデータを元に作成)
新潟県内の各自治体のAirbnb登録件数(9月30日)は次図の通りだ。
湯沢町は妙高市の次に登録件数が多い。
(AirLABOデータを元に作成)
民泊は地域の活性化にならない!?
湯沢町内でAirbnbに登録されている物件数53件は、多いのか少ないのか?
同町内で合法的に運用されているホテル・旅館等の客室数は1,120室(経産省『平成27年度 地域経済産業活性化対策調査 報告書』P7より)。
ホテル・旅館等の客室数1,120室に対して、Airbnbに登録物件数は53件(すべてが違法民泊とは限らない)は20分の1の規模。
現状の規模の民泊であれば、「これ以上、供給されると、町の経営基盤は崩壊する」という危機意識よりも、「いかにして地域の活性化に取り込んでいくのか」という前向きな発想があってもよさそうに思うのだが……。