『千里眼』や『催眠』シリーズなどのミリオンセラー作家、松岡圭祐の書下ろし『瑕疵借り』講談社文庫 (2018/5/15)を読了。
訳あり物件に住み込む藤崎達也。
賃借人が死んだり事件事故が起きたりして、瑕疵の説明義務が生じた物件にあえて住む”瑕疵借り”を生業としている。色白で鼻筋の通った痩せた30代半ばのこの男性。
4つの短編(原発関連死、賃借人失踪、謎の自殺、家族の不審死)で、それぞれ瑕疵の原因を突き止め、物件から瑕疵を洗い流していく。
藤崎が頼られるのは、居直ったように割りきった専業の瑕疵借りだからではない。ごくわずかな期間で引き払おうと、後日問題が生じないのも、巧妙な隠蔽や根まわしがあるからではない。
彼は瑕疵借りとして住みながら、物件の問題点を洗いだす。琴美が部屋を訪ねる前から、すでに事情を解明しつつあった。彼のやり方なのだろう。立つ鳥跡を濁さず、それが藤崎という瑕疵借りだった。(「土曜日のアパート」P87)
読後が爽やかな社会派賃貸ミステリー小説の誕生!?
そのうちコミックスかテレビドラマ化するかも……。