中古マンション選びのポイントは、駐輪場と掲示板。乱雑な状態であれば、マンション管理がキチンとなされてないことの証左となり得るし、そのような状態を容認している住人の民度にも懸念が生じる。
駅前の放置自転車の状況についても、似たようなことが言える。放置自転車が多いとすれば、駅前駐車場の整備費や整理・撤去などの人件費に十分な予算が投じられていないことの証左となり得るし、そのような状態を容認している地域住民の民度の問題にも通じる。
東京都は毎年、『都内における駅前放置自転車の現況』を公表している。東京都都民安全推進本部のホームページに平成22年度(2010年度)以降の調査結果が掲載されている。
そこで、過去の調査結果も含めて、都内の放置自転車の状況を可視化分析してみた。
※投稿21年4月8日(更新23年3月30日:22年度データを反映)
都内の放置自転車が多い駅ワースト10推移
2013年度以降の都内の駅前放置自転車台数ワースト10の推移を次表に示す。
数年前まで上位を占めていた赤羽駅や恵比寿駅などが改善されてきた様子が分かる。
23区の放置自転車等対策費ランキング
放置自転車の台数削減のためにどの程度の予算が投じられているのか。
23年度予算ベースの23区放置自転車等対策費(自転車だけでなく、原動機付自転車と自動二輪車の対策費も含む)ランキングを次表に示す。
最も多い大田区(年間15億円)に対して、最も少ないのは渋谷区(年間0.2億円)!
※港区の投資的経費が突出しているのは、麻布十番駅周辺の放置自転車等対策として「(仮称)一の橋公園自転車駐車場整備」(589,742千円)が計上されているため。
【メモ】
放置自転車等対策費は「投資的経費」と「消費的経費」から構成されている。
- 投資的経費:自転車等駐車場の建設、増・改築に要する経費
- 消費的経費:放置自転車等の整理・撤去・返還、自転車等駐車場の維持管理、普及啓発等に要する経費
放置自転車等対策費の費用対効果
放置自転車等対策費(自転車だけでなく、原動機付自転車と自動二輪車の対策費も含む)と放置自転車台数の推移を可視化してみた。
放置自転車等対策費(=投資的経費+消費的経費)の増加とともに、放置自転車台数が減少していく様子が確認できる(次図)。
※20年度までは決算額、21年度は予算額
放置自転車が減少傾向にあることはいいことだが、そのために消費的経費は増加している。放置自転車2万台を下回るために、年間投下される消費的経費は147億円。
雇用対策も兼ねているのであろうが、消費的経費を投下し続けないと駅前放置自転車が減らないというのでは持続的可能な良策とはいえない。たとえば、自転車を駅前に放置した人に10万円の過料を科せば消費的経費も賄えるので一石二鳥……。
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