マンション選びでは、不動産会社の名前に注目しがち。でも、マンションの質を支えているのは設計事務所と建設会社。両者の技術力にも注目したい。
建築系業界紙「日経アーキテクチャ」21年9月9日号に設計事務所の、同年9月23日号に建設会社の国家資格の保有者数が掲載されていたので、「技術力」ランキングとして整理してみた。
※最新版( 2022)もご覧ください。
「技術力」の指標
設計事務所や建設会社(ゼネコン)で技術力が高い会社はどこか?
そんなこと簡単に分からないだろっ!
たしかにその通りなのだが、便宜的な方法として、「建築系の国家資格保有者が多く所属している会社ほど技術力が高い」とみなしてはどうだろうか。
建築系の国家資格として、一般の人にも馴染みのあるのが1級建築士。設計事務所の所員にとっては必須。これがないと肩身が狭い。
建設会社の社員にとっての必須資格は、1級建築施工管理技士。まあ持っていなくても現場仕事はできるが、責任ある立場にはなれない。
これらの資格は、足の裏についた米粒のようなもの。取らなければ気になるが、取っても食えない。
1級建築士よりもさらに専門性の高い資格が構造設計1級建築士と設備設計1級建築士。05年に発覚した耐震偽装事件を受けて創設された資格。一級建築士371,184人に対して、構造設計一級建築士10,153人、設備設計一級建築士5,656人(20年4月1日現在、日本建築士会連合会)と、希少性の高い資格である。この資格がないと、一定規模以上の建築物の構造設計や設備設計ができない(関係規定への適合性の確認ができない)。
設計事務所
1級建築士数TOP50
1級建築士が300人以上所属している設計事務所は7位まで。100人以上は25位まで(次図)。
NTTフアシリティーズと乃村工芸社の1級建築施工管理技士の人数が突出しているのは、両社が現場との係わりが強いこととも関係があるのだろう。
設計事務所の1級建築士数ランキングTOP50の上位には、一つの設計事務所で、意匠・構造・設備・エンジニアリングができる「組織系建築設計事務所」が並ぶ。
なかでも1位の日建設計(住友系)は、役員・職員数2035名(21年4月1日現在)が在籍する設計事務所の最大手。
( )内数値は、各資格の保有者数。「-」は無回答または未記入。
- 会社名(1級建築士、1級建築施工、構造1級、設備1級)
- 1位:日建設計(910、49、95、68)
- 2位:NTTファシリティーズ(722、227、54、42)
- 3位:日本設計(512、13、39、25)
- 4位:三菱地所設計(408、44、33、37)
- 5位:久米設計(355、20、38、21)
- 6位:JR東日本建築設計(332、49、29、10)
- 7位:梓設計(312、23、20、15)
- 8位:山下設計(267、8、25、22)
- 9位:石本建築事務所(211、16、26、18)
- 10位:佐藤総合計画(210、7、16、14)
- 11位:大建設計(208、13、30、25)
- 12位:東畑建築事務所(206、5、17、9)
- 13位:安井建築設計事務所(200、18、23、9)
- 14位:松田平田設計(191、12、17、12)
- 15位:アール・アイ・エー(131、5、7、11)
- 16位:あい設計(129、16、29、13)
- 16位:東急設計コンサルタント(129、10、5、5)
- 18位:日立建設設計(127、19、10、5)
- 19位:内藤建築事務所(125、20、9、13)
- 19位:INA新建築研究所(125、3、8、2)
- 21位:乃村工芸社(122、307、-、-)
- 22位:綜企画設計(117、9、6、7)
- 23位:日企設計(112、3、2、2)
- 24位:類設計室(102、2、7、12)
- 25位:昭和設計(93、5、5、4)
- 26位:パシフィツクコンサルタンツ(89、6、5、4)
- 26位:IAO竹田設計(89、2、2、6)
- 28位:日建ハウジングシステム(78、5、7、6)
- 29位:伊藤喜三郎建築研究所(69、2、4、4)
- 30位:ジェイアール西日本コンサルタンツ(68、14、6、5)
- 31位:交建設計(62、2、1、6)
- 32位:東電設計(56、2、23、3)
- 32位:日総建(56、2、6、2)
- 34位:横河建築設計事務所(55、3、4、3)
- 35位:プランテック(54、6、2、1)
- 35位:教育施設研究所(54、2、5、2)
- 37位:浅井謙建築研究所(52、1、2、6)
- 38位:楠山設計(49、8、1、5)
- 39位:国建(48、7、6、3)
- 40位:北海道日建設計(44、3、3、5)
- 41位:相和技術研究所(43、3、4、6)
- 42位:阿波設計事務所(42、6、3、3)
- 43位:アルテス(40、11、28、0)
- 43位:浦野設計(40、11、1、8)
- 43位:泉創建エンジニアリング(40、8、9、5)
- 43位:伊藤建築設計事務所(40、3、5、8)
- 47位:エーシーエ設計(39、12、3、4)
- 48位:フケタ設計(38、2、5、14)
- 49位:日本工営(35、9、0、0)
- 50位:JFE設計(34、10、7、1)
1級建築士数の推移
設計事務所の1級建築士の人数上位20社(20年度)の推移を可視化したのが次図。
日建設計がダントツ。2位NTTファシリティーズ、3位日本設計。
あとは、300人前後の塊と200人前後の塊。
建設会社
1級建築士数TOP50
1級建築士が2,000人以上所属している建設会社は7位まで。1,000人以上は9位まで、500人以上は13位まで(次図)。
建設会社では、1級建築士を所有している社員の多くは1級建築施工管理技士も所有している。だから次図では、赤線(1級建築施工管理技士)は、概ね青線(1級建築士)を上回っている。
建設会社の1級建築士数ランキングは、スーパーゼネコン5社(鹿島、清水、大成、大林、竹中)を抑えて、住宅メーカーの積水ハウスと大和ハウス工業が1位と2位。
( )内数値は、各資格の保有者数。「-」は無回答または未記入
- 会社名(1級建築士、1級建築施工、構造1級、設備1級)
- 1位:積水ハウス(2,919、-、-、-)※19年(2,823、1,780、13、9)
- 2位:大和ハウスエ業(2,648、3,350、126、237)
- 3位:大成建設(2,552、2,691、143、107)
- 4位:竹中工務店(2,407、2,295、225、84)
- 5位:鹿島(2,393、2,851、178、110)
- 6位:大林組(2,071、2,742、154、58)
- 7位:清水建設(2,051、2,915、184、107)
- 8位:大東建託(1,419、1,967、17、7)
- 9位:戸田建設(1,072、1,410、38、27)
- 10位:長谷工コーポレーション(721、866、40、4)
- 11位:フジタ(667、1,026、43、24)
- 12位:前田建設工業(608、928、36、24)
- 13位:安藤ハザマ(603、1,024、28、17)
- 14位:三井住友建設(482、874、31、13)
- 15位:東急建設(440、726、17、17)
- 16位:西松建設(438、821、21、15)
- 17位:五洋建設(398、611、20、10)
- 18位:奥村組(384、620、32、13)
- 19位:熊谷組(360、661、17、10)
- 20位:鴻池組(287、592、24、11)
- 21位:鉄建建設(218、428、5、5)
- 22位:大和リース(207、451、16、26)
- 23位:佐藤工業(204、411、12、9)
- 24位:浅沼組(181、441、7、5)
- 25位:飛島建設(165、255、10、3)
- 26位:銭高組(142、220、13、2)
- 27位:矢作建設工業(137、311、6、4)
- 28位:福田組(124、258、6、3)
- 29位:日本国土開発(121、387、12、6)
- 30位:松井建設(115、332、7、2)
- 31位:木内建設(109、197、7、10)
- 32位:JFEシビル(108、238、8、4)
- 33位:東亜建設工業(102、287、4、2)
- 34位:北野建設(100、233、7、4)
- 35位:イチケン(91、271、5、6)
- 36位:大豊建設(86、235、4、5)
- 37位:大成ユーレック(85、176、3、2)
- 38位:大本組(78、227、9、3)
- 39位:東洋建設(75、286、2、4)
- 40位:岩田地崎建設(74、179、2、1)
- 41位:青木あすなろ建設(70、265、3、6)
- 42位:大末建設(69、226、4、10)
- 42位:村本建設(69、281、2、1)
- 44位:TSUCHIYA(67、151、2、1)
- 45位:ピーエス三菱(65、213、12、2)
- 45位:ボラテック(65、29、1、0)
- 47位:松村組(59、144、2、0)
- 48位:りんかい日産建設(57、147、2、1)
- 49位:松尾建設(55、187、1、2)
- 50位:東鉄工業(53、236、3、1)
1級建築士数の推移
建設会社の1級建築士の人数上位20社(20年度)の推移を可視化したのが次図。
積水ハウスがダントツで、第2グループが大和ハウスとスーパーゼネコン。あと、大東建託と戸田建設。
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売上高は2015年度以降、技術力は2016年度以降のランキングをご覧いただけます。