緊急事態宣言を踏まえた自粛要請で、新型コロナウイルス感染患者の急増を抑え込むことができるのか。仮に2週間後に自粛の成果が見られたとしても、集団免疫を獲得するか、ワクチンが完成するまで第2波、第3波の感染拡大の不透明感がつきまとう。
コロナ後の不動産市場は、どうなるのか? そのとき私たちはどうすればいいのか?
業界関係者の予想をピックアップしておいた。最後に雑感。
※日付の新しい順。
- 榊淳司氏(不動産ジャーナリスト):マンション市場に健全な調整をもたらす
- 沖有人氏(不動産コンサル):ハイパーインフレに備え、自宅購入
- 山崎元氏(経済評論家):「全力で逃げる!」ことをお勧めする
- 牧野知弘氏(オラガ総研):郊外の広々とした住宅を選ぶ人も増える
- 長嶋修氏(不動産コンサル):「コロナ後」の不動産市場は全く異なる光景に
- 水永政志氏(不動産会社社長):3割ぐらいまで下がってもおかしくない
- ★雑感★
榊淳司氏(不動産ジャーナリスト):マンション市場に健全な調整をもたらす
マンション市場全体の価格調整は湾岸エリアのみならず、局地バブルが生じた全エリアに及ぶはずだ。
(中略)
結局、マンションといえども、その価格は需要と供給の関係で決まる。時の勢いでバブルが生じても、いつかは健全な需給バランスに戻るのである。そうした意味では、コロナウイルスによる世界同時不況の到来は、図らずもマンション市場に健全な調整をもたらすのではないだろうか。
沖有人氏(不動産コンサル):ハイパーインフレに備え、自宅購入
自国通貨の価値が大きく下落するハイパーインフレの可能性があることも、視野に入れておいた方がいい。そうした事態に備えて個人ができることは、限られている。
(中略)
コロナショックは日本の財政寿命を縮めた。1年先延ばししても東京五輪が開催できない可能性を考えると、日本は借金を増やしただけに等しくなり、世界から財政赤字が問題視されることになる。2021年の五輪が万一中止になるとしたら、そのタイミングを購入までのタイムリミットと考えると、あと1年が限界とはいえないだろうか。
こうした自宅購入は単身の方にもお勧めしている。「賃貸は持ち家より損」「結婚してから、子どもが育ってからでいい」などと言っていては、損が膨れていくだけだ。住宅ローンは年収の7倍程度まで組めるので、年収400万円でも2800万円くらいは借りられる。頭金がなければ、親からの贈与でも借金でもいい。社会人なら誰もが自宅購入を考える必要がある。2020年にやっておかないといけないことは、何よりも自宅購入なのである。
山崎元氏(経済評論家):「全力で逃げる!」ことをお勧めする
「不動産を買ってしまいそうな人」には、「全力で逃げる!」ことをお勧めする。
不動産価格は株価に遅れて下落する傾向がある。
「不動産を買ってしまいそうな人」には、「全力で逃げる!」ことをお勧めする。
今後、ある程度の規模の不況は不可避であり、これまで有力な買い手だった外国人の不動産購入も減るはずだ。海外の不動産価格も下落する公算が大きいと思われる。
牧野知弘氏(オラガ総研):郊外の広々とした住宅を選ぶ人も増える
普段はテレワークで仕事をして、たまに出勤するというやり方でも、十分に仕事を回せる職種は多いはずです。
そうなると、7、8千万円も出して、わざわざ都心のタワーマンションに住む必要はない。その半額程度で買える、郊外の広々とした住宅を選ぶ人も増えるのではと思います。
長嶋修氏(不動産コンサル):「コロナ後」の不動産市場は全く異なる光景に
総戸数4000戸を超える晴海フラッグの売れ行き鈍化は、都心部・都市部の新築マンション市場全体に悪影響を及ぼすこと必至だ。
(中略)今後の不動産市場は結局、新型コロナウイルスの行方にかかっており、感染拡大のいまは完全に“ロックダウン”状態に陥っている。マンション市場の先行きはまったく見通しが立たないが、いずれにせよ「コロナ前」と「コロナ後」の不動産市場は全く異なる光景になっているだろう。
水永政志氏(不動産会社社長):3割ぐらいまで下がってもおかしくない
リーマンショックで起きたことを考えると、高級マンションや商業施設、ホテルなどは「半値八掛け2割引」、すなわち今の価格の3割ぐらいまで下がってもおかしくない。逆に、手ごろな価格の中古マンションは5%程度の下落で済むと見ています。
★雑感★
ハイパーインフレの可能性にまで踏み込んでいる沖氏の自宅購入戦略にはゾットさせられる。本当にハイパーインフレのような事態が起これば、金融リテラシーの差が貧富の差につながってしまう恐ろしい世界だ。
今後日本でも死者が急増するようなことになれば、従来のビジネス・スタイルや住まい方を変えざるを得ないことに多くの人は気づくはずだ。「『コロナ前』と『コロナ後』の不動産市場は全く異なる光景になっているだろう」という長嶋氏の予想はあり得る世界なのかもしれない。
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