国交省は毎年6~7月頃、「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果」を公表している。
過去データを含めて、マンション管理業者への是正指導状況等を可視化する。
※初投稿22年8月1日(更新25年6月30日:24年度データ反映)
22社に対して是正指導(24年度)
「マンション管理業者への全国一斉立入検査結果(令和6年度)」文書を開いてみると、22社に是正指導を行ったことが記されている。
2.検査結果
今回の立入検査では、前年度に引き続き、管理業務主任者の設置、重要事項の説明等、契約の成立時の書面の交付、財産の分別管理及び管理事務の報告の5つの重要項目を中心に、全国 107 社(令和5年度 100 社)に対して立入検査を行い、22 社(令和5年度29 社)に対して是正指導を行いました。(以下略)
この調査は05年度から毎年実施されている。過去のデータを含めて可視化してみた。
マンション管理業者への是正指導率は13~19年度にかけて4割程度で推移していたが、20年度以降減少傾向が見られる(次図)。

さらに内訳を見ると、「重要事項の説明等」に関する指導は、10年度をピークに減少傾向が見られる(次図)。

なぜ是正指導率は20年度以降減少傾向が見られるのか
20年度以降減少傾向が見られる理由として考えられるのは3つ。以下に述べる。
コロナの影響(20~22年度)
第一に挙げられるのが、新型コロナの影響である。立入調査そのものが制限され、不具合を洗い出す機会が減ったことは否定できない。
また、過去の行政指導が功を奏して管理体制が全体として改善した可能性もあるが、筆者は前者、つまり「調査の精度低下」の影響が大きいと見ている。
その根拠のひとつが、国交省が18~21年度にかけて、同一内容の要請文書を「一般社団法人マンション管理業協会 理事長」宛に繰り返し発出しているという事実である。
組織変更(20年度)
さらに、20年7月には土地・建設産業局の再編により「不動産・建設経済局」が新設され、発信名義も「不動産業課長」から「参事官」に変わった。この組織変更が現場レベルに与えた影響もゼロではない。
IT重説の導入効果(21年度)
第三の要因は、21年3月30日から本格運用が始まった「IT重説」(オンラインによる重要事項説明)の導入である。
IT重説では、事前に必要な書類や図面を送付することが義務づけられており、説明の様子も録画保存が可能となった。これにより、後々の「言った/言わない」トラブルが大幅に減ったとされている。
さらに、IT重説の導入にあたってはトラブル相談窓口も設けられ、制度全体としての信頼性が向上した。その結果、重要事項説明に関する是正指導が減少したと考えられる。
おわりに
是正指導率の減少は、単なる「改善」か、それとも「見逃し」か。
数字は語るが、すべてを語りきるわけではない。今後も検査の対象や手法の変化を注視し続けることとしたい。
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