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都議会|立憲民主党「政務活動費」ランキング(23年度)議員の使い道を徹底調査!

都議会議員に交付されている政務活動費は適切に使われているのか。

都議会議員の多い5会派(自民・都ファ・公明・共産・立憲)のなかで、立憲民主党の「政務活動費」に占める「広報紙(誌)発行費」の割合は4割程度であることを既にこのブログで紹介した(都議会|5会派の「政務活動費」)。

「政務活動費」に占める「広報紙(誌)発行費」の割合

立憲民主党「政務活動費」の支出内訳(年度別)

本日は、都議会がHPで公開している「収支報告書・会計帳簿・領収書等」を元に立憲民主党の23年度の「政務活動費」につき、さらに深掘りする。

※以下、敬称略


もくじ

「政務活動費」支出内訳

共通・議員合計「政務活動費」の支出内訳(23年度)を次図に示す。

※立憲民主党に交付された23年度の「政務活動費」(8,900万円)は、「立憲民主党」(≒議員共通)と16名の各議員(24年衆院選辞任2名、23年市長選辞任1名を含む)で帳簿が整理されている(執行残0円、執行率100%!)。

条例で規定された全14項目のうち、最も多いのは「広報紙(誌)発行費」。次いで「人件費」「事務所費」。

「人件費」「事務所費」といった「調査活動補助費」としての固定的経費を除くと、ほとんどが「広報紙(誌)発行費」を占めていることが分かる。

共通・議員合計「政務活動費」の支出内訳 立憲民主党(23年度)

「政務活動費」月次変化

共通・議員合計の「政務活動費」の月次変化(23年度)を次図に示す。

年度末の3月に各議員の「広報紙(誌)発行費」が集中している。

共通・議員合計「政務活動費」の月次変化 _立憲民主党(23年度)
※各月の棒グラフの左側が共通、右側が議員合計を示している。

議員ランキング

立憲民主党に交付された23年度の「政務活動費」(8,900万円)のうち、「立憲民主党」(≒議員共通)分(約3,417万円)と執行残(ゼロ円!)を除く約5,483万円につき、16名の各議員(24年衆院選辞任2名、23年市長選辞任1名を含むの支出内訳を次図に示す。

立憲民主党議員別「政務活動費」の支出内訳(23年度)

23年度途中で辞任した下記4名については、金額の多寡留意要。

  • 阿部祐美子 (1期、品川)24年10月27日:衆院選、当選(比例復活)
  • 五十嵐えり (1期、武蔵野)24年10月27日:衆院選、当選
  • 酒井大史(5期、立川)23年9月3日:立川市長選挙、当選
  • 鈴木烈(1期、立川)23年10月15日:都議補選、当選

期数と政務活動費との関係は特に見られない(次図)。

期数と政務活動費の関係(立憲民主党23年)

政務活動費

「政務活動費」が最も多いのは宮瀬英治 445万円(3期、板橋)、最も少ないのは(※1)斉藤りえ 221万円(1期、大田)。その差224万円。

※1:酒井大史 (辞任⇒立川市長選挙3年9月3日:立川市長選挙、当選)と鈴木烈(23年10月15日:都議補選、当選)を除く。

多い議員:宮瀬英治 445万円(3期、板橋)

「政務活動費」が多い議員上位10名を以下に示す。

※千円以下は四捨五入

  • 1位:宮瀬英治 445万円(3期、板橋)
  • 2位:山口拓 440万円(4期、世田谷)
  • 3位:中村ひろし 439万円(4期、三鷹)
  • 4位:須山たかし 438万円(1期、八王子)
  • 5位:藤井とものり 437万円(2期、練馬)

  • 6位:風間ゆたか 436万円(1期、世田谷)
  • 7位:西沢けいた 434万円(4期、中野)
  • 8位:中田たかし 433万円(1期、渋谷)
  • 9位:関口健太郎 427万円(1期、杉並)
  • 9位:竹井ようこ 427万円(1期、小平)
少ない議員:斉藤りえ 221万円(1期、大田)

「政務活動費」が少ない議員上位3名を以下に示す。

酒井大史 152万円(辞任⇒立川市長選挙23年9月3日当選)と鈴木烈184万円(都議補選23年10月15日)を除くと斉藤りえ 221万円(1期、大田)の少なさが目立つ。

※千円以下は四捨五入

  • 1位:酒井大史 152万円(5期、立川)※23年9月3日:立川市長選挙、当選
  • 2位:鈴木烈 184万円(1期、立川)※23年10月15日:都議補選、当選
  • 3位:斉藤りえ 221万円(1期、大田)
    • 「調査委託費」(180万円)が政務活動費の8割(81%)を占めている。

広報紙(誌)発行費

「広報紙(誌)発行費」が最も多いのは浜中のりかた 428万円(1期、西東京)、最も少ないのは 斉藤りえ 41万円(1期、大田)。

多い議員:浜中のりかた 428万円(1期、西東京)

「広報紙(誌)発行費」が多い議員上位10名を以下に示す。

※千円以下は四捨五入

  • 1位:藤井とものり 379万円(2期、練馬)
  • 2位:風間ゆたか 347万円(1期、世田谷)
  • 3位:宮瀬英治 345万円(3期、板橋)
  • 4位:関口健太郎 293万円(1期、杉並)
  • 5位:阿部祐美子 272万円(1期、品川)

  • 6位:竹井ようこ 267万円(1期、小平)
  • 7位:須山たかし 255万円(1期、八王子)
  • 8位:五十嵐えり 236万円(1期、武蔵野)
  • 9位:西崎つばさ 225万円(1期、目黒)
  • 10位:山口拓 218万円(4期、世田谷)

「政務活動費」に対して「広報紙(誌)発行費」の占める割合が9割を超える議員は以下の2名。

  • 藤井とものり 99%(2期、練馬)
  • 風間ゆたか 91%(1期、世田谷)
少ない議員:斉藤りえ 41万円(1期、大田)

「広報紙(誌)発行費」が少ない議員上位3名を以下に示す。

※千円以下は四捨五入

  • 1位:斉藤りえ 41万円(1期、大田)
  • 2位:中村ひろし 46万円(4期、三鷹)
  • 3位:鈴木烈 88万円(1期、立川)

事務所費

「事務所費」が最も多いのは山口拓 122万円(4期、世田谷)、最も少ないのはゼロ円(2名)。

多い議員:山口拓 122万円(4期、世田谷)

「事務所費」が多い議員上位10名を以下に示す。

※千円以下は四捨五入

  • 1位:山口拓 122万円(4期、世田谷)
  • 2位:中田たかし 96万円(1期、渋谷)
  • 3位:中村ひろし 78万円(4期、三鷹)
  • 4位:西沢けいた 74万円(4期、中野)
  • 5位:鈴木烈 64万円(1期、立川)

  • 6位:西崎つばさ 63万円(1期、目黒)
  • 7位:関口健太郎 58万円(1期、杉並)
  • 8位:阿部祐美子 55万円(1期、品川)
  • 9位:宮瀬英治 53万円(3期、板橋)
  • 10位:須山たかし 49万円(1期、八王子)

「政務活動費」に対して「事務所費」の占める割合が2割を超える議員は以下の4名。

  • 1位:鈴木烈 35%(1期、立川)
  • 2位:山口拓 31%(4期、世田谷)
  • 3位:中田たかし 25%(1期、渋谷)
  • 4位:中村ひろし 20.3%(4期、三鷹)
ゼロ議員:2名

「事務所費」がゼロ円の議員は、以下の2名。

  • 斉藤りえ (1期、大田)
  • 藤井とものり (2期、練馬)

人件費

「人件費」が最も多いのは中村ひろし 220万円(4期、三鷹)、最も少ないのはゼロ円(8名)。

多い議員:中村ひろし 220万円(4期、三鷹)

「人件費」が多い議員上位8名を以下に示す。

※千円以下は四捨五入

  • 1位:中村ひろし 220万円(4期、三鷹)
  • 2位:中田たかし 80万円(1期、渋谷)
  • 3位:五十嵐えり 59万円(1期、武蔵野)
  • 4位:西沢けいた 53万円(4期、中野)

  • 5位:須山たかし 48万円(1期、八王子)
  • 6位:酒井大史 46万円(5期、立川)
  • 7位:竹井ようこ 40万円(1期、小平)
  • 8位:鈴木烈 32万円(1期、立川)

「政務活動費」に対して「人件費」の占める割合が2割を超える議員は以下の8名。

  • 1位:中村ひろし 57%(4期、三鷹)
  • 2位:酒井大史 30%(5期、立川)
  • 3位:中田たかし 21%(1期、渋谷)
ゼロ議員:8名

「人件費」がゼロ円の議員は、以下の8名。

  • 山口拓(4期、世田谷)
  • 西崎つばさ(1期、目黒)
  • 阿部祐美子(1期、品川)
  • 関口健太郎(1期、杉並)
  • 宮瀬英治(3期、板橋)
  • 風間ゆたか(1期、世田谷)
  • 斉藤りえ(1期、大田)
  • 藤井とものり(2期、練馬)

【参考】政務活動費について

政務活動費とは、議員が行う調査研究、情報収集、政策立案、広報・広聴活動等に要する経費に対して交付されるもの。政務活動費の使途基準は、東京都政務活動費の交付に関する条例「別表」により次表のように定められている。

政務活動費(別表)

政務活動費の交付対象は、会派(所属議員が1人の場合を含む)。交付額は、議員1人につき月額50万円×所属議員数(政務活動費の概要 | 東京都議会)。

東京都議会の「政務活動費関係規程」を以下に列挙しておく。

  • 地方自治法(抄)
  • 東京都政務活動費の交付に関する条例
  • 東京都政務活動費の交付に関する条例施行規則
  • 東京都政務活動費の交付に関する条例施行規程
  • 東京都政務活動費調査等協議会要綱
  • 東京都政務活動費に係る領収書等の写しの閲覧に関する要綱

政務活動費の手引|東京都議会

雑感

「広報紙(誌)発行費」3月に集中

年度末の3月に各議員の「広報紙(誌)発行費」が集中している(次図、再掲)。

「広報紙(誌)発行費」が自己PRのため、特に年度末の予算消化として使われている状況が透けて見える。

共通・議員合計「政務活動費」の月次変化       立憲民主党(23年度)

さらに言えば、23年度に交付された政務活動費(8,900万円)の執行率は100%。3月に領収書をかき集めて1円も残さないというのが党の方針なのか。

立憲民主党が17年度以降、政務活動費を100%消化しなかったのは21年度(97.1%)の1回だけなのである(次図)。

政務活動費の執行率_都議会5会派
【データで見る】都議会5会派の政務活動費」より

かつては「政務調査費」と呼ばれ、交付目的は「議員の調査研究」

そもそも「政務活動費」は、かつて「政務調査費」と呼ばれ「議員の調査研究」のために交付されていた。ところが、自治法の一部改正(2012年8月29日)のタイミングで議員修正によって「政務調査費」から「政務活動費」に改称された。そのときに交付目的が「議員の調査研究」から「議員の調査研究その他の活動に資するため」と変更され、使途が拡大されたのである

その使途に関して住民から批判が絶えない一方で、議員の間には、「調査」に関わらせていることが使途を窮屈にしているという不満が少なくなかったといいます。地方議会議長会三団体からは、この政務調査費については、①支出と調査研究活動の厳格な関連性が要求され、政務調査活勣が自己抑制的になる傾向がある、②住民への議員活動の成果の報告が政務調査費の対象となるかが微妙である、との理由から、「現行地方自治法上、調査研究活動に特化されている政務調査費制度を見直し、幅広い議員活動等に充てることができることを明確にするよう法改正を行うこと」という要望が自民党等に寄せられていました

そこで、「政務調査費」を「政務活動費」に改称し、交付の目的について100条14項に「その他の活動」の6文字を付加して「議員の調査研究その他の活動に資するため」とする改正が行われたのです。

(大森 彌「自治体議員入門」第一法規 2021/11/24,p75-76)

 

政務活動費は、議員報酬とは異なり、「交付することができる」となっていて、支給可否も額も任意。すでに政務活動費が既得権益視されているなか、政務活動費を2016年に廃止した自治体がある。大阪市泉南市(人口6.5万人、定数18人)だ。それまで1か月あたり5万円支給されていた政務活動費を廃止した理由は次のとおり。

廃止理由は、①条例や法によって、あるいは制度で規制されたものを、政務活動費と称して費用を支弁されていることが議員活動そのものに規制を加えることになり、議員の自主的活動の中で、自律的な政策提言を行うことのほうが、より柔軟な政治活動を行えるのではないかと考えること、②政務活動費の支給などを受けずに、議員が、その自主的活動の中で、自律的な政策提言を行うことのほうが、より柔軟な政治活動を行えるのではないかと考えること、③議会議員は、個々の自己責任で自由に議員活動を行うべきであり、政務活動費の交付によって、その活動に制限が及ぶことがないよう、現下の社会情勢等も勘案し、条例廃止を提案するということでした。

(同上,p88)

都議会にいる現在の維新議員は1名。松田りゅうすけ氏(1期、大田)。次回都議選で(25年7月予定)、維新候補が「身を切る改革」として「政務活動費」の廃止を訴えることはないのか……。

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