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戸建て検討者は必読!『住宅営業マンペコペコ日記』

振興のローコスト住宅メーカーであるタマゴホームに35歳で転職した元住宅営業マン氏による『住宅営業マンペコペコ日記』フォレスト出版(2022/5/21)を読了。
著者は10年近くブラックな企業で働き続けるも、耐えられず遂に退社し、本書を書き上げる。

住宅展示場を訪れる顧客を絡めとる住宅営業マンのリアルな世界が描かれている。戸建て住宅を検討している人は、必読。

豊富なエピソードには、笑いと涙あり。純粋な読み物としてもおススメしたい。

朱書きは、筆者メモ。


もくじ

「われに返る」その前に刈り取る

住宅展示場に初めて来たときから時間が経てば経つほど、購買意欲=契約率は下がっていくという見立て。

衝動買い:「われに返る」その前に
(前略)タマゴホームのようなローコスト系住宅メーカーは、展示場に来場したお客はその月中に“刈り取る”のが原則。
 こういうと、「一生に一度の大きな買い物だから、そんなに簡単に決められない」と思われるかもしれないが、現実はそうでもない。
 人の「購買意欲」には波がある。
 住宅展示場という。“夢の国”に来て、新築住宅の魅力に触れる。そこで営業マンから、希望の間取りや設備を見せられ、漠然とした夢に具体的な「色」がついてくる。ここが購買意欲のピークとなるのだ。逆にいえば、住宅展示場に初めて来たときから時間が経てば経つほど、購買意欲=契約率は下がっていく。
 住宅ローンの不安より、マイホームの夢が勝っている心理状態において、住宅営業マンは間髪いれず住宅ローンの事前審査を通すなど、話を前に進めるのが腕の見せどころとなる。
 このタイミングを逃すと、お客の購買意欲は下がる一方となる。「われに返る」といったほうが正しいかもしれない。だから、「展示場に来場したお客はその月内に契約まで持っていく」というのは理にかなっているのだ。(以下略)

(P85-86/第2章 カネになる客、ならない客)

※「住宅展示場」を「マンションモデルルーム」に置き換えても、同じことが言えそうだ。営業マンは、来場者が「われに返る」前にあの手この手を繰り出す。

「仮契約」という方便で囲い込む

「仮契約」という方便で囲い込みをする営業の小倉さん。

囲い込み:スーパー短期間クロージング
(前略)小倉さんの説明に納得したこの夫婦は、次の日に「仮契約」を結び、まんまと“囲い込み”されることとなった。
 そもそも「仮契約」「本契約」などというものは存在しない。厳密にいうと小倉さんのいう「仮契約」は「工事請負契約」であり、「本契約」は「工事変更契約」というもの。お客はふつうに契約して、その後に最初の契約と内容が変わるので変更契約するだけの話。
 じつは、この2階トイレと食洗機はここ半年、どんなお客にもつけているサービスで、今後も継続予定。つまり、いつもどおりのサービスがいつのまにか特別対応に様変わりしているわけだ。
 契約が決まったお客が帰る際は営業スタッフ全員が駐車場に行き、総出でお見送りをする決まりになっている。私を含めて全員が駐車場に集合。
 お客がクルマに乗るとき、小倉さんが駆け寄り、耳元でコソツとささやく。
 「今回の件はお知り合いとかほかのお客さまには言わないでください。私の立場もありますのでくれぐれもよろしくお願いします」
真剣そのものの顔で迫る。この仕事、大根役者では務まらないのだ。

(P93-94/第2章 カネになる客、ならない客)

※「仮契約」とは「工事請負契約」のこと、「本契約」とは「工事変更契約」のこと。この違いを知らない人は多そうだ。

姿なき妨害者:売れない土地とその真相

現地にお連れする前に、その土地に対する期待値を上げるのも、住宅営業マンにとって重要な仕事。うまくいったと思った筆者に待っていたのは……。

姿なき妨害者:売れない土地とその真相
(前略)私は夫妻の目の前に、大きな地図を広げて、今回紹介する土地の位置を示す。周辺の買い物スポットや病院、学校、コンビニなどもマーカーで記しておき、その土地のよさを視覚に訴える。現地にお連れする前に、こうしてその土地に対する期待値を上げるのも重要な仕事である。私の説明がひと通り終わったころには、宇野さん夫妻はこの土地が欲しくてたまらない状態に仕上がっているのが表情からもよくわかる。
 「この土地はほかの営業マンたちもお客さまに紹介しています。これだけよい条件ですから、早い者勝ちです」
 さらにお客をソワソワさせながらクルマに乗せ、現地へと向かう。(以下略)

(P161/第4章 住宅業界、ここだけの話)

※姿なき妨害者の正体は、売地の隣の住人。事故物件であるとウソの情報を流して隣地を買わせないようにしていた。このエピソードが面白いのはさらにその先。姿なき妨害者の正体が判明したあとのオチ。

本書の構成

全4章。全206頁。

  • 第1章 住宅営業マンの波乱の日々
  • 第2章 カネになる客、ならない客
  • 第3章 ブラック業界の、ブルーな私
  • 第4章 住宅業界、ここだけの話

住宅営業マンペコペコ日記

あわせて読みたい(本の紹介)

2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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