不動産ブログ「マンション・チラシの定点観測」

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期分けとは|マンション広告の用語解説

レンタカーリース会社の跡地に建つ、13階建ての大規模マンションの広告。

物件概要

第3期 本広告】新宿駅直通21分(急行利用)、駅徒歩3分。総戸数254戸、13階建。販売戸数25戸、2LDK+S(67.51m2)~4LDK(87.44m2)。販売価格4,978万円~6,888万円。平成28年9月下旬竣工(本チラシ掲載日の8カ月後)。

  • ※2015年4月18日(土)・7月17日(金)の物件と同じ。

もくじ

新聞半紙大のチラシのオモテ面のキャチコピー。

おかげさまで第1期・第2期 供給戸数203戸 ※1

 

「※1」の注釈には、ゴマ粒サイズの小さな文字で次のように記されている。

第1期1次130戸(平成27年7月)、第1期2次11戸・第1期3次14戸(平成27年8月)、第2期1次23戸・第2期2次4戸(平成27年10月)、第2期3次4戸(平成27年11月)、第2期4次3戸・第2期5次11戸・第2期6次3戸(平成27年12月)供給致しました。

 

初観測!期分けごとに戸数・時期を開示している広告

期分けごとの発売戸数を開示しているチラシは、それほど多くない。

本日のように、さらに発売時期まで開示しているチラシは、11年あまり観測していて”初観測”である。

 

期・次と戸数、発売時期がゴチャゴチャ並んでいるだけで、イメージがつかめないので、可視化(グラフ化)してみた。

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第1期1次の発売戸数130戸は、総戸数254戸の約5割。

その後、小刻みに発売し、第3期までの累計戸数が228戸(総戸数の約9割)。

竣工まで約8か月を残して、総戸数の9割近くを発売したのは大したもものだ。

ただ、発売した228戸の何割が契約に漕ぎつけたのかまでは開示されていない。

そもそも「期分け」とは何なのか?

マンション全体の住戸を小分けして、時期をずらして販売するのが「期分け」。期分けとは、人気住戸を均等化し、売れ残りを防ぐための手段のひとつ。

「期」にしても「次」にしても、数が増えるほど売れ行き不振のバロメーターと考えてよいだろう。

期・次よりももっと巧妙な表記がある

売れ行き不振をカムフラージュするために、「期」や「次」よりも、もっと手の込んだ表記が使われている広告がこれまでに観測されている。

たとえば「最終期」などは可愛いほうで、「最終期最終次」というヘンテコな表記もある。


さらに、「オータムステージ」「エクセレントステージ」といったイメージ先行の表記もある。

 

このような期分け販売はいつごろから始まったのか?

「期分け」は90年代末から常態化

東京カンテイが2011年10月27日に発表した「首都圏新築マンションの「期分け分譲」回数の現状を調査」(PDF:118KB)によれば、ネットにより集客などの分譲手法の合理化が進んだ1990 年代末以降「期分け回数」が増加したという。

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首都圏新築マンション、90年代末から「期分け販売」常態化 - マンション・チラシの定点観測」より

1998年に期分け回数が2.1回と初めて2回を上回って以降、2003年には3.4回と3回を突破。
2008年のリーマンショック後は、総戸数が増加していないのに、期分け回数は4.9回(09年)、5.4回(10年)、5.1回(11年)と大幅に増えている。

「期分け」の表示ルールはあるのか?

ところで、第1期とか第2期、第1期1次とか2次といった「期分け」について、何らかのルールはあるのか?

不動産業界が自主的に定め、公正取引委員会の認定を受けた「不動産の表示に関する公正競争規約」には、期分けについては何ら規定されていない。

「期」が重なるほど、その物件が売れていないというバロメーターになるのだが、ここに「次」が紛れ込むことで、売れ行き不振をカムフラージュすることができてしまう。

たとえば、「第1期3次」の次に「第1期4次」と表記せず、「第2期」と表記することで、それまでの次数が見えなくなってしまうのだ。

だから、消費者視点からいえば、「次」の使用を禁止することが望ましいのだが、このルールを決めているのは業界関係者なので、消費者が声高に訴えない限り、「次」の使用禁止ルールが採用されることはないだろう。

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2023年6月1日、このブログ開設から19周年を迎えました (^_^)/
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