住宅ローン借り換え 皆はどうしている? - 不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」
住宅ローンでは、銀行はどのような審査をしているのか?
融資を行う際に考慮される項目は何なのか?
- 「スコアリング方式」で審査を行っているか否か
- 08年度を境に、スコアリング方式の採用の割合が大きく変わっているのはなぜか?
- 融資を行う際に考慮する項目は1位「年齢」、2位「健康状態」、3位「担保評価」
- 「雇用形態」が重視される傾向に
- 「雇用先の規模」「家族構成」「性別」はあまり重視されていない
国土交通省が3月11日に公表した「平成27年度民間住宅ローンの実態に関する調査」(全45ページ)に、「長期・固定金利の住宅ローン等に関する融資審査等」のデータが掲載されているのでひも解いてみよう。
「スコアリング方式」で審査を行っているか否か
「スコアリング方式で審査を行っているか否か 」の調査結果が掲載されている(次図)。
スコアリング方式とは、申込者のデータにより審査項目(年収、返済負担率等)毎に点数を付け、その合計点によって融資するか否か等を決める方式をいう。
グラフが白黒である上に、凡例がゴチャゴチャしていて分かりにくい。
過去に発表されたデータも加えて、グラフ化してみた。
ここ数年の傾向をみると、約6割の銀行ではスコアリング方式を用いた審査が行われていないことが分かる。
08年度を境に、スコアリング方式の採用の割合が大きく変わっているのはなぜか?
03年度から貸し渋り対策の1つとして「スコアリング取引の活用」を掲げていた金融庁が2008年、新銀行東京の失敗に鑑みスコアリング方式の導入推奨を撤回したことが原因だ。
スコアリング方式の原理を理解せず、運用も誤ったままで、教訓が正しく抽出されていない。例えば、新銀行東京の失敗に鑑み、金融庁はこれまでのスコアリング方式の導入推奨を撤回すると報道されている。
「金融庁は地銀などに地域密着型金融(リレーションシップバンキング)の取り組みを提唱し、2003年度から貸し渋り対策の1つとして『スコアリング取引の活用』を挙げていた」。
融資を行う際に考慮する項目は1位「年齢」、2位「健康状態」、3位「担保評価」
発表資料には、「融資を行う際に考慮する項目」のグラフも掲載されている。
上図も分かりにくいし、文章もなんら解説になっていない(次図)。
過去に発表されたデータも加えて可視化し、考察を加えてみよう。
最新の15年度データでみると、銀行が融資を行う際に考慮している審査項目として80%を超えているのは次の11項目である。
年齢(1位:完済時年齢、4位:借入時年齢)を最も重視していることが分かる。
あとは、健康状態(2位)、担保評価(3位)。
- 1位:完済時年齢(99.3%)
- 2位:健康状態(98.4%)
- 3位:担保評価(97.8%)
- 4位:借入時年齢(97.5%)
- 5位:勤続年数(96.4%)
- 6位:年収(95.6%)
- 7位:連帯保証(92.6%)
- 8位:金融機関の営業エリア(92.4%)
- 9位:融資可能額(①購入の場合)(90.7%)
- 10位:融資可能額(②借換えの場合)(88.4%)
- 11位:返済負担率(87.4%)
「雇用形態」が重視される傾向に
興味深いのは11位の返済負担率(87.4%)。
融資の審査の際に、返済負担率が重視されていると思っているとすれば、それは昔の話だ。
上表からは、たしかに14年以前は、90.1%(10年度)~96.6%(12年度)と重視されていたことが分かる。
「返済負担率」以外にも、ここ数年重視されなくなってきた審査項目がある。「債務の状況や返済履歴」だ。
上表では分かりにくいので、次のグラフを見てほしい。
「債務の状況や返済履歴」とは逆に、ここ数年重視されるようになってきた審査項目は「雇用形態」だ。
非正社員やフリーランスにとっては厳しい状況であろう。
これまであまり重視されていなかった「所有資産」が15年度になって14位(68.0%)に急上昇している。
急上昇の理由は不明だが、いざというとき、取りっぱぐれのないように、資産のある人に融資をしようという行員の強い思いが想像される。
「雇用先の規模」「家族構成」「性別」はあまり重視されていない
「国籍」を審査項目として考慮している銀行が約6割。いわれのない差別のような気がする。どこの国がよくて、どこの国がよくないのか、行員に聞いてみたい。
あと、「雇用先の規模」と「家族構成」は約3割、「性別」は約2割とあまり重視されていない。
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