品川区では羽田新ルート運用開始以降、20の公共施設が騒音防止対策工事の助成を受けている、というフォロアーさんからの情報。
フォロアーさんらが品川区から入手した情報開示文書によって明らかになったことについて、以下整理しておく。
※投稿23年7月19日(追記23年10月19日:国交省開示文書を追加)
- 騒音防止対策工事の助成を受けた公共施設
- 騒音防止対策工事に係る助成金(まとめ)※品川区管轄のみ
- 【追記】騒音防止対策工事に係る助成金(まとめ)※非品川区管轄を追加
- 雑感(品川区は全体像を把握していない!?)
騒音防止対策工事の助成を受けた公共施設
まずは、騒音防止工事の助成を受けた20の公共施設のリストについて。
品川区の都市環境部長名で23年6月15日付「羽田新飛行ルートの運用にともなって防音工事を実施した公共施設リスト」(PDF:274KB)が開示されている。
具体的には次の20施設。
20の公共施設を地図に落としてみた(次図)。
- A滑走路到着ルートに近い施設(9)
- 鮫浜小学校、立会小学校、ひろまち保育園、ポピンズナーサリースクルール勝島、アンジェリカはまかわ保育園、品川保育園、小学館アカデミーアトレ大井町保育園、たんぽぽ保育所東大井園、TKチルドレンズファーム東大井校
- C滑走路到着ルートに近い施設(10)
- 台場小学校、台場幼稚園、稲波脊椎・関節病院、東品川保育園、八ツ山保育園、アイ保育園、ウィズブック保育園天王洲、第一しいのき学園、第二しいのき学園、晴楓ホーム
- A・C滑走路到着ルートの中間に位置する施設(1)
- ひがしやつやま保育園
騒音防止対策工事に係る助成金(まとめ)※品川区管轄のみ
さらに、騒音防止対策工事の助成を受けた20の公共施設につき、防音対策工事の内容(実施時期、助成金額、図面など)に係る開示請求した結果、教育委員会次長名で23年6月29日付で小学校3件と幼稚園1件(PDF:3.6MB)、子ども未来部長名で23年7月4日に区立保育園5件(PDF:3MB)の情報が開示された。
※病院1件、私立保育園7件、障害福祉サービス事業を行う施設2件、特別養護老人ホーム1件については、国と各施設が直接、助成金のやり取りをしているので、品川区は内容を把握していない(開示できる文書がない)ということであった。
開示された文書をもとに助成金を一覧表にまとめた(次表)。
工事内容は、主に既存のベントキャップ(外壁面の換気口に取り付けられた、雨風や虫の侵入を防ぐため蓋のこと)を消音型のベントキャップに交換する工事。
※台場小学校の21年度の助成額が突出しているのは、既設のGHP(ガスエンジン・ヒートポンプ・エアコン)に係る工事も含まれているため。また、台場小学校・台場幼稚園の22年度の助成額が突出しているのは、屋上の冷温水発生器や各階のエア・ハンドリングユニットの撤去・新設工事 などが含まれているため。
【追記】騒音防止対策工事に係る助成金(まとめ)※非品川区管轄を追加
※追記23年10月19日
品川区は内容を把握していない(開示できる文書がない)としていた11施設(病院1件、私立保育園7件、障害福祉サービス事業を行う施設2件、特別養護老人ホーム1件)について、フォロアーさんから国交省の開示文書を入手した。
品川区が助成金を把握していない11施設を含め、20の公共施設に係る助成金を一覧表にまとめた(次表)。
4年間の補助対象事業費の総額は、3億4,184万円。うち国庫補助の総額は3億1,816万円(93.1%)だった。
雑感(品川区は全体像を把握していない!?)
品川区の騒音防止対策事業に関心を持ったきっかけは、品川区がバックボーン不明な任意団体(羽田空港周辺振興協議会)から助成金を受けているという、予算特別委員会(3月22日開催)での質疑応答。都市環境部長は、同協議会の詳細は把握していないが、国交省から紹介されたので「問題のある協議会という認識はまずない」と苦しい答弁をしていた。
今回開示された文書は、小学校と幼稚園は教育委員会、区立保育園は子ども未来部と、組織縦割りで発出されている。品川区として全体を把握している部署はあるのだろうか。また、私立保育園など11施設については、国と各施設が直接やり取りしているので、区としては詳細を把握していないというのだが、それでいいのか……。
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