都の有識者検討会で7月18日、「東京における分譲マンションの適正な管理の促進に向けた制度の基本的な枠組み 素案(案)」が示された。
「要届出マンション」という用語が登場!
※下記朱書きは、筆者の雑感。
都、老朽化対応 報告義務付け(読売記事)
都の有識者検討会で7月18日、「東京における分譲マンションの適正な管理の促進に向けた制度の基本的な枠組み 素案(案)」が示された。
今年度中にも、管理組合の義務規定を盛り込んだ条例案を都議会に提出する方針だという。
老朽化対応 報告義務付け
都は、分譲マンションの管理組合に対し、耐震診断結果などの報告を義務付ける条例を策定する方針を固めた。都の有識者検討会で18日、報告制度の素案が示された。
(中略)
都は有識者検討会が11月にまとめる報告書をもとに、今年度中にも、管理組合の義務規定を盛り込んだ条例案を都議会に提出する方針。対象は、分譲マンション約5万3000棟のうち、1983年以前に建てられた6戸以上のマンション約1万4000棟になる見通し。(読売新聞 7月19日)
分譲マンションの適正な管理の促進制度素案(案)
有識者会議(マンションの適正管理促進に関する検討会)の第4回検討会の資料が7月23日、都市整備局のページにアップされたので、ひも解いてみよう。
「東京における分譲マンションの適正な管理の促進に向けた制度の基本的な枠組み 素案(案)」は、パワーポイント形式で全10枚(次図)。
管理組合が取り組むべき事項(6項目)
「管理組合が取り組むべき事項」として、次の6項目が掲げられている(P6)。
- (1)管理組合の運営体制の整備
- (2)管理規約の作成等
- (3)総会の開催等
- (4)管理費及び修繕積立金の設定
- (5)計画的な修繕の実施
- (6)その他、適正な管理を行う上で重要な取組
いずれも極めて常識的な内容となっている。
ただ、6項目のうち、(1)~(5)のいずれかが行われていない場合には、「管理不全の兆候が疑われる」マンションとして扱われる。この情報が世間に知れ渡ると資産価値の下落は必須。
「管理組合の機能強化を図る施策(イメージ)」として、掲げられているのが、「管理状況の把握」と「管理状況に応じた助言・支援等」の2項目。
「要届出マンション」は5年ごとに届出
「要届出マンション」の管理状況について、5年ごとに届出を求めるとしている。その後、すべてのマンションに届出範囲を拡大。
- 管理不全の兆候が疑われるマンションを確実に把握するため、マンションの管理組合等から管理状況について5年ごとに届出を求めます。
- 届出を求めるマンション(要届出マンション)については、まず、管理組合に関する明確な規定がなかった、昭和58年の区分所有法改正以前に建築されたマンションのうち、人の居住の用に供する独立部分の数が6以上であるものとします。
- 制度開始後、届出状況等をみながら、すべてのマンションを届出対象にしていきます。
(「管理状況の把握」P7)
「制度開始後、届出状況等をみながら、すべてのマンションを届出対象にしていきます」というのでは、要届出マンションの届出率が高くないことを認めてしまっている。
効果的なインセンティブや、強力な罰則規定がなければ、いくら義務化しても、5年ごとの届出作戦は画餅に終る。
届出によって管理状況を確認し…
届出によって管理状況を確認し、管理状況に応じた助言・支援等を行うとしている。
届出によって管理状況を確認し、これまで実施してきた支援策に加え、管理状況に応じた助言・支援等を行うことで、管理不全の予防・改善及び適正な管理を促進します。
(「管理状況に応じた助言・支援等」P8)
助言・支援のトリガーが届出になっている。届出がなければ物事は始まらないというフローだ(次図)。
一応「未届出マンションへの督促・指導」というプロセスは入っているが、どこまで実効性があるか……。
「制度運用のイメージ」(P9)