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質問主意書|フラット35の不正融資問題「先の答弁書でお答えしたとおりである」(政府答弁)

第216回国会(24年11月28日~12月21日)の衆議院の質問主意書48件のなかに、3番目としてフラット35の不正融資問題に係る次の質問主意書が埋もれている(12月11日現在)。

原口一博 衆議院議員が11月28日に提出した質問主意書に対する政府答弁書が公開されたのでひも解いてみた。

※読みやすいように、一問一答形式に再構成。

時間のない方は、「質疑応答のポイント」と文末の「雑感」をお読みいただければと。


質疑応答のポイント

原口一博 衆議院議員(立憲)

原口一博 衆議院議員
衆議院 財務金融委員会 24年4月26日 審議中継より)
原口一博 衆議院議員(10期、立憲民主党、 東大文学部卒、65歳)

令和5年11月28日「衆議院議員原口1博君提出フラット35の不正融資問題に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質212第48号)(以下「令和5年答弁書」という。)及び令和6年2月13日「衆議院議員原口一博君提出フラット35の不正融資問題に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質213第38号)(以下「令和6年答弁書」という。)を踏まえ、以下質問する。

問1(アルヒに対する調査状況)

「フラット35の不正融資問題に関する質問主意書」(令和5年11月15日提出質問第48号)において、政府が住宅金融支援機構(以下、「機構」という。)、アルヒ株式会社(以下、「アルヒ」という。)に対し調査を行っているか質問したところ、令和5年答弁書において、「お尋ねについては、御指摘の「アルヒフラット35被害弁護団及び被害者同盟」の関係者から独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)に対して訴訟が提起されているところ、御指摘の「調査」の実施の有無を含めてお答えすることは、現在係属中の訴訟に対して、不測の影響を与えるおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい。」との答弁があった


また、「フラット35の不正融資問題に関する質問主意書」(令和6年2月1日提出質問第38号)において、質問主意書の答弁等に対する政府の見解を求めたところ、令和6年答弁書において、「当該発言が当該訴訟に与える影響を考慮する必要がないと判断した」場合は、係属中の案件についても情報開示ができるとしている。

令和6年答弁書以降、訴訟の進捗など状況の変化により、訴訟に与える影響を考慮する必要がない部分も出てきた可能性があるのではないか。このため、最新の状況を踏まえ、再度、以下について回答されたい。

問1-1:政府は機構、アルヒに対して調査を行ったか?

政府は機構、アルヒに対して調査を行ったか。行ったとするならば、その結果はどのようなものであり、それに対し、どのような指導等を行っているか。

問1-2:アルヒに対して調査を行っていないならば、その理由は?

政府が機構、アルヒに対して調査を行っていないならば、その理由は何か。

答1:先の答弁書でお答えしたとおりである

お尋ねについては、先の答弁書(令和5年11月28日内閣衆質212第48号)1及び2の前段についてでお答えしたとおりである。

問2(政府の対応)

令和5年答弁書において、フラット35の適切な利用に向け、機構が行っている取組が列挙されている。

問2-1:(居住目的記載)金融機関が適切に対応しているか?

当該答弁書において、「機構は、平成15年のフラット35の制度創設以来、フラット35の申込人(以下「申込人」という。)が金融機関に対して提出する書類において、フラット35による借入金(以下「借入金」という。)の使途について、当該申込人が居住するための住宅の取得資金等として利用する旨を記載するよう金融機関に対して求めてきたものと承知している。」としているが、この機構による金融機関に対する求めについて、金融機関が適切に対応しているか、政府は機構がその状況把握を行っているか確認しているか。

答2-1 ※後述
問2-2:(不正利用した場合、残債務の一括返済)金融機関が適切に対応しているか?

また、「機構は、申込人と金融機関との間で締結される金銭消費貸借契約に係る契約証書において、当該申込人が借入金を投資用物件の取得資金として不正利用した場合には、当該契約に係る債権者が当該申込人に対して、当該借入金に係る残債務の一括返済を求めることができる旨を記載するよう金融機関に対して求めてきたものと承知している。」ともしているが、この機構による金融機関に対する求めについて、金融機関が適切に対応しているか、政府は機構がその状況把握を行っているか確認しているか。

答2-1&2-2:(機構が金融機関モニタリングで状況把握を行っていること)政府として確認している

お尋ねについては、独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)が金融機関に対するモニタリングを実施することで状況把握を行っていることを政府として確認している。

問2-3:借入金を投資用物件の取得資金として利用することができないこと、マニュアル作成されたか?

さらに、「平成30年以降、機構は、借入金を投資用物件の取得資金として利用することができないことについて、機構のホームページや新聞広告において注意喚起を行うとともに、金融機関が申込人に対して適切に個別説明を行うことができるよう、金融機関向けのマニュアルを作成する等の取組を進めているものと承知している。」としているが、このマニュアルが作成されたか、政府は機構に確認しているか。

また、「マニュアルを作成する等」とされているが、この「等」には、マニュアル作成以外、どのような取組が行われているか、政府は機構に確認しているか。

答2-3:(マニュアル作成されたか)政府は機構に確認している

前段のお尋ねについては、御指摘の「マニュアルが作成されたか」について、政府は機構に確認している。

後段のお尋ねについては、機構が金融機関向けの説明会を実施していることを政府として確認している。

問2-4:(機構の取組)フラット35の不正融資対策として十分?

政府は、機構が行っている前述1~3のような取組が、フラット35の不正融資対策として十分なものであると考えるか。

答2-4:今後とも、機構においてこうした取組を着実に進めていく必要がある

お尋ねについては、機構は、フラット35の適切な利用を促すために御指摘の「取組」を含め様々な取組を行っており、政府としては、今後とも、機構においてこうした取組を着実に進めていく必要があるものと考えている。

問3(政府・機構・アルヒによる癒着の可能性)

フラット35の不正融資問題の被害が拡大した背景には、政府、機構、アルヒによる癒着があったのではないか。以下について回答されたい。

問3-1:機構には、政府のOBや現役職員が在籍?

機構には、政府のOBや現役職員が在籍しているか。在籍している場合には在籍人数を、また、役職に就いている場合にはその役職名と人数について、政府として把握されているところを、平成27年以降、年度ごとにそれぞれ回答されたい。

答3-1:OB1名(理事長)。現役出向者11~12名

お尋ねについては、国家公務員の退職後における再就職の状況は、公務を離れた個人の情報であり、一般に政府が把握すべき立場にないことから、お尋ねの全てにお答えすることは困難であるが、平成27年から令和6年までの各年4月1日現在における機構の役員のうち国家公務員を退職した者(休職して、又は退職手当を受給せず退職して機構の職員となった、いわゆる現役出向者(以下単に「現役出向者」という。)を除く。)の役職及び人数は、各年とも理事長1名である。


また、各年同日現在における現役出向者の人数は平成27年が11名、平成28年が12名、平成29年が11名、平成30年から令和6年までが12名であり、このうち役員の役職及び人数は、平成27年が理事1名及び監事1名、平成28年から令和3年までが理事2名及び監事1名、令和4年から令和6年までが理事2名及び監事2名である。

問3-2:アルヒには、機構のOBや現役職員が在籍?

アルヒには、機構のOBや現役職員が在籍しているか。政府として把握されているところを回答されたい。

答3-2:政府としては承知していない

お尋ねの「アルヒには、機構のOBや現役職員が在籍しているか」については、政府としては承知していない。

問3-3:問題事案が生じた場合、機構から政府にどのように報告?

機構が行う業務において問題事案が生じた場合、機構から政府に対しどのように報告が行われるのか。

また、報告を受けた政府は、迅速な対応を取るためにどのような体制を構築しているか。

答3-3:遅滞なく、主務大臣に報告(独立行政法人通則法)

お尋ねについては、機構は、独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第19条の2の規定に基づき、法令違反の事実等があると認められるときは、遅滞なく、主務大臣に報告することとされており、政府としては、機構の行う業務に関する事務を担当する部署を設置している。

雑感

「先の答弁書でお答えしたとおりである」の意味

原口 議員の次の質問。

政府は機構、アルヒに対して調査を行ったか。行ったとするならば、その結果はどのようなものであり、それに対し、どのような指導等を行っているか。

これに対する政府の答弁は「先の答弁書(令和5年11月28日内閣衆質212第48号)1及び2の前段についてでお答えしたとおりである」だった。

どういう意味なのか、過去の質疑応答をひも解かないと分からない。

「先の答弁書」の「1及び2の前段」で、政府は次のように回答している。

お尋ねについては、御指摘の「アルヒフラット35被害弁護団及び被害者同盟」の関係者から独立行政法人住宅金融支援機構(以下「機構」という。)に対して訴訟が提起されているところ、御指摘の「調査」の実施の有無を含めてお答えすることは、現在係属中の訴訟に対して、不測の影響を与えるおそれがあることから、お答えすることは差し控えたい

ようするに、訴訟中の事案なので回答しないということなのである。

「政府、機構、アルヒによる癒着があったのではないか」

原口 議員は「フラット35の不正融資問題の被害が拡大した背景には、政府、機構、アルヒによる癒着があったのではないか」として、住宅金融支援機構への政府のOBや現役職員の在籍人数を質問。

政府答弁により、国家公務員OBが毎年理事長1人のほか、現役職員が11~12名出向していることが明らかになった(次図)。

住宅金融支援機構への現役出向者(国家公務員)の内訳

2024年6月1日、このブログ開設から20周年を迎えました (^_^)/
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