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首都圏中古マンション市場動向(25年12月)|都内在庫は枯渇するも、都心3区のみ「在庫反転」の兆し

東日本不動産流通機構は1月13日、「月例マーケットウオッチ・サマリーレポート」(25年12月度)を発表した。

同レポートには首都圏の中古マンション市場動向も記されている。

中古マンション:首都圏概況

  • 成約件数は、前年同月比プラス25.9%と24年11月から14ヶ月連続で増加
  • 成約㎡単価は、前年同月比プラス9.0%と20年5月から68ヶ月連続で上昇。前月比も3.5%上昇
  • 成約価格は、前年同月比プラス8.2%と24年11月から14ヶ月連続で上昇。前月比も2.6%上昇
  • 専有面積は、前年同月比マイナス0.7%とほぼ横ばいながら2ヶ月ぶりに縮小。前月比もマイナス0.8%
  • 在庫件数は、前年同月比マイナス3.6%と5ヶ月連続で減少

これだけではよく分からないので、同機構が過去に発表したデータも含め、首都圏の中古マンション市場動向を可視化した。


もくじ

首都圏

成約単価

首都圏の中古マンション成約単価は、アベノミクス開始以降、新築価格の上昇を後追いする形で上昇し、2017年に50万円/㎡を突破した。18~19年にかけて伸びは一服したものの、19年以降は再び上昇基調に入る(次図)。
コロナ第1波では一時的な調整が入ったが回復は早く、21年以降は70万円台での滞留を経て、再び上値を切り上げた。24年8月に一度下押しする局面はあったものの、下落は短期にとどまり、25年12月には85.08万円/㎡と過去最高水準に達している。

新築・中古マンション単価の推移(首都圏)

(新築マンションの発売単価は、不動産経済研究所データによる)

成約件数

首都圏市場の活況を裏付けるのが、成約件数の力強い推移である(次図)。

25年12月の成約件数は3,975戸。前年同月比25.9%増という伸び率もさることながら、注目すべきはその「高さ」だ。08年以降の長期トレンドを俯瞰しても、12月単月の取引量としては過去最高水準を更新し続けている

中古マンション成約件数の推移(首都圏)

では、この回復は一時的な反動なのか、それとも基調的な増加なのか。次に前年同月比で確認する(次図)。

新型コロナ感染拡大の影響により、2020年4月には▲52.6%と急激な落ち込みを記録したが、その後は反動増によって一時的に大きく回復した。
21年以降は増減を繰り返しながら横ばい圏で推移してきたが、25年に入ってからは増加基調が明確になりつつある。25年12月は前年同月比25.9%増となった。

中古マンション成約件数前年同月比の推移(首都圏)

在庫件数

首都圏の中古マンション在庫件数は、コロナ禍による取引停滞の影響を受け、2021年6月に底を打った。その後は取引再開とともに在庫が積み上がり、23年から24年初頭にかけて増加傾向が続いた。
ただし、2024年2月を境に在庫は頭打ちとなり、直近では減少方向に振れ始めている。中長期的に見れば、在庫は増減を繰り返しながらも、足元では需給が再び引き締まりつつある局面と読める

中古マンション在庫件数の推移(首都圏)

1都3県

成約単価

東京都が一貫して他県を大きく上回り、時間の経過とともにその差を広げてきたことが分かる(次図)。

都内の成約単価は、アベノミクス開始以降、長期的に上昇基調を維持してきた。コロナ第1波で一時的な調整は入ったものの回復は早く、22年秋にかけて上昇が加速。その後いったん調整局面を挟みつつ、足元では再び上値を切り上げている。25年12月の成約単価は120.12万円/㎡である。

なお、円の大きさが示す成約件数を見ると、東京都は価格上昇と同時に一定の取引量を維持しており、価格高騰が一部の特殊取引に偏っていないことも読み取れる。

中古マンション成約単価・件数の推移(1都3県)

成約件数

1都3県の成約件数は、都内の一極集中が鮮明だ(次図)。

12月の都内の成約件数は2,096件(前年同月比23.6%増)。

中古マンション成約件数の推移(1都3県)

東京都の成約件数(前年同月比)の推移を辿ると、市場の「地殻変動」が浮き彫りになる(次図)。 20年4月に記録したコロナショックによる▲55.3%の激震。そこからの急回復を経て、今、再び市場が沸騰している。25年12月は23.6%増。

中古マンション成約件数前年同月比の推移(東京都)

在庫件数

中古マンション市場の「鮮度」を測る在庫件数の推移に、異変が起きている(次図)。

都内の在庫は23年5月を境に、堰を切ったように減少へ転じた。コロナ禍の「在庫積み上がり」という調整局面は完全に終わり、現在は強烈な需要が市場のストックを急速に食いつぶしている状態だ

この急勾配な右肩下がりのラインは、買い手にとっての「選択肢の消失」を意味する。供給が追いつかない中での成約増が、価格をさらに押し上げる歪んだ構造が透けて見える。

中古マンション在庫件数の推移(1都3県)

23区

成約単価

23区の成約単価は、エリア間の乖離が極めて鮮明となっている(次図)。

牽引役は都心3区(千代田・中央・港)である。同エリアの㎡単価は24年12月に200万円の大台を再び突破。25年12月には224.82万円に達した。これは70㎡換算で約1億5,700万円に相当し、中古物件でありながら一般的な実需層の購買余力を大きく上回る水準だ。

次図における都心3区(青いドット)の上昇曲線は、城東や城北といった他エリアの推移とは明らかに異なる角度を描いており、都心部への需要集中による価格形成の特異性が読み取れる

中古マンション成約単価の推移(23区)

23区の序列は、岩盤のように固い(上図)。

成約単価は「都心3区」を筆頭に、城西、城南、城北、城東の順で綺麗に階層化されている。注目すべきは、下位エリアの単価が上昇しても、上位エリアがそれを上回る速度で逃げ切っている点だ。

  • 都心3区:千代田、中央、港(独走状態)
  • 城西・城南地区:新宿、渋谷、杉並、中野/品川、大田、目黒、世田谷(実需の限界を試す高値圏)
  • 城北・城東:文京、豊島、北、板橋、練馬/台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川(かつての都心価格が今の城東価格に)
成約件数

23区市場の動向を把握するため、取引ボリュームの大きい城東地区と、高単価物件が集中する都心3区の成約件数を比較した(次図)。

両エリアの成約件数は長期的に増加傾向にあり、特に25年以降の伸びが顕著である。城東地区は25年に入り、月間成約件数が600件に迫る水準を記録した

都心3区においても、成約単価が大幅に上昇している局面(前図参照) にありながら、成約件数は減少することなく過去最高水準を維持している。価格の上昇が取引の停滞を招くのではなく、高い流動性を伴いながら価格が形成されている現状が、統計データから確認できる。

中古マンション成約件数の推移(23区)

 

エリア別の成約件数前年比を確認すると、25年に入り市場のフェーズが変化したことがわかる(次図)。

20年4月の急落と反発を経て、24年までは前年比±20%圏内の推移が続いていた。しかし25年に入ると、都心3区・城東地区ともに伸長率が加速。25年後半には、コロナ後の特殊要因を除けばアベノミクス以降で最大級となる前年比50%超の水準を記録した。

12月は20%台へ落ち着きを見せたものの、依然として過去10年の平均値を上回る高水準な取引が継続している。

中古マンション成約件数前年同月比の推移

在庫件数

23区の在庫状況は、都心と周辺部で対照的な動きを見せている(次図)。

23区全体では23年5月を境に在庫の絞り込みが進み、供給が需要に追いつかない状態が続いてきた。しかし、都心3区だけは25年3月を境に底打ちし、反転増加している点が極めて示唆的だ。

城東や城南が在庫減少による「売り手市場」を維持する一方で、単価高騰が先行した都心部では、購入層の選別が進み、滞留物件が出始めている可能性がある

中古マンション在庫件数の推移(23区)

★まとめ

高水準で推移する単価と需給の変調 25年12月の市場動向をまとめると、成約単価の上昇とともに取引量も高水準を維持しており、依然として活発な市場環境にある。ただし、エリアごとに需給バランスの動きには差異が見られる。

  • 首都圏
    • 成約単価:20年4月の下落以降、長期的な上昇基調が続く。24年8月の調整を経て再び上昇し、25年12月は85.08万円/㎡に達した。
    • 成約件数:25年に入り、過去のトレンドを上回る増加傾向が鮮明となっている。25年12月は前年同月比25.9%増を記録した。
    • 在庫件数:24年2月をピークに減少傾向にあり、需給は再び引き締まる方向に振れている。
  • 東京都(1都3県全体)
    • 成約単価:24年8月の下落後、横ばい圏を経て再び上昇。都内一極集中の傾向が継続している。
    • 成約件数:首都圏全体と同様、25年に入り取引量が増加。25年12月は23.6%増となった。
    • 在庫件数:23年5月をピークに減少が続いており、市場のストックは減少傾向にある。
  • 都心3区(千代田、中央、港)
    • 成約単価:24年12月に㎡単価200万円を再突破したあと上昇が加速し、25年12月は224.82万円を記録。
    • 成約件数:単価の大幅な上昇局面においても取引量は細っておらず、過去最高水準の流動性を維持している。
    • 在庫件数:他エリアが減少傾向にある中、都心3区のみ25年3月以降、在庫が反転増加している。

都心3区で見られる「在庫の反転」は、価格高騰に伴う物件の選別や滞留を示唆する動きであり、今後の成約価格および件数にどのような影響を及ぼすか、注視が必要である。

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