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「外国人の爆買い」は誤解なのか? 国交省の“不親切な”データが隠す衝撃の事実

マンション価格高騰の真犯人は誰か? 国交省の調査結果は「海外からの取得は一部地域に限定的」と示唆する。

だが、そのデータは国内在住の外国人をカウントしておらず、不完全である。独自に深掘りした結果、都心でなく葛飾区で短期売買が爆発し、購入者は台湾勢に集中するという、衝撃の事実が判明した。


もくじ

メディア報道:外国人による投機的取引の影響は一部地域に限定的

マンション価格の高騰が止まらない。 「外国人が買い漁っているからだ」という噂が飛び交う中、国土交通省が11月26日、ついに「不動産登記情報を活用した新築マンションの取引の調査結果」を公表した。

主要メディアはこの発表に一斉に飛びついた。

  • 【朝日】新築マンションの短期転売、東京23区で9.3%
  • 【読売】外国居住者の取得が倍増3.0%
  • 【日経】海外からの取得3.5% 高騰への影響注視
  • 【Bloomberg】都心マンション取得者の7.5%が海外から

各社の論調はおおむね共通している。「海外居住者による取得や短期売買は増えているが、影響は一部地域に限定的である」というものだ。

だが、本当にそう言い切っていいのだろうか? 発表された資料を読み込むほどに、ある種の「違和感」が拭えなくなってくるのだ。

「実態は把握できていない」という大臣の告白

まず、根本的な疑問がある。「外国人」の定義だ。

25日の定例記者会見で、金子恭之国交相が記者から鋭い質問を受けた。「大部分の購入者が日本人であり、外国人の割合は少ない旨を発信される御予定などがあればお願いします」と。

これに対する大臣の回答が、実に正直すぎて驚く。

「国内に住所のある外国人による取得の実態は把握できていない」

今回の調査は不動産登記情報に基づいているが、そこには「国籍」が含まれていない。つまり、今回明らかになった数字は、あくまで「海外に住所がある人」の話にすぎない。日本国内に住み、日本の不動産を買い漁る外国人の動きは、このデータからは完全に抜け落ちているのだ。

「今回の調査のみで短期売買による影響を特定することは困難」と大臣自らが認めている通り、この調査結果だけで「外国人の影響は限定的」と結論づけるのは、あまりに早計ではないか。

データの見せ方が「不親切」すぎる

さらに私が不信感を抱いたのが、国交省が公表したパワポ資料(全11ページ)の「見にくさ」だ。

グラフや表が詰め込まれているが、なぜか東京圏だけでなく、大阪圏や名古屋圏のデータまで混在している。そもそも新築マンションの供給数は東京が圧倒的だ。供給数が少ない地域のパーセントを並べて平均化することで、事態を矮小化しようとしているのではないかと勘繰りたくなる。

しかも、肝心の実数(供給件数)が示されていない箇所が多く、パーセントだけで議論が進む。これはデータを分析する人間からすれば、最も警戒すべきパターンのひとつだ。

そこで、公表資料の断片的なデータから、あえて「東京23区」だけに絞って数字を拾い出し、私が独自に可視化を試みた。 すると、メディアが報じる「都心部だけの問題」という定説とは異なる、生々しい実態が浮かび上がってきた。

衝撃の事実1:港区以上の転売天国は「葛飾区」

資料には「中心部ほど短期売買割合が高い」とサラリと書かれている。 都心6区(千代田・中央・港など)の短期売買(1年以内の転売)割合は12.2%。確かに高い。

だが、区ごとのデータをグラフに落とし込んで驚愕した(次図)。

新宿(19.6%)、渋谷(14.6%)が高いのは予想通りだ。しかし、それらを抑えてトップに躍り出たのはどこか。 葛飾区である。その割合、実に21.6%。

さらに板橋区(16.5%)や墨田区(14.8%)も、港区(7.7%)を遥かに上回る高水準を示している。 「金持ちが都心のタワマンを転がしている」という単純な構図ではない。都心へのアクセスが良く、相対的に割安感のあった城東・城北エリアが、いまや投機マネーの主戦場と化している可能性があるのだ。

図:新築マンションの短期売買の状況(東京23区)

衝撃の事実2:海外勢は「荒川区・北区」を狙っている!?

次に、「海外に住所がある人」がどこを買っているかを見てみよう。ここでも「中心部ほど高い」という定説が揺らぐ。

トップは新宿区(14.6%)で、渋谷や千代田が続くのは分かる。 だが、注目すべきは北区(8.1%)や荒川区(7.7%)だ。なんと、ブランドエリアである港区(4.3%)よりも高い割合で、海外在住者が購入しているのだ。

一方で、中央区や板橋区、墨田区などは0.0%となっている。 つまり、海外マネーは「東京全体」に流れているのではない。特定の区、あるいは特定の物件へ、ピンポイントで爆撃的に投下されている。

図:国外に住所がある者による新築マンション取得の状況(東京23区)

衝撃の事実3:チャイナマネーではない。「台湾一強」時代

最後に、誰が買っているのか。 かつては中国・香港・台湾が拮抗していた。しかし、コロナ禍を経てその勢力図は激変した。

図:東京23区で新築マンションを取得した国外に住所がある者の国・地域

中国や香港からの購入が縮小・停滞する中、台湾からの購入だけが異次元の急増を見せている。2025年は半年間だけで192件。これは中国(30件)の6倍以上だ。欧米勢など誤差の範囲にすぎない。

半導体バブルに沸く台湾マネーが、円安を好機と見て日本の不動産になだれ込んでいる――そんな仮説が、このデータからはっきりと透けて見える。

国交省の発表を鵜呑みにして「影響は限定的」と安心している場合ではない。 見えにくいデータの中にこそ、市場の地殻変動を示すシグナルが隠されているのだ。

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2025年6月1日、このブログ開設から21周年を迎えました (^_^)/
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