NHKが都議選前に実施したアンケート調査では、23区の当選者86人のうち49人(57.0%)が羽田新ルートについて「見直すべき」を選択していた。
今後、都議会で羽田新ルート関連の請願・陳情の審議において、各議員が今回のNHKアンケート結果の通りの投票行動を取れば、改選前のような不採択(≒却下)が頻発するようなことにはならないはずなのだが……。
羽田新ルートに係る改選前後のパワーバランス:75%⇒69%
2021年の都議会議員選挙の結果を受けて、羽田新ルートの推進派、中止・撤回派などの議員数の割合(パワーバランス)はどのように変化したのか。
改選前は、羽田新ルートを推進している自公・都ファだけで、全体の75%を占めていた(次図)。
「2021都議選|羽田新ルートに係る各党スタンス、パワーバランスなど」より
改選後は、羽田新ルートを推進している自公・都ファの割合が下がったとはいえまだ69%を占めている(次図)。
「同上」より
NHKアンケート、羽田新ルートに係る候補者・当選者の回答
NHKが都議選前に発表した候補者アンケートには、羽田新ルートに係る設問があった。
Q24
羽田空港を発着する旅客機が都心上空を通る新しい飛行ルートについて、どう考えますか。
- 見直すべき
- 見直す必要はない
- 回答しない
23区の候補者217人の回答を見てみると、自公・都ファの候補者全員が必ずしも「見直す必要はない」を選択しているわけではない(次図)。
公明党候補者は、「見直す必要はない」を選択した人はゼロだが、58%が「回答しない」を選択。都ファ候補者は、党の方針に抗って73%が「見直すべき」を選択している。
「2021都議選|羽田新ルートに係るNHKアンケート結果(23区)」
上図は23区候補者217人の党派別の回答分布。当選者86人の分布を次図に示す。
- 自民候補者のなかで唯一「見直すべき」を選択していた鈴木 純氏(台東)は当選。
- 公明党当選者の19人のうち11人(58%)は「回答しない」を選択。
- 都ファ当選者21人のうち党首を含む15人(71%)は「見直すべき」を選択。
- 賛否が入り乱れていた諸派・無所属49人のうち、当選したのは無所属2人でいずれも「見直すべき」を選択。
当選者86人のうち49人(57.0%)が「見直すべき」。「見直す必要はない」18人(20.9%)と「回答しない」18人(20.9%)と未記入1人(1.2%)の合計が37人(43.0%)。
つまり「見直すべき」がそうでない割合を上回っているのである。今後、都議会で羽田新ルート関連の請願・陳情の審議において、各議員が今回のNHKアンケート結果の通りの投票行動を取れば、改選前のような不採択(≒却下)のような状況は起こらないのだが……。
NHKアンケート、「見直すべき」を選択した自公・都ファ当選者(24人)
党として羽田新ルートを推進している自公、都民ファーストのなかにも、NHKのアンケート調査で羽田新ルートについて「見直すべき」を選択した人が24人いた。
今後の都議会での投票行動との整合性をチェックできるよう、以下列挙しておく。
※敬称略。朱書きは羽田新ルートが通過する区。
- 千代田:平 慶翔(都民)
- 港:入江 伸子(都民)
- 新宿:古城 将夫(公明)、森口 つかさ(都民)
- 台東:保坂 真宏(都民)、鈴木 純(自民)
- 江東:白戸 太朗(都民)
- 品川:伊藤 興一(公明)
- 目黒:斉藤 泰宏(公明)
- 大田:森 愛(都民)、勝亦 聡(公明)
- 世田谷:福島 理恵子(都民)
- 渋谷:龍円 愛梨(都民)
- 中野:荒木 千陽(都民)※都民ファースト党首、高倉 良生(公明)
- 杉並:茜ヶ久保 嘉代子(都民)
- 豊島:長橋 桂一(公明)、本橋 弘隆(都民)
- 荒川:滝口 学(都民)
- 板橋:鎌田 悦子(公明)
- 練馬:小林 健二(公明)、村松 一希(都民)
- 足立:後藤 奈美(都民)
- 葛飾:米川 大二郎(都民)
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