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不動産情報ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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民泊の”全面解禁”で潤う賃貸不動産業者、安全・安心が脅かされる住民

全旅連青年部長のNewsPicksでのコメントが共感の嵐を呼んでいる。

「家主不在型の管理者になれるのは宅建業者だけになるでしょう。・・・ガラパゴス日本!」


もくじ

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photo by Radzuan Jalil

共感の嵐を呼んだ全旅連青年部長のコメント

「民泊で最大の利益供与を受けるのは賃貸不動産業者」であるという全旅連(全国旅館生活衛生同業組合連合会)の青年部長のNewsPicksでのコメントが共感の嵐を呼んでいる。

全旅連青年部長のコメント

(前略)家主不在型の管理者になれるのは宅建業者だけになるでしょう。という事は普通家賃を払ってに部屋を民泊に利用している人も宅建業者に25%の手数料を払わなければいけなくなります。きっとそれだけ払ってしまえば、小遣い稼ぎもできなくなるでしょう。

最終的には大手賃貸不動産業者がスケールメリットを利用して日本の民泊を運営する事になると思います。日本で一番大きなちんたい議連の政治運動のおかげです。
この民泊で最大の利益供与を受けるのは賃貸不動産業者になるでしょう。
なんというガラパゴス日本!

 

「家主不在型の管理者になれるのは宅建業者だけになる」とはどういうことなのか?

第10回 「民泊サービス」のあり方に関する検討会」(5月13日開催)で配布された資料1「民泊サービスの制度設計についてPDF:242KB)」をひも解いてみよう。

「家主不在型」に管理委託を義務化

「新たな制度枠組み(案)」では、「家主居住型」と「家主不在型」に区別して扱うことを基本としている。

制度枠組みの基本的な考え方

「家主居住型」と「家主不在型」に区別した上で、住宅提供者、管理者、仲介事業者に対する適切な規制を課し、適正な管理や安全面・衛生面を確保しつつ、行政が、住宅を提供して実施する民泊を把握できる仕組みを構築。

 

「家主居住型」は、行政庁へ「届出」すればよい。

2.家主居住型(ホームステイ)に対する規制の方向性

  • 「家主居住型(ホームステイ)」とは、住宅提供者が、住宅内に居住しながら、当該住宅の一部を利用者に貸し出すものをいう(この場合、住宅内に居住する住宅提供者による管理が可能)。
  • 住宅提供者は、住宅を提供して民泊を実施するにあたり行政庁への届出を行うこととする。
  • (以下略)

 

家主不在型は、「家主居住型」と違って、行政庁への「登録」が必要であるだけでなく、管理者に管理を委託することが義務づけられている。

3.家主不在型に対する規制の方向性(管理者規制)

  • 「家主不在型」の民泊(出張やバカンスによる住宅提供者の不在期間中の住宅の貸出しは家主不在型と位置付け)については、家主居住型に比べ、騒音、ゴミ出し等による近隣トラブルや施設悪用等の危険性が高まり、また、近隣住民からの苦情の申入れ先も不明確。
  • そこで、「家主不在型」の民泊については、住宅提供者が管理者に管理を委託することを必要とし、適正な管理や安全面・衛生面を確保する。
  • 管理者は行政庁への登録を行うこととする。 
  • (以下略)

 

住宅提供者が管理を委託しなければならない「管理者」とは、いったい誰のことなのか?

冒頭の青年部長のNewsPicksのコメントを読んで、管理者≒宅建業者であることを初めて理解した人が多いようだ。

「家主不在型」の民泊は何かと不安だ。だから管理者を介在させよう。ならば管理者は不動産の管理に明るい宅建業者だ――なんでこのような展開になったのか?

ホテル・旅館業界に比べ、賃貸業界の圧倒的な政治力

ちんたい3団体のロビー活動

ちんたい3団体は、賃貸住宅対策議員連盟(ちんたい議連)に対して、新たな事業者登録制度を創設し、宅建業の免許を取得した法人により民泊を管理させるという要望事項を申し入れていた。 

【要望事項】

  • 「民泊」は、旅館業法の一部改正ではなく、新たな事業者登録制度を創設して行うこと
  • 上記事業者は、宅建業の免許を取得した法人で、かつ民泊事業者の登録をしたのものとすること
  • 「民泊」は、平成28年4月から施行すること
  • 「民泊」の利用日数は、利用者のニーズに合うよう、一泊からとすること

 

ちんたい3団体とは、次の3つの団体こと。

  • 全国賃貸管理ビジネス協会:会員数16,929名
  • (公社)全国賃貸住宅経営者協会連合会:会員数16,628名
  • (公財)日本賃貸住宅管理協会:会員数約2,000社 

 

たしかに全旅連(全国旅館生活衛生同業組合連合会)の会員数約2万人(会員数がホームページに掲載されていなかったのでWIKIに拠った)よりも集票力はありそうだ。

 

ちんたい議連の決議

ちんたい3団体の申し入れに対して、ちんたい議連は3月18日に開催された「平成27年度臨時総会」で、「新たな制度は、賃貸住宅管理業者、宅建業者のノウハウを十分に活用できるものとすること」と決議している。

住宅の空き家などを活用した宿泊場所の提供に関する決議(案)

 

(前略)賃貸住宅管理業者(宅建業者)は入居者の管理について十分な経験を有しており、近隣住民の安全、安心につながる適正な管理のノウハウを有することから、空き家を活用した民泊の管理を担わせるノウハウを有している。
すでに宿泊サービスを提供しているホテル・旅館の事業者についても、空き室の活用ができるよう十分に留意すべきである。
このため、住宅の空き家の提供にあたっては、賃貸住宅管理業者、宅建業者のノウハウを十分に活用することが重要であるため、左記の事項について、申し入れを行うものである。

  • 空き家を活用した宿泊場所の提供にあたっては、旅館業法等現行制度の枠組みにとらわれず、新たな制度を早急に構築すること。
  • 新たな制度は、賃貸住宅管理業者、宅建業者のノウハウを十分に活用できるものとすること
  • 新たな制度は、利用日数、施設の面積などについて、住宅の空き家を活用するという事業の実態を踏まえたものとすることとし、過度な規制とならないように配慮すること。
  • マンションの空き家などを大家等の意向に反して提供しているいわゆるヤミ民泊について、賃貸借契約に違反した無断転貸などが行われていることもあることから適切に対応すること。

 

ちんたい議連の会長は自民党の石破茂

メンバーとして麻生太郎岸田文雄など37名の顧問を含め、総勢138名もの自民党議員が名を連ねている(議員リスト | 賃貸住宅対策議員連盟)。

 

宅建業者が介在することで、近隣住民の安全・安心はホントに確保できるのか?

民泊”全面解禁”で脅かされる住民の安全・安心

都市部で展開されている民泊の多くは 「家主不在型」。「ホームステイ型」は少ないのが現状だ。

民泊条例でなにかと話題になる大田区であってもホームステイ型は2割に過ぎない。

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大田区Airbnb 投資型7割、ホームステイ型2割」より

 

しかも違法民泊が増加し続けているのは一軒家ではなく、マンション(アパート)のほうだ。

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「合法民泊」を上回る勢いで増加!大田区の「違法民泊」)より

 

このような「家主不在型」の違法民泊に手を突っ込んで、宅建業者を介在させようとすると、違法民泊を営んでいる大家さんは利益が出にくくなる。

素人大家さんは民泊から撤退。本気度の高い大家さんはスケールメリットを追求しさらにビジネスを拡大するか、闇に潜るかのいずれになるのではないだろうか。

 

現在は禁じられている住宅地での民泊の営業も認める方向で検討が進められているという。

もしそうなると、いままでの用途地域の規制はなんだったのか?

住居系の用途地域は「住居の環境を保護するため定める地域」である旨が都市計画法第9条で規定されているのだぞ!

 

民泊を”全面解禁”することで、宿泊施設不足は解消に向かい、賃貸不動産業者(宅建業者)は新たな利権を得ることができる。一石二鳥。

でもその代償として、近隣住民の安全・安心が脅かされることになるのではないのか。

住民の安全・安心を確保するためには、台東区や軽井沢町のように、自治体が個別に「民泊」反対条例を制定していくしかないのか。

オモテナシ民泊から、ドンドン遠ざかる日本のガラパゴス民泊。どこでボタンを掛け違えたのか――。

 

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2016年6月1日、このブログ開設から12周年を迎えました (^_^)/
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