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のり弁満載の報告書を読み解く!「東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証」

国交省航空局が空港振興・環境整備支援機構に委託していた「東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証」(履行期限22年3月18日)に係る報告書を開示請求によって入手した。

のり弁満載の同調査報告書(PDF:13MB←ファイルサイズが大きいので注意!)を読み解いてみた。

※以下長文。時間のない方は「もくじ」と「雑感」をお読みいただければと。


もくじ

国交省に開示請求

東京航空局が21年10月26日に入札公告を出した「東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証」の「調査内容」には次のように記されている。

 1)シミュレータを使用した検証 1式
 2)騒音値の試算 1式
 3)B滑走路西向き離陸における騒音軽減運航方式の効果検証 1式
 4)荒川沿い離陸における騒音軽減運航方式の効果検証 1式 

簡単にいえば、川崎ルート(B滑走路西向き離陸)と荒川沿い北上ルートの騒音低減方策を探る調査である。

「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」では、(1)到着ルート(都心を通過して羽田空港に着陸するA/C滑走路到着ルート)の検討と(2)出発ルート(川崎ルート、荒川沿い北上ルート)の検討を実施することになっているが、前者はルートの見直し、後者は飛行方式の見直しによって航空機騒音を減少させようという作戦。

 

「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」のバックデータになりそうなこの調査の内容を知りたくて、国交省航空局が空港振興・環境整備支援機構に委託していた「東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証」(履行期限22年3月18日)に係る報告書を開示請求することにした。

ちなみに、同調査は一般財団法人空港振興・環境整備支援機構が21年11月26日、1,420万円で落札(落札率95.8%)している(次表)。

東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証

羽田新ルート|気になる契約情報(21年度)※随時更新」より

 

国交省に22年5月23日、同調査の報告書を開示請求したところ、「開示決定等の期限の延長」通知の後、7月25日になってようやく「行政文書開示決定通知書」(PDF:438KB)が届いた(墨消し作業に時間を要していたのではないか)。

同通知書には、航空会社名、機種、機体、便名等、個別の法人の特定につながるおそれがある一連の情報が不開示となる旨が記されていた(次図)。

行政文書開示決定通知書

同通知書が届いた翌日(7月26日)、「行政文書の開示の実施方法等申出書」を投函したところ、6日後(8月1日)に報告書(CD-R)が届いた。

のり弁満載の報告書を読み解く

※報告書では「B滑走路西向き離陸経路」「荒川沿い出発経路」と表現されているが、このブログでは読者に浸透している「川崎ルート」「荒川沿い北上ルート」と読み替える場合がある。

報告書の構成

報告書は全225枚。本文と資料編で構成されている。

  • まえがき
  • 1. 調査概要
  • 2. シミュレータを使用した検証
  • 3. B滑走路西向き離陸における騒音軽減運航方式の効果検証
  • 4. 荒川沿い出発経路における騒音軽減運航方式の効果検証
  • 5. 旋回条件別予測
  • ■■■■■■■■■■ ← 6.まとめ的な内容?
  • 資料1. 設定条件別シミュレーション結果比較票

のり弁満載(次図)のこの報告書の内容につき、「まえがき」から「資料1」まで、以下順にザックリとひも解いていく。

東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証_報告書

まえがき

この調査の方法は、入札時に交付された入札説明書に含まれる仕様書に記載されている。

※同仕様書については、今回開示請求しなかったので、記載内容不明。

(前略)本報告書における用語の定義ならびに調査方法については、特記のない限り、東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証 仕様書(令和3年10月、国土交通省東京航空局)に従う。

1. 調査概要

「1.1 背景および目的」として、羽田新ルートの航空機騒音の検証が掲げられている。

東京国際空港では、日本の成長を見据え、機能強化方策としての飛行経路の見直しがなされている。この新たな経路では、空港北側の空域、ならびに空港西側の陸上空域を通過している。その航空機騒音に関する検証を行うのが本調査の目的である。(P6)

「1.2 調査項目」として、次の4項目が掲げられている。

  • 1.2.1. シミュレータを使用した検証
  • 1.2.2. 騒音値の試算
  • 1.2.3. B滑走路西向き離陸における騒音軽減運航方式の騒音検証
  • 1.2.4. 荒川沿い離陸における騒音軽減運航方式の騒音検証
2. シミュレータを使用した検証

各経路(川崎ルートと荒川沿い北上ルート)の主要地点の通過高度・速度・推力の推定、飛行経路周辺の受音点側騒音値を予測し、比較している。

内容はかなり専門的なので、門外漢には理解しにくい。目次の第2レベルまで抽出したので、ざっと眺めてほしい。そのあとに要点のみ記す。

  • 2.1 概要
    • 2.1.1. 調査概要
      • (1). シミュレータを使用した検証
      • (2). 騒音値の試算
  • 2.2 技術事項
    • 2.2.1. エンジン出力
    • 2.2.2. フラップ
      • (1).急上昇方式(STEEPEST)
      • (2).NADP1
      • (3).NADP2
      • (4).方式間の比較
    • 2.2.3. 騒音軽減出発方式
    • 2.2.4. オートパイロットの関与
  • 2.3 検証方法
    • 2.3.1. 目的および方針
    • 2.3.2. 対象とする飛行経路
      • (1).B滑走路西向き出発経路(B西経路)
      • (2).荒川沿い出発経路(荒川経路)
    • 2.3.3. 対象とする機種
    • 2.3.4. 運航ケ-スの検討(B滑走路西向き出発経路)
      • (1).操縦に関する設定条件
      • (2).操縦以外の設定条件
      • (3).その他共通条件
    • 2.3.5. 運航ケースの検討(荒川経路)
      • (1).操縦に関する設定条件
      • (2).操縦以外の設定条件
      • (3).その他共通条件
    • 2.3.6. 実施した運航ケース
    • 2.3.7. ■■■■■■■■■■■■調査の実施
      • (1).実施概要
  • 2.4 シミュレータ結果データの分析と騒音予測
    • 2.4.1. 運航ケース毎の解析方法
      • (1).取得したデータ
      • (2).追加指標の算出
      • (3).整理
    • 2.4.2. 騒音の予測方法
      • (1).騒音予測の共通事項
      • (2).運航ケース別のデータ作成
      • (3).騒音予測の妥当性に関する注意点
    • 2.4.3. 各ケ-スの騒音予測結果と、設定条件間比較
      • (1).設定条件別ケ一ス比較一覧
      • (2).B滑走路西向き出発経路の結果比較
      • (3).荒川沿い出発経路の結果比較
  • 2.5 まとめ
    • 2.5.1. B滑走路酉向き出発経路に関する調査
    • 2.5.2. 荒川沿い出発経路に関する調査

 

川崎ルートについては、5項目(出発方式、滑走開始位置、推力設定、風向、気温)に対して、また、荒川沿い北上ルートについては、3項目(出発方式、風向、気温)に対して複数の条件で騒音影響を評価したとされている。

ただ、残念ながらその評価結果は墨消しされていて知ることができない(次図)。

複数の条件で騒音影響を評価

3. B滑走路西向き離陸における騒音軽減運航方式の効果検証

川崎ルートの航空機を対象とした航跡状況の算出・分類を行い、羽田空港周辺の常時監視局から得られた騒音測定結果との関係性について検証している。

内容はかなり専門的なので、門外漢には理解しにくい。そこでまずは、目次の第2レベルまで抽出したので、ざっと眺めてほしい。そのあとに要点のみ記す。

  • 3.1 分析方法
    • 3.1.1. 座標系の設定(RWY22)
    • 3.1.2. ADSB航跡情報の集計(RWY22)
    • 3.1.3. 気象情報の集計
    • 3.1.4. 常時監視局測定結果の集計
  • 3.2 常時監視局データの集計
  • 3.3 集計データと気象の関係
  • 3.4 機種別検討(騒音レベル区分別検討)
    • 3.4.1. ■■■
    • 3.4.2. ■■■~3.4.10. ■■■
  • 3.5 気温と上昇率の関係(RWY22離陸)
  • ■■■■■■■■■■■← 3.6 まとめ的な?

 

「3.4 機種別検討(騒音レベル区分別検討)」として、全ての離陸機を対象とした集計結果から以下のことが言える、としている(P136)。

  • 航空機が施設側方を通過するHJ03羽田小と、ほぼ直上を通過するHJ16食品衛生研究所では騒音レベルと航跡情報の関係が異なっていた
  • HJ03羽田小では飛行高度が高い場合に騒音レベルが大きくなることから、騒音監視局近傍の建物の影響や、航空機までの見上げ角が低いことから風向や側方減衰による影響も考えられるが、旋回開始が早く、飛行高度が高い場合には騒音レベルが小さくなっている
  • 食品衛生研究所ではほぼ上空を飛行することから、音源までの位置関係に強く依存しているものと考えられる。

また、「離陸滑走開始点の違い」として、離陸滑走開始地点の違による騒音レベルの比較結果のグラフが掲載されている(P148)。

離陸滑走開始地点の違による騒音レベルの比較結果

 

最後に(P153~154)、川崎ルートの騒音軽減運航方式の効果検証の結果が記載されているように思うのだが、残念ながら墨消しされていて知ることができない(次図)。

川崎ルートの騒音軽減運航方式の効果検証の結果

4. 荒川沿い出発経路における騒音軽減運航方式の効果検証

上述した「3. B滑走路西向き離陸における騒音軽減運航方式の効果検証」とは所々異なる整理の仕方がされている。

内容はかなり専門的なので、門外漢には理解しにくい。そこでまずは、目次の第2レベルまで抽出したので、ざっと眺めてほしい。そのあとに要点のみ記す。

  • 4.1 ADSB航跡データの処理
    • 4.1.1. 座標系の設定(RWY34R)
    • 4.1.2. 荒川経路便の特定
    • 4.1.3. 離陸上昇方式の分類方法
  • 4.2 プロファイル集計結果(機種別の離陸上昇方式の違い)
  • 4.3 短期調査期間中におけるADSB航跡データの分析
    • 4.3.1. 短期騒音調査の実施
    • 4.3.2. ADSB航跡データの分析(短期調査)
  • 4.4 長期間におけるADSB航跡データの分析
    • 4.4.1. 常時監視測定結果と航跡データ
    • 4.4.2. 航跡データと気象の関係(RWY 34R離陸機)

 

「4.3 短期調査期間中におけるADSB航跡データの分析」として、短期騒音測定調査(21年12月25日~22年1月7日の14日間)と荒川沿い北上ルート通過便2044便の飛行データを突合し、離陸上昇方式の違いによる騒音測定値への影響が検討されている。

短期調査期間中にNADP2による離陸上昇方式を採用した機材は少なく、通常の急上昇方式が大多数を占めていた。(略)一部の機種では逆転も見られる■■■■■■■■■■■が、全体的な傾向として、NADP2の方がどちらの地点においても騒音値が高い傾向となった。また、航跡情報からNADP2は地点上空の通過高度が低く。速度が速い結果となった。(P176)

※NADP2とは、次図の右側の急上昇方式を指している(P157)

離陸上昇方式の違い

 

「4.4 長期間におけるADSB航跡データの分析」として、10か月間(21年4月1日~22年1月31日)の飛行データと常時監視局(大島総合庁舎、第五葛西小学校)の騒音データを突合し、離陸方式の違いによる騒音測定値への影響が検討されている。

騒音値は、離陸上昇方式の違いによる影響は小さく、気象要因や飛行位置など別の要因に起因している可能性があると結論付けられている。

離陸上昇方式の違いの差分においてNADP2の騒音値が高目に算出されているが、その変動幅は1dB未満の機材が多く、離陸上昇方式の違いによる騒音測定値への影響は小さいと考えられる。離陸機がこれら常時監視局上空を飛行する通過高度は概ね5~6000feet以上であったことから、どちらの離陸上昇方式であっても同じ上昇パターンに推移している状態である。このため、騒音値の違いが離陸上昇方式の違いとは言えず、気象要因や飛行位置など別の要因に起因している可能性があると考えられる。(P183)

5. 旋回条件別予測

川崎ルートについては、旋回開始位置の違いによる騒音影響の検討がされている(5.1~5.5)。

各ケースにつき、騒音コンタ―が描かれている。共通しているのは次の記載。

旋回開始が遅くなるに従い、大田区及び川崎区の影響範囲が拡大している様子が分かる。

 

また、荒川沿い北上ルートについては、騒音軽減運航方式別に騒音影響の検討がされている(5.6~5.10)。

各ケースとも墨消し部分が多くて、結果が全く読み取れない(次図)。

騒音軽減運航方式別に騒音影響の検討

■■■■■■■■■← 6.まとめ的な内容?

報告書の本文の最後に、まとめと思われるページが1枚あるが、見出しに相当する部分は墨消し10文字、説明文章に相当する部分10行も墨消し。その下の図表(?)2枚も黒くマスキングされているので、何が記載されているのか全く分からない(次図)。

 6.まとめ的な?

資料1. 設定条件別シミュレーション結果比較票

「資料1. 設定条件別シミュレーション結果比較票」として9枚の資料が添付されているが全面黒塗り(次図)。

資料1. 設定条件別シミュレーション結果比較票

雑感(肝心の結果はほとんど墨消し)

※報告書は、川崎ルートと荒川沿い北上ルートが対象(都心を通過して羽田空港に着陸するA/C滑走路到着ルートは対象外)。

国交省航空局が空港振興・環境整備支援機構に1,420万円(落札率95.8%)で委託していた「東京国際空港飛行経路騒音実態に関する検証」(履行期限22年3月18日)に係る報告書を開示請求によって入手した。

開示決定通知書には、航空会社名、機種、機体、便名等、個別の法人の特定につながるおそれがある一連の情報が不開示となる旨が記されていた。

全225枚の報告書(うち10枚は資料編)は墨消し部分がとっても多い。ホントに「航空会社名、機種、機体、便名等、個別の法人の特定につながるおそれがある一連の情報」だけを墨消ししているのか。

報告書を読むと、どのような方法で検討を進めたのかは理解できるが、肝心の結果はほとんど墨消しなので結論が見えない。これでは国民に評価結果を知らせたくないと思われても仕方がないのではないか。

「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」では、(1)到着ルート(都心を通過して羽田空港に着陸するA/C滑走路到着ルート)の検討と(2)出発ルート(川崎ルート、荒川沿い北上ルート)の検討を実施することになっているが、前者はルートの見直し、後者は飛行方式の見直しによって航空機騒音を減少させようという作戦。

「羽田新経路の固定化回避に係る技術的方策検討会」にはどのようなかたちで、この報告書の成果が反映されるのか、要注目。

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2022年6月1日、このブログ開設から18周年を迎えました (^_^)/
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