法律実務家の月刊誌「ジュリスト」17年10月号(No.151) の連載記事「不動産法の最前線」に「民泊をめぐる問題点」が掲載されている。
今年の6月に公布された「住宅宿泊事業法の概要」と同法の周辺情報が6ページにまとめられているのだ。
キレのいい弁護士の文章には、いつも感心させられる。
これを読めば民泊事業法の全体像を正確に理解することができる。
ただ、一番最後の項目「まとめに代えて」にチョット引っかかった。
- はじめに
- 「民泊」とは何か
- 適法民泊の種類
- 住宅宿泊事業法の概要
- 解釈上の問題
- マンションの管理規約との関係
- まとめに代えて
民泊に対しては、「好意的な論評ばかりがなされているとは言い難い」としたうえで、「地域の活性化・まち創りという観点からも可能性を秘めている」という前向きな評価。
まとめに代えて
現在、民泊に対しては、好意的な論評ばかりがなされているとは言い難い。しかし、住宅宿泊事業法は、現状の民泊に対してなされている問題点の指摘に対する制度的な解決策でもある。しかも、住宅から収益を上げようとする所有者にとっては、売買・賃貸借に加えて、民泊という選択肢が増えるということであり、既存住宅の流通に与える影響も決して小さいとはいえない。地域の活性化・まち創りという観点からも可能性を秘めている。周知・啓発も含め、関係者の努力を期待したい。(P87)
地域の活性化・まち創りのために、民泊をうまく活用していくことに異を唱える人は多くないだろう。
問題は都市部の民泊のありようなのだ。
日本全国でAirbnbに登録されている民泊物件のうち、5割は東京・大阪・京都といった都市部のマンション(次図)。
「マスコミ報道では分からない!全国4万6千件の民泊構造を可視化」より
マンション住人の安心・安全を損ねながら、多くの「投資型民泊」が展開されているという実態がある。
たとえば、東京23区ではマンション(共同住宅)の戸数は全世帯の4分の3を占めている(次図)。
だから、民泊に対しては、好意的な論評ばかりとはならないのだ。マンション住人の安心・安全を確保することは多くの人たちに期待されているのである。
弁護士の寄稿文にコメントしたからといって、訴えないでね!
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