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外国の民泊仲介サイトに無視された「京都市民泊実態調査」

京都市は5月9日、民泊施設実態調査の結果を公表。

インターネット上に公開されている市内の民泊施設2,702件のうち、約7割が無許可だという。


もくじ

京都市の民泊施設、無許可が7割

京都市の民泊施設、無許可が7割 市が実態調査

京都市は9日、住宅の空き部屋などに旅行者を有料で泊める「民泊」の実態調査結果を発表した。インターネット上に公開されている市内の民泊施設は市街地を中心に2702件あった。

施設の情報と、京都市が管理する旅館業の登録情報を照合したところ、少なくとも全体の68.4%に当たる1847件が旅館業法に基づく許可を受けていない施設だった。(以下略)

(日経新聞 5月9日)

 

京都市のホームページに公開されている「京都市民泊施設実態調査について」をひも解いてみた。

貴重なデータ満載の報告書!

本文(テキスト形式)とは別に、PDF形式で公開されている報告書は全16頁。次の5項目で構成されている。

1 調査の概要について
2 中間報告について
3 調査結果
 ⑴ 市内民泊施設の状況
 ⑵ 施設周辺の住民に対するヒアリング
 ⑶ 関係事業者へのヒアリングについて
4 民泊の課題について
5 調査結果を受けた今後の対応について

 

2,702件もの物件をシラミ潰しに調査していった膨大な作業量には頭が下がる。

民泊仲介サイト運営事業者(8サイト)、民泊代行事業者(12社のうち回答8社)、市内の不動産管理会社(10社のうち回答6社)、民泊運営者(アンケート:11名、ヒアリング:10名)など、貴重なデータが満載である。

目次が付いていないことや、グラフが1枚もないのは、膨大な作業量に力尽きたのか――。

 

次の文章で、1,260件のうち「旅館業の許可が確認できたもの」は189件であることは分かるが、「無許可と思われる施設」1,847件が「所在地の特定ができた」施設だけでなく、「所在地の特定ができなかった」施設も対象とした内数であることまでは読み取れない。

所在地の特定ができたのは1,260件(46.6%)であり,そのうち,旅館業の許可が確認できたものは189件(7%)となった。また,無許可と思われる施設は1,847件(68.4%)と推測される。(P5)

次表の数字を追いかけていかないと、全体像が分からないのである。

f:id:flats:20160510080528p:plain

 

忙しい市の担当者に代わって、1,260件の全体像が俯瞰できるよう、グラフ化してみた。

f:id:flats:20160510080743p:plain

施設の所在地が特定できたか、できなかったかに係らず、旅館業法の許可を受けていない施設が69%(1,847件)であるとが分かる。

 

外国法人が運営している民泊仲介サイト5社からは「返信なし」

マスコミ情報ではあまり伝えられていないようだが、今回の調査報告書で興味深いのは、民泊仲介サイト運営事業者へのアンケート結果だ。
京都市内における掲載件数が10件以上確認された次の7つの仲介サイトと、唯一日本法人が運営している「とまりーな」が調査対象となっている。

※( )内は本社所在地を示す。

  • Airbnb(サンフランシスコ)
  • Booking.com(アムステルダム )
  • VRBO(シンガポール)
  • HomeAway(シンガポール)
  • 住百家(広東省)
  • Wimdu(ベルリン)
  • Roomorama(シンガポール )
  • とまりーな(仙台)

Airbnbからは、「対応不可との回答であったが、別ルートからの接触により協議の機会を設定」したと記されている(後述)。

Booking.com(アムステルダム )からは、「対応不可との回答

残りの外国法人5社は、「国内の連絡先はなく、メールを送るも返信なし」と記されている。

 

Airbnbは別の協議の場で、次のとおり主張しているという。

  • (ア)施設所在地のデータは提供できないが、所在地を表示させた地図の提供は可能

  • (イ) 旅館業法上の許可番号等の掲載については、同社で正しい番号かどうかを確認できないため、掲載していない。

  • (ウ) 掲載情報の削除については、宿泊客からのクレームがあるなど、問題のある施設は複数回の注意でも改善が見られなければ削除している。

  • (エ) 施設の管理者不在は推奨しておらず、あくまで管理者が宿泊客をおもてなしすることが同社の理念

  • (オ) 管理者不在の施設は、海外は3割程度だが、日本では6割となっている。

 

「施設所在地のデータは提供できない」というAirbnbの回答は、「行政への情報提供義務を課す」(「第9回「民泊サービス」のあり方に関する検討会」 資料2、P3)という「民泊サービスの制度設計」における「仲介事業者規制の方向性」に反している。

 

「指導に従わない場合は厳正に対処」するというが・・・

今回の調査結果を踏まえ、京都市は今後の次の対応をするという。

5.調査結果を受けた今後の対応について

(前略)現行の法令に基づき、営業許可が取得できない施設に対しては営業を中止するよう強力に指導し、指導に従わない場合は厳正に対処していきます。
一方で、今後ますます増大する宿泊需要に対応するため多様で魅力ある宿泊施設の拡充・誘致を進めていきます
これらの取組を進め、京都にふさわしい宿泊環境の整備を進めてまいります。(以下略)

宿泊施設拡充・誘致方針」の素案を作成し、パブコメを経て、方針を策定するらしい。

 

予想されたことではあるが、外国法人の民泊仲介サイトが役所(今回は京都市)のメール照会に対して、返信なし(無視)という事実。
どんなに素晴らしい「民泊サービスの制度設計」が策定されたとしても、画餅になるのではないのか。

大田区民泊条例を反面教師として(「合法民泊」を上回る勢いで増加!大田区の「違法民泊」)、国にはより実効性のある「民泊サービスの制度設計」を期待したい。

 

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