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羽田新ルート|「都及び関係区市連絡会」(令和5年度 第1回幹事会)コッソリ開催

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」の「令和5年度 第1回幹事会」が23年7月7日に開催されていたことをご存じだろうか。

※投稿23年8月11日(追記23年9月8日)


もくじ

都及び関係区市連絡会、今回もコッソリ開催されていた

東京都都市整備局の「羽田空港の更なる機能強化について」のページの「最終更新日」が8月10日17時、「令和5年8月10日」に変っていた。

どこが変わったのかと、目を皿のようにしてチェックしていくと、都市整備局の読みづらい「トピックス」に「都及び関係区市連絡会 第1回幹事会」が追記されたことに気づく(次図)。

毎度のことであるが、トピックスに掲載された日付がないので、ぼーっと見ているだけでは、新着情報であることに気が付かない。また、都HPの新着情報にも都市整備局HPの新着情報にも掲載されていないので、一般の都民が知ることは不可能である(それが狙いか…)。

都及び関係区市連絡会 第1回幹事会

リンク先を開くと、「議事の要旨」のほかに、「各区市の意見等」(PDF形式)が掲載されている。

会議の概要
  • 会議名 令和5年度羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会(第1回幹事会)
  • 開催日 令和5年7月7日(金曜日)
  • 出席状況
    • 東京都、千代田区、中央区、港区、新宿区、文京区、台東区、墨田区、江東区、品川区、目黒区、大田区、世田谷区、渋谷区、中野区、豊島区、北区、板橋区、練馬区、足立区、葛飾区、江戸川区、国土交通省
  • 議事の要旨
    *国土交通省より、騒音測定結果や部品欠落報告等についての説明

【各区市の意見等】(PDF形式)

  • 羽田小学校の騒音測定結果について、令和3年度と比較して令和4年度実測値の平均の数値が上昇している。引き続き騒音軽減対策をお願いしたい。
    • ⇒今後も引き続き、騒音の継続的なモニタリングを実施し、騒音軽減に取り組んでいく。
  • 令和3年度比で落下物の合計件数が減っていることに対して、何重にも対策を実施いただいていることに感謝。航空機との関係性は確認できていないが、本区では過去に氷塊落下が発生しており、航空機との関連性や蓋然性が高いのではないか、といった懸念が払しょくされていない。本区としては部品欠落の問題に対しては意識が高く、引き続き対策を実施いただきたい。また、資料内に昨年度の実績を掲載して頂いているが、経年の比較がわかるような資料をお願いしたい。落下物ゼロに向けて、どのような KPI を定めているのか

    また、令和3年度と令和4年度の部品欠落の件数を比較すると、500 グラム以上の件数が増えているが、1キログラム以上の重い部品とはどういったものか。
    • ⇒部品欠落報告制度を設けた目的は、落下物事案を防ぐことであり、落下物事案ゼロ件を続けていくことが目標である。部品欠落がゼロ件でも、落下物が1件発生したら意味がない。数値目標を示すことは難しいが、引き続き、落下物事案を発生させないための対策強化を続けていく。

      発生件数の比較について、これまではコロナ禍のため単純比較が難しかったが、今後は資料に示していくことを検討する。1キログラム以上の部品について、最も多いのはタイヤの一部である。その他には、ライトの破片、金属製の部品などがある。タイヤの破片は離陸、着陸時に欠落することが多く、空港敷地内で発見されることが殆どである。
  • ホームページ等で様々な情報を公開していていることは承知しているが、新飛行経路における落下物が発生していないことや、2020 年度より国による機体チェックのチェック要員を増員したこと等についても積極的な情報発信をお願いしたい

    当区では、第二回定例会にて請願が提出された。内容は、国に、羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会の検討内容を住民に知らせるための住民説明会を開催するよう、再度求めるものである。審議の結果、全会一致で採択された。令和4年7月 14 日に、住民説明会の開催要請について、国土交通大臣宛に港区長、区議会長連名で要請文を提出しているものの、住民説明会が開催されていないことから、再度開催を求める請願が提出された

    また、技術的方策検討会が夏から秋にかけて開催されると聞いており、区民から、区の上空を飛ばなくなるのかどうかといった声があがっている。こうした区民の不安や疑問に答えるべく、教室型の住民説明会の開催を改めてお願いしたい。
    • ⇒然るべきタイミングで、説明の場を設けたい。実施時期、説明内容、方法等について、引き続き検討していく。
  • 当区においても、説明会開催の要望を受けている。改めて教室型の説明会の開催をお願いしたい

    また、通常の飛行ルートと異なる経路で飛んでいるとの問い合わせがあるが、ゴーアラウンドについては従前経路、新飛行経路に関係なく、都心上空を飛行する可能性があり、住民の誤解や不安を払拭するためにも、情報提供や表現の工夫をお願いしたい
    • ⇒説明会については、今後も検討を進めていく。ゴーアラウンドに関する情報提供については、より分かりやすい情報提供方法を検討していく。
  • 当区においても、固定化回避検討会に関する住民説明会の要望が根強く、引き続き開催に向けて検討をお願いしたい。

    また、羽田の発着回数がコロナ禍前に戻りつつあるとのことだが、新飛行経路の検討を開始した当初の想定から、現在はどのくらいの割合で、今後、更にどのくらい増える想定か
    • ⇒説明会については、今後も検討する。復便状況について、コロナ禍前と比較して国内線はほぼ 100 パーセント、国際線は 3 月末の 2023 年夏期スケジュール当初では約 70 パーセント程度まで回復。復便が進んでいるため、直近はさらに回復している可能性が高い。新飛行経路導入前は、国際線の年間発着容量は約9万回であったが、新飛行経路の導入に伴い、年間 12.9 万回に拡大した。現在、コロナ禍以前の発着数である年間9万回のペースに達しているものと思われる。今後、年間 12.9 万回ペースに向けて増えていくことが見込まれるが、それ以上増えることはない
  • 安全対策、騒音軽減に向け、引き続き、取組強化をお願いしたい。固定化回避検討会について、結論に向けた早急な取組をお願いしたい。また、当区では新飛行ルートに関する区民向けアンケートの実施準備を行っている。実施時期は夏頃、対象は高校生以上の区民である。地域性などの個別事情を踏まえた区民意見を把握したい。結果について早急に取り纏め、国へ提出する。また、アンケート結果に応じた対応を求めていく予定。
    • ⇒安全対策、騒音軽減について、不断の取組として実施していく。固定化回避検討会についても、最善の努力を払って対応していく。アンケートの結果を踏まえた要望については、内容を吟味した上で対策に取り組んでいく。

【会議資料】

 

公開された「会議資料」(次図)は、「(資料9-2)都に寄せられた意見について」以外は、国交省が「羽田空港の新飛行経路の定期運用報告(第19回・2022年度のとりまとめ)」として8月10日に公表した資料に含まれている。

国交省は7月7日に都及び関係区市連絡会で関係自治体に羽田新ルートの運用状況を報告し、約1か月後の8月10日に、都と同じ日に関連資料を公表するという手順を踏んでいたことが分かる

会議資料

都民の怒りの矛先は都ではなく、国に向かっている!?

国交省の配布資料(8月10日公表)に無かったのは、「(資料9-2)都に寄せられた意見について」。23年3月1日から4月30日までの問合せ件数(速報値)が掲載されている。2か月でたったの15件!

国や国が委託しているコールセンターに寄せされた件数と比較すると、都に寄せられた件数がいかに少ないかがよく分かる(次図)。

都民の怒りの矛先は東京都ではなく、国に向かっているのか。あるいは都民は東京都に羽田新ルートに係る対応を期待していないのか……。

羽田新ルートに関して寄せられた意見の件数

「都及び関係区市連絡会」開催実績

羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会の開催実績を次図に示す。

「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」 開催状況

【追記】開示請求で「出欠表(予定)」「議事概要」入手

※追記23年9月8日

8月10日に公開された「議事の要旨」「各区市の意見等」では、区の出席者が不明だし、どの区が発言したのかも分からない。

東京都に開示請求していた文書(出欠表(予定)議事概要)を入手したので、以下ひも解く。

13区のうち代理を立てたのは2区(中野・江戸川)

羽田新ルートが通過する13区のうち、代理を立てたのは中野区(係長)と江戸川区(課長)。

不都合な発言、公開文書から削除されていることが判明

議事概要によって、「関係区の主な発言」とされていたのは、6つの区(大田、渋谷、港、豊島、江戸川、品川)の発言だったことが確認できる。

8月10日に公開された文書(以下、「公開文書」)と今回開示された文書(以下、「開示文書」をつぶさに比較すると、国交省にとって都合の悪い部分は削除されていることが分かる。

※下記に示す開示文書は、原文では改行はほとんどないが、WEB上で読みやすくするために筆者にて改行した。また、公開文書と比べて、開示文書で修正されている部分については削除追記が分かるように表現しておいた。

渋⾕区

  • 部品⽋落について、 (中略)令和3年度と令和4年度の部品欠落の件数を比較するとについて、500 グラム以上~1キログラム未満や、1キログラム以上の件数が増えているが、増加していることが懸念事項である。1キログラム以上の重い部品はどういったものか。

国交省

  • 部品欠落報告制度を設けた目的は、落下物事案を防ぐことであり、落下物事案ゼロ件を続けていくことが目標である。部品欠落件数については、減ったからと言って安心ということではない。部品欠落がゼロ件でも、落下物が1件発生したら意味がない。数値目標を示すことは難しいが、引き続き、落下物事案を発生させないための対策強化を続けていく。発生件数の比較について、これまではコロナ禍で運航便数が減っていたため、単純比較が難しかったが、
    今後は年度としての発生件数の比較について、資料に示していくことを検討するしたい。重量の重い部品の欠落件数の増加について、大きいものほど重大な事案に繋がりかねないため、航空会社とともに対策を実施しているなお、1キロ以上の部品について、最も多いのはタイヤの一部である。その他には、ライトの破片、金属製の部品などがある。タイヤの破片は離陸、着陸時に欠落することが多く、空港敷地内で発見されることが殆どである。何れにせよ部品欠落についても件数が減るように対策を講じていく

(上記の加除に係るマン点解説)

  • 落下物に関して、「懸念事項」「減ったからと言って安心ということではない」「重量の重い部品の欠落件数の増加について、大きいものほど重大な事案に繋がりかねない」といった、国交省にとって都合の悪い文言は、公開文書では削除されていたことが確認できる。
  • また、「何れにせよ部品欠落についても件数が減るように対策を講じていく」を削除したのは、言質を取られないという役人気質がなせるわざではないか。

港区

  • (前略)区⺠の不安や疑問に答えるべく、教室型の住⺠説明会の開催を改めてお願いしたい。

国交省

  • 予てよりご意⾒を頂いており、重く受け⽌めている然るべきタイミングで、説明の場を設けたいと考えている。実施時期、説明内容、⽅法等について、引き続き検討していく。

(上記の加除に係るマン点解説)

  • 港区や豊島区など、複数の区からなんども教室型説明会の開催を求められていることに対して、国交省は公開文書から「重く受け⽌めている」を削除してしまった。ということは「軽く受け止めている」ことの証ではないか(笑)

江⼾川区

  • (前略)⽻⽥の発着回数がコロナ禍前に戻りつつあるとのことだが、新⾶⾏経路の検討を開始した当初の想定から、現在はどのくらいの割合なのか、今後、更にどのくらい増える想定か。

国交省

  • 説明会については、今後も検討するを進めていく。復便状況について、コロナ禍
    前と⽐較し国内線はほぼ100パーセント、国際線は正確なデータは公表していないものの、2023年3月末から始まっている夏 スケジュールにおいて、当初では最初の1週間で70パーセント程度まで回復している以降、復便が進んでいるため、直近はさらに回復している可能性が高い。なお、新飛行経路導入前は、国際線の年間発着容量は9万回であったが、新飛行経路の導入に伴い、年間12.9万回に拡大した。年の途中のため年間の数値は算出できていないものの、現在、コロナ禍以前の発着数である年間9万回のペースに達しているものと思われる。今後、年間12.9万回ペースに向けて増えていくことが見込まれる。ただ、それ以上に発着回数が増えることはない。

(上記の加除に係るマン点解説)

  • 「正確なデータは公表していない」「年間の数値は算出できていない」といった、国交省が仕事をしていない印象を与えるような文言が削除されている。

品川区

  • 安全対策、騒音軽減に向け、引き続き、取組強化をお願いしたい。また、固定化回避検討会について、これまでの検討状況を、夏から秋にかけて取り纏めると聞いている結論に向けた早急な取組をお願いしたい。また、現在当区では、新飛行ルートに関する区民向けアンケートの実施準備を行っている。実施時期は夏頃、対象は高校生以上の区民である。地域性などの個別事情を踏まえた区民意見を把握したいと考えている。結果を早急に取り纏め、国へ提出するさせて頂く。また、その内容アンケート結果に応じた対応を求めていく予定である

(上記の加除に係るマン点解説)

  • 固定化回避検討会の検討状況につき「夏から秋にかけて取り纏めると聞いている」という事実を隠蔽。


※詳細は、「文書比較(公開文書vs開示文書)」(次図)参照。

文書比較(公開文書vs開示文書)

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