昨年の10月から”中国版Airbnb”の定点観測を始めて7か月が経過。
中国版Airbnbの日本での登録件数はどの程度増えているのか?
- いま最も勢いのある中国版Airbnbサイト「自在客」
- 中国版Airbnbの登録件数は、大阪が東京の1.5倍
- 本家Airbnbに対して中国版Airbnbの割合は14%
- 現在検討中の「民泊サービスの制度設計」は中国版Airbnbの抑止力になり得るか
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いま最も勢いのある中国版Airbnbサイト「自在客」
中国版Airbnbの主なサイトは、「住百家(ジュバイジァ)」「自在客(ジザイキャク)」「途家(トゥージァ)」の3つ。
東京・大阪・京都における中国版Airbnbの3つのサイトの各登録物件数の推移は次図の通りだ。
「自在客」が大幅に増加していることが分かる。
「自在客」は、いま最も勢いのある中国版Airbnbサイトだ。
3月末から日本語に対応できるようになったことが増加の一因なのかもしれない。
中国版Airbnbの登録件数は、大阪が東京の1.5倍
地域別に見ると、大阪の登録件数が大きく伸びていることが分かる(次図)。
3つのサイトの合計登録数の推移を地域別に見ると、毎回、大阪が東京を上回っている(次図)。
中国版Airbnbの登録件数は大阪が東京の約1.5倍(5月20日現在)。
※同じ物件が複数のサイトに登録されている場合があるので、合計登録数が東京・大阪・京都に存在する物件数の合計を意味しているワケでない。念のため。
本家Airbnbに対して中国版Airbnbの割合は14%
現状では本家Airbnbに比べて、中国版Airbnb登録件数はまだまだ少ない(次図)。
(本家Airbnb登録件数はAirbDatabankデータをもとに筆者集計)
ただ、本家Airbnbに対する中国版Airbnbの割合は、3か月連続で増加し、13.8%に達している(次図)。
(本家Airbnb登録件数はAirbDatabankデータをもとに筆者集計)
現在検討中の「民泊サービスの制度設計」は中国版Airbnbの抑止力になり得るか
現在検討が進められている「民泊サービスの制度設計(P4)」では、「仲介事業者規制の方向性」として、次のように記されている。
4.仲介事業者規制の方向性
- 民泊(家主居住・不在型いずれも含む。)に係る仲介事業者は行政庁への登録を行うこととし、仲介事業者には消費者の取引の安全を図るため、取引条件の説明義務や新たな枠組みに基づく民泊であることをサイト上に表示する義務等を課すことを検討。
- また、行政庁による報告徴収・立入検査、不適正な民泊(無届出の家主居住型民泊、登録管理者不在の家主不在型民泊、「一定の要件」に違反した民泊等)のサイトからの削除命令、不適正な民泊であることを知りながらサイト掲載している場合の業務停止命令、登録取消等の処分、法令違反に対する罰則等を設けることを検討。
- 外国法人に対する取締りの実効性確保のため、法令違反行為を行った者の名称や違反行為の内容等を公表できるようにすることを検討
中国版Airbnbは、中国人の中国人による中国人のための民泊仲介サイト。
「業務停止命令、登録取消等の処分、法令違反に対する罰則等」など通用するのだろうか。「法令違反行為を行った者の名称や違反行為の内容等を公表」が抑止力になるとは思えない。
すでに京都市は外国法人による民泊仲介サイトから無視されるという実態があるからだ(外国の民泊仲介サイトに無視された「京都市民泊実態調査」)。
民泊の”全面解禁”で、住民の安全・安心が脅かされる(民泊の”全面解禁”で潤う賃貸不動産業者、安全・安心が脅かされる住民)。
「違法民泊の監視は「近隣住民・宿泊者等からの通報」に頼らざるを得ない」のか――。