不動産経済研究所は4月18日、「首都圏新築分譲マンション市場動向2022年度」を発表。
- 発売2万8,632戸。前期比12.9%減で2年ぶりの3万戸割れ。
- 平均価格6,907万円、m2単価103.9万円。最高値を大幅更新。
- 初月契約率は70.7%と2期連続で70%を上回る。
- 在庫は前年比692戸減の5,189戸、一段と低水準に。
これだけではよく分からない。14年度以降の首都圏マンションの「供給戸数」と「平均価格」のデータが表形式で掲載されているので、同研究所が過去に発表したデータも含めて可視化してみた。
過去最高の6,907万円に
首都圏新築マンションの供給戸数と平均価格の推移を下図に示す。
- 供給戸数
耐震偽造事件(05年11月)以降急減し、リーマンショック(08年11月)の翌年に最低を記録。消費税増税8%(14年4月)の駆け込みで需要を先食いした後、再び減少傾向。22年度は3万戸割れ。 - 平均価格
耐震偽造事件の再発防止のための制度改革により約500万円コストアップ。その後、供給戸数を減らすことでリーマンショック(08年11月)後も4,500万円前後をキープ。13年度以降は供給戸数が減少するなかで、アベノミクスによる非実需要増の影響などにより平均価格が大幅に上昇し、バブル期の90年度末に記録した6,214万円を2年連続更新し、過去最高の6,907万円に。
市場規模、2兆円前後で推移
次に、市場規模(=供給戸数×平均価格)の推移について(次図)。
首都圏新築マンションの市場規模は、2000年代前半まで3.5兆円前後で推移していたが、耐震偽造事件(05年11月)の翌年度から縮小し始めて、リーマンショック(08年11月)の翌年度が1.65兆円のボトム。
消費税増税8%(14年4月)の前年度まで拡大したあと、2兆円前後で推移している。
価格が高騰しているのに市場が拡大しない状況は、富裕層でないと新築マンションが買えなくなってきている事態を示唆している。
新築から中古へ
一方、中古マンションの市場規模は、01年度以降拡大傾向にあり、15年度に1兆円を突破した。22年度は1.5挑円を突破(次図)。
※中古マンションのデータは、東日本不動産流通機構公表資料による。
ちなみに、供給戸数のほうは16年度以降、中古が新築を上回っている(次図)。庶民は新築マンションの購入を諦め、中古マンションに流れているのであろう。
※中古マンションのデータは、東日本不動産流通機構公表資料による。
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