筆者は羽田新ルートに関連しそうな契約情報を定期的にチェックしている。
東京航空局HPに公開された「東京国際空港周辺航空機騒音実態調査」の落札率が79.08%になっている間違いに気が付いた。
国交省の担当者が忙しすぎるのか、あるいは人材の質が低下してきているのか……。
東京航空局、落札率を低めに間違う
東京航空局HPに公開された「競争入札結果」のうち令和4年度の「6月分」に掲載されていた「東京国際空港周辺航空機騒音実態調査」の落札率が79.08%になっている間違いに気が付いた(次図)。
筆者の計算だと「79.08%」ではなく、「86.99%」である。
なぜ、東京航空局の数字と違っているのか(同局の数字が低めに間違っている)。
落札率が79%(約8割)と87%(約9割)とでは、2社競争効果としての印象が違ってくる。今後のこともあるので、以下整理しておこう。
×落札率=入札金額(税別)÷予定価格(税込)
東京航空局が公表している「東京国際空港周辺航空機騒音実態調査」の入札結果は次図の通りだ。
※昨年度は応札したCTIウイングが今年度は「辞退」。この件もとっても気になる……。
落札率は契約金額÷予定価格で算出される。
契約金額、予定価格とも税込み金額である。
本件でいえば、契約金額=落札額(税込)23,320,000 円に対して、予定価格は26,807,118円だから、落札率は86.99%(=23,320,000÷26,807,118)となる。
ところが、東京航空局は契約金額23,320,000 円とすべきところを入札金額21,200,000円としてしまっているのである(入札金額には消費税が含まれていない)。
- ×落札率=入札金額(税別)÷予定価格(税込)
- 〇落札率=契約金額(税込)÷予定価格(税込)
入札額と落札価格(≒契約金額)の消費税の扱いについては、以下のとおり、本件の入札公告にシッカリ記されている。
(6) 入札方法
- 入札者は、消費税及び地方消費税に係る課税事業者であるか免税事業者であるかを問わず、本案件に係る諸経費等を含め見積もった契約希望金額の110分の100に相当する金額を入札書に記載すること。
- 落札決定に当たっては、入札書に記載された金額に当該金額の10%に相当する額を加算した金額(1円未満の端数は切り捨て。)をもって落札価格とする。
このようなミスは今回が初めてではない
羽田新ルート問題を軸に、国交省の発信する文書をつぶさに見ていると、日本の官僚組織の無謬性に綻びを感じるときがある。
たとえば次の2件。
- 22年6月:国交省航空局、少なくとも5件の入札結果の公表漏れ
⇒筆者の指摘により、後日公表された。 - 21年9月:第4回 固定化回避に係る技術的方策検討会の議事概要の誤記
⇒筆者の指摘効果か否かは不明だが、後日「正誤表」が掲載された。
国交省の担当者が忙しすぎるのか、あるいは人材の質が低下してきているのか。後者だと国民としては困る。
【追記】筆者の指摘により正しい数字に「修正」された
※22年8月1日追記。
国土交通省ホットラインステーションを使って7月28日、東京航空局に落札率の数字が間違っている旨を指摘。
4日後(8月1日)、国土交通ホットラインステーションから下記回答が送られてきた。
ご指摘いただきました通り、契約額(23,320,000 円)÷予定価格(26,807,118円)=86.99%が正しいものとなります。
該当のデータにつきまして修正いたしました。
(https://www.cab.mlit.go.jp/tcab/contract/contract_04/post_271.html)お手数をおかけして申し訳ございません。
ご確認よろしくお願いいたします。
リンク先を辿ると、正しい数字に差し変っていることが確認できた。
メールには「訂正」(誤りを正しく直すこと)ではなく、「修正」(不十分・不適当と思われるところを改め直すこと)と記されている。役人の無謬性資質を垣間見た気がする。
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