「羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会」の「令和4年度 第1回幹事会」が22年7月7日に開催されていたことをご存じだろうか。
※投稿22年8月3日(追記22年8月31日)
都及び関係区市連絡会、今回もコッソリ開催されていた
東京都都市整備局の「羽田空港の更なる機能強化について」のページの「最終更新日」が7月29日17時、「令和4年7月29日」に変っていた。
どこが変わったのかと、目を皿のようにしてチェックしていくと、都市整備局の読みづらい「トピックス」に「都及び関係区市連絡会 第1回幹事会」が追記されたことに気づく(次図)。
毎度のことであるが、トピックスに掲載された日付がないので、ぼーっと見ているだけでは、新着情報であることに気が付かない。また、都HPの新着情報にも都市整備局HPの新着情報にも掲載されていないので、一般の都民が知ることは不可能である(それが狙いか…)。
リンク先を開くと、「議事の要旨」のほかに、「主な意見及び国の回答等」(PDF形式)が掲載されている。
会議の概要
- 会議名 令和4年度羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会 幹事会(第1回)
- 開催日 令和4年7月7日(木曜日)
- 出席状況 東京都、22区市、国土交通省
- 議事の要旨
* 国土交通省より、騒音測定結果や部品欠落報告等についての説明【主な意見及び国の回答等】
- 前回の分科会にて、飛行中の自然現象に関わる落下物対策について力を入れていただくよう要請したところ、資料では氷塊にも言及があり、自然現象についても意識されているものと認識している。今後、対策の拡充をお願いしたい。
- ⇒氷塊対策は今回紹介した落下物防止対策基準に含まれている。当該基準は随時更新しており、今後も、適宜拡充を図って参りたい。
- 飛行機からの落下物と思われるものを発見した際、発見者は国のどこの部署にどのようなポイントを押さえて報告すればよいのか。また、氷塊の様に溶けてなくなってしまう物体等はどのように対処すればよいのか、発見時の取扱いに係る注意点についても分かりやすく広報していただきたい。
- ⇒落下物などを発見した際の連絡先等については、国のホームページやチラシ等に記載しているが、より分かりやすい情報提供についても取り組んで参りたい。
- 新飛行ルートに関しては、これまでに騒音や落下物をはじめ、区民の皆さまから様々な意見をいただいている。区としては、まずは固定化回避検討会にてしっかり検討していただくことが重要であると考えている。その上で、可能な限り早急に結論をお示しいただきたい。
- ⇒新飛行経路の固定化回避については、現在、安全性評価等の具体的な作業を鋭意進めているところである。可能な限り早期に固定化回避や騒音軽減につながる具体策が得られるよう、必要な作業を進めて参りたい。
- これまで新飛行ルートにおいて落下物は発生していないと認識しているが、疑いがある事例が発生した際は、国が責任をもって調査してほしいとの声がある。区としては、現地確認や、上空を通過した航空機の確認点検を航空会社に指示するなど、可能な限り速やかな対応をお願いしたい。また、引き続き落下物対策総合パッケージに基づいて、予防策についても万全の取り組みをお願いしたい。
- ⇒落下物の疑いの事例が発生した際には、国として責任持って対応する所存。また、今後、落下物対策総合パッケージに基づく予防策についても継続して取り組んで参りたい。
【会議資料】
公開された「会議資料」(次図)は、国交省が「新飛行経路の定期運用報告(第13回」として7月29日に公表した資料に含まれている。
国交省は7月7日に都及び関係区市連絡会で関係自治体に羽田新ルートの運用状況を報告し、約3週間後の7月29日に、都と示し合わせたように同じ日に関連資料を公表するという手順を踏んでいたことが分かる。
都民の怒りの矛先は都ではなく、国に向かっている!?
国交省の配布資料(7月29日公表)に無かったのは、「(資料9-2)都に寄せられた意見について」(PDF:398KB)。22年3月1日から4月30日までの問合せ件数(速報値)が掲載されている。2か月でたったの31件。
国や国が委託しているコールセンターに寄せされた件数と比較すると、都に寄せられた件数がいかに少ないかがよく分かる(次図)。
都民の怒りの矛先は東京都ではなく、国に向かっているのか。あるいは都民は東京都に羽田新ルートに係る対応を期待していないのか……。
「都及び関係区市連絡会」開催実績
羽田空港の機能強化に関する都及び関係区市連絡会の開催実績を次図に示す。
【追記】開示請求で「出欠表(予定)」「議事概要」入手
※追記22年8月31日
7月29日に公開された「議事の要旨」「各区市の意見等」では、22区市の出席者が不明だし、誰が発言したのかも分からない。
東京都に開示請求していた文書(出欠表(予定)と議事概要)を入手したので、以下ひも解く。
※開示請求(8月3日)してから27日で入手(8月30日)。毎回同様の開示請求しているのだが、ムダと思える事務処理(形だけの電話確認)や紙でのやり取り(開示決定通知書⇒納入通知書⇒返信用封筒・切手送付)など、一向に迅速化されない。ネットが利用できる市民に対してはオンラインで対応できれば大幅に日数が短縮できると思うのだが……。
13区のうち代理を立てたのは江東区のみ
東京都からは谷崎 馨一 都市整備局理事。23区のうち、欠席したのは中央区と台東区。
羽田新ルートが通過する13区のうち、代理を立てたのは江東区のみ。
渋谷・品川区以外の出席者は置物状態…
議事概要では、「関係区の主な発言」として、渋谷区と品川区から要望が出されたが、国交省からは従来通りの回答がなされたことが記されている。
※下記、原文では改行は全くないが、WEB上で読みやすくするために筆者にて改行した。
渋谷区と国交省のやり取りに関して、「議事概要」(今回開示)に掲載されていて「議事の要旨」(HP公表)には掲載されていなかった文言としては、「今回の氷塊の様に目撃したりという状況で」など(下記朱書き部分)があった。
「議事の要旨」と「議事概要」を逐次比較していくと細かい違いが多数見られるのは、発言者らにより修正が加わるうちに丸まっていったからなのではないか。
(議題2 安全対策について)
渋谷区
- 2点要望する。1点目として、本年あった分科会の中で要望したことでもあるが、飛行中の自然現象に関わる落下物対策について力を入れていただきたいと要請したところ、今回の資料等を拝見すると、氷塊という言葉が出てきたりして、そういった自然現象について意識していただいているものと認識した。今後は対策についてもしっかり拡充していただくよう要望する。
- 2点目であるが、飛行機からの落下物と思われるものを発見したり、今回の氷塊の様に目撃したりという状況で、発見者は国のどこの部署にどのようなポイントを押さえて報告、連絡をすればいいのか。発見者はどうすればよいかひどく動転すると思うので、そういったことを周知していただきたい。
- これに併せて飛行機から落下してきたと思われるものを発見した際の取扱い、あるいは氷塊の様に溶けてなくなってしまう様な場合に、どのように保存したらいいのかとか、そういった注意点を分かりやすく広報していただきたい。この2点を要望する。
国土交通省
- まずは、自然現象、主に氷についての対策をしっかり行ってほしいということであるが、先ほどご紹介した落下物防止対策基準においても氷塊対策は実施している。当該基準は随時拡充しており、今後も拡充を検討して参りたい。
- 2点目について、もし落下物などを発見した場合にどの様に連絡・収集すればよいかということに関して、連絡先については、私どものチラシや、ニュースレターに記載しておりますが、より分かりやすい情報提供に取り組んで参りたい。
渋谷区
- よろしくお願いします。
渋谷区と国交省のやり取りに関して、「議事の要旨」(HP公表)と「議事概要」(今回開示)の大きな違いは下記の朱書き部分。
「議事の要旨」では「可能な限り早期に固定化回避や騒音軽減につながる具体策が得られるよう、必要な作業を進めて参りたい」と記されているが、「議事概要」では「現在、航空局内にて安全性評価等の具体的な作業を鋭意進めているところである」記されている。
国交省は「議事概要」では安全性評価等」としか発言していなかったのに、「議事の要旨」では「固定化回避や騒音軽減」にすり替わっている(下図)。「議事概要」が正しければ、東京都は国交省からの修正指示でも受けたのか、あるいは国交省を忖度して修正したのか……。
(議題3 その他)
品川区
- 国交省に対して2つ要望を申し上げる。1つ目であるが。新飛行ルートに関してはこれまでに騒音や落下物をはじめ、区民の皆さまから様々な意見をいただいているところ、区としては、まずは固定化回避検討会に関してしっかり検討していただくことが重要であると考えている。その上で、可能な限り早急に結論をお示しいただきたい。
- 2つ目であるが、これまで新飛行ルートにおいて落下物は発生していないと認識しているが、疑いがある事例が発生した際は、国が責任をもって調査してほしいとの声があるところ、区としては、現地確認や、上空を通過した航空機の確認点検を航空会社に指示するなど可能な限りの速やかな対応をお願いしたい。また、引き続き落下物対策総合パッケージに基づいて、予防策について万全の取り組みをお願いしたい。
国土交通省
- 1つ日は固定化回避検討会についてであるが、可能な限り早期に固定化回避や騒音軽減につながる具体策が得られるよう、必要な作業を進めて参りたい現在、航空局内にて安全性評価等の具体的な作業を鋭意進めているところである。
- 2つ目は落下物の疑いの事例が発生した際の対応についてであるが、国として責任持って対応していきたいと考えている。また、今後、落下物対策総合パッケージに基づく予防策についても継続して取り組んで参りたい。
品川区
- よろしくお願いします。以上
あと、もう一つ指摘しておきたいのは次の点。
品川区を代表して出席した中村敏明都市環境部長は、毎回区議会で固定化回避後の具体的なルート案を示すことを迫られていたにも係わらず、この連絡会ではそのことに全く触れていない。ダメもとで聞くこともしないのは、国交省に忖度し過ぎではないか。
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