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羽田新ルート設定の取り消し訴訟、国のスタンスは門前払い

羽田新ルート直下の住民ら29人が20年6月12日、国に新ルートの運用停止を求める行政訴訟を東京地裁に起こした。
コロナの影響で進行が遅れつつも、第1回口頭弁論は20年9月28日に開かれた。緊急事態宣言の影響がなければ、来る2月5日には2回目の口頭弁論が開かれ、国による主張が展開される。


もくじ

被告指定代理人は29人!

2回目の口頭弁論で国が主張する内容が記された文書がクラウドファンディング・サイトCall4の「羽田空港新ルート設定の取消訴訟」の「訴訟資料」として公開されている(次図)。

羽田空港新ルート設定の取消訴訟

 

東京法務局訴訟部から弁護団宛に12月25日に届いた「準備書面(1)」は全70ページ(次図)。

被告準備書面


「令和2年(行ウ) 第223号 行政処分取消請求事件

裁判に縁のない一般人にとって、何とも物々しいタイトルではないだろうか。

被告指定代理人として、29人の氏名が並んでいる。

おーっ、国は大弁護団でこの戦いに臨むのかと思いきやそうではない。行政裁判での代理人は、弁護士でない行政庁の職員がなることができることになっているのだ(法務大臣権限法2条1項)。

氏名の横の印影を見ると、29人のうち22人は「酒井」印。

酒井由美子弁護士(東京永田町法律事務所のパートナー弁護士、東京弁護士会、慶応大学法学部法律学科卒)の押印なのであろう。

「酒井」印の先頭バッターは、武田一寧 首都圏空港課長である。

「被告準備書面」には何が書いてあるのか

「被告準備書面」には何が書いてあるのか?

「目次」で全体を俯瞰することができる。

目次

第1 はじめに
第2 新飛行経路の運用開始に至るまでの事実経過、関係法令の定め及び制度の仕組みの概要

  1. はじめに
  2. 新飛行経路の設定と航空法の関係
  3. 新飛行経路の運用開始に至るまでの事実経過(航空法に基づく手続を除く。)
  4. 原告らの訴状における主張に関連する規定

第3 航空法83条、航空法施行規則189条2項に基づいて殻定した飛行経路の特定

  1. AIPチャートについて
  2. 本件訴訟において原告らが適法性を争っていると思料される羽田空港の新たな飛行経路について

第4 本案前の答弁の理由

  1. 令和元年12月通知の発出に処分性が認められないこと
  2. 航空法83粂、規則189条2項に基づく南風時の新たな飛行経路の設定に処分性が認められないこと
  3. 本件各飛行経路設定行為の取消訴訟について、原告らに原告適格が認められないこと

第5 令和元年12月通知の発出が適法であること
第6 南風時の新たな飛行経路の設定が適法であること
第7 原告らの訴状に、おける主張に対する反論

  1. はじめに
  2. 政策目的達成のために他に取り得る手段がある旨の原告らの主張に対する反諭
  3. 石油コンピナートの危険性に係る原告らの主張に対する反論
  4. 墜落の危険性に係る原告らの主張に対する反論
  5. 落下物の危険性に係る原告らの主張に対する反論
  6. 騒音被害に係る原告らの主張に対する反論
  7. 排気ガス被害に係る原告らの主張に対する反論

第8 結語

国のスタンスは門前払い

結論は最後のページに「第8 結語」として記されている。

第8 結語

 以上に述べたとおり、本件各飛行経路設定行為及び令和元年12月通知の発出について処分性や原告適格は認められない。仮に処分性及び原告適格が認められるとしても、本件各飛行経路の設定及び令和元年12月通知の発出が遵法であると認めることもできない

 したがって、原告らの本件各訴えについては、速やかに却下されるべきである。

かみ砕いて補足すると、次のようになる。

  • 川崎石油コンビナート地域上空を飛行しないとした決定を翻した19年12月付の通知は、行政処分ではない(処分性が認められない)ことから、原告の訴えは不適法である
  • また、羽田新ルートの設定行為の効果は、一般的・抽象的なものにとどまり、処分性がないことから、原告の訴えは不適法である
  • 仮に処分性が認められるとしても原告らに各行為の取消しを求める原告適格が認められない

以上を一言でいえば、いわゆる門前払い。

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2021年6月1日、このブログ開設から17周年を迎えました (^_^)/
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