20年度は埼玉県内では6か所で測定されていたのに、21年度は1か所でしか測定されなくなったという話。5か所を止めたこともその理由もどこにも記されていない。
20年度の新飛行経路下の航空機騒音の短期測定計画
国交省は6月24日、20年度の新飛行経路下の航空機騒音の短期測定計画(※リンク切れ)を公表。
新飛行経路下の騒音について、よりきめ細かな把握を行うため、19箇所で稼働している固定騒音測定局以外の地点において、夏冬合計で計2週間の短期騒音測定を実施いたします。
測定か所は、全18か所(東京15、神奈川2、埼玉1)で、7月中旬から1週間にわたって測定するとしている(次図)。
じつは、国交省は20年度も短期測定(9月23日から10月6日、ほか)を実施している。
20年度の騒音測定か所を次図に示す。21年度(上図)との違いにお気づきだろうか。
埼玉県内の短期騒音測定か所、6か所のうち5か所をコッソリ取り止め
20年度と21年度の測定局を注意深く突合してみると、20年度に埼玉県内で測定されていた6か所のうち次の5か所の測定局がなくなっていることが分かる。
ひょっとすると国交省は、大型機が通過した時の実測値の平均値(朱書き)が大きくないため、「美笹中学校(戸田市)【A着陸】65.7dB」だけを残してあとの5か所を取り止めるという判断をしたのかもしれない。
- 飯塚小学校(川口市)【C着陸】62.0dB
- 美園小学校(さいたま市)【A着陸】61.3dB
- 西小学校(蕨市)【C着陸】61.5dB
- 下新倉小学校(和光市)【A着陸】60.7dB
- 第九小学校(朝霞市)【A着陸】56.2dB
ここで指摘しておきたいのは、上記朱書きの数値が「実測値の平均」という薄められた値であること(最大値ではないこと)と、なによりも短期測定とはいえ埼玉県内の測定か所6か所のうち5か所をコッソリ取り止めたことである(5か所を止めたこともその理由もどこにも記されていない)。
あと、20年度の短期測定は2週間(9月23日~10月6日)実施されたことになっているが、その間南風時の運用がされたのは3日間(A着陸 57機、C着陸 115機、B離陸 98機)。もちろん悪天時運用ではない。20年に悪天時運用が実施されたのは8日間と少ないものの、そのときA着陸ルートを通過する飛行機の高度は900mと低くなることも指摘しておきたい。
【追記】再公表でも埼玉県内の測定は1か所のまま
※追記21年7月7日
国交省は6月28日、上述の計画内容につき、「再度確認を要する事項が生じたため」取り下げると発表。
【お詫び】令和3年度の短期的な騒音測定の実施内容・地点の公表延期について(6月28日)
2021年6月24日に、令和3年度(2021年度)の実施内容・地点について公表いたしましたが、資料の内容について、再度確認を要する事項が生じたため、公表を一時的に取り下げさせていただきます。後日改めて公表いたします。
国交省は7月7日、実施内容・地点につき再公表した。
6月24日に公表した資料からの変更点は以下のとおりです。
- 実施時期の明記(7月中旬→7月15日と明記)
- 地図におけるプロット位置の精査
※短期騒音測定の実施地点に変更はございません。
実施地点に変更はないという。つまり、埼玉県内の測定か所を20年度の6か所から1か所に削減したままなのである。
ちなみに、「プロット位置の精査」の内容をチェックしたところ、ほとんど変わっていないことが分かる(次図)。
ひょっとして、筆者の指摘を受けて、6月28日にいったん取り下げたものの、都議選も終わったので、もとの計画(埼玉県内の測定か所を5か所削減)を再度提示し、日付の明記(7月中旬→7月15日)と「プロット位置の精査」という形で取り繕ったということはないのだろうか……。
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