品川区は羽田新ルート周辺に設置した測定局2か所(立会小学校・台場小学校)で測定した騒音データを毎月末、3か月後に公表している。
6月30日に公表されたデータのうち、台場小学校で3月30日に記録された最大騒音レベルの最大値が88dBと極めて大きい値となっていた(過去最大!)。とっても気になったので、騒音計測を所管している品川区都市計画課に照会してみた。
台場小学校の最大騒音レベル88dB!
6月30日に公表されたデータを可視化していて妙なことに気が付いた。台場小学校で3月30日に記録された最大騒音レベルの最大値が88dBと極めて大きいのだ(次図)。
「羽田新ルート|品川区の騒音測定データを可視化※随時更新」より
品川区が公表した資料を確認してみると3月30日の台場小学校で測定された最大騒音レベルの最大値は、なんと88.0dBもあるのだ(次図)。
88.0dBがどれほど大きい騒音値なのかといえば、幹線道路沿いの騒音よりも大きくパチンコ店の騒音に迫るうるささだ(次図)。
国交省のFAQ冊子v6.2(P56)「騒音環境と航空機騒音の程度について」
ちなみに、台場小学校はC滑走路到着ルート直下から約400m離れた位置にある(次図)。
都市計画課の回答:航空機が出力を上げた可能性
なぜ88dBという大きな値が記録されたのか。とっても気になったので、騒音計測を所管している品川区都市計画課にウェブフォームを使って問い合わせてみた。
都市計画課への問合せ(6月30日)
筆者から都市計画課の担当者に向けて以下のように問い合わせた。
都市計画課 空港環境担当様
3月30日の台場小学校の最大騒音レベル(dB)の最大値が 88.0とされています(下記URLご参照)。
88.0dBは極めて高い値であり、過去最高の値でもあります。
計測値に異常はないのでしょうか?
異常がないとすれば、どのような状況だったのでしょうか。
当日の詳細な記録の開示をお願いいたしたく。https://www.city.shinagawa.tokyo.jp/ct/pdf/hpg000023398_32.pdf
都市計画課からの回答(7月7日)
7日後に都市計画課からメールで次の回答が送られてきた。
航空機騒音について、これまでも偶発的に発生し瞬間的に最大騒音レベルが大きくなる現象が確認されておりますが、ご指摘のありました3月30日(水)において、測定装置の異常は認められておりません。
委託業者に実音データの確認を行ったところ、航空機が出力を上げた際に通常よりも大きな値が記録された可能性が考えられるとの由です。
都市計画課からの回答では「航空機が出力を上げた際に通常よりも大きな値が記録された可能性が考えられる」とされている。
B767(中型機)がエンジンを吹かしたのが原因
筆者の問い合わせ「当日の詳細な記録の開示」には答えていただけなかったので、
情報公開請求の手続きを取ることにした。
行政情報公開請求書を投函。手数料310円を郵便局で納付すると、都市計画課から航空機騒音データ(A4判2枚)が郵送されてきた(次図)。
同データを可視化したのが次図。
15時56分13秒に88dBが記録されたことが確認できる(次図、ピンク丸囲い部分)。
15時56分前後に台場小学校近くを通過した機種・高度(flightradar24による)と騒音データとの関係を整理したのが次表。
88dBを記録したのは、松山発のボーイング767(中型機)で、高度約373mであった。ちなみに、国交省の計画では台場小学校近くの上空を高度約450mで飛行することになっている(FAQ冊子v6.2 新飛行経路図より)。
flightradar24のグラフ(飛行高度と飛行速度)を見ると、56分15秒付近で飛行速度が上昇していることが確認できる(次図)。
上図からボーイング767(中型機)がエンジンを吹かしたことにより騒音レベルが88dBまで上昇したということなのであろう。
あわせて読みたい
同じような事象が、21年5月1日に立会小学校の騒音測定(A滑走路到着ルート直下から約200m離れた位置)で発生した時の分析記事。