筆者が可視化した東京都の航空機騒音データを見た人が「最大騒音レベルの最大値」の意味を的確に理解できるよう、以下解説する。
最大騒音レベルの最大値72dB超(通年!)
東京都は羽田新ルート周辺の騒音測定局(5か所)で測定した騒音モニタリング結果(速報値)を数日後に公表している。
筆者は東京都が公表しているこの騒音モニタリング結果を可視化し、ブログに投稿している(羽田新ルート|東京都の騒音測定データを可視化※随時更新)。特に、1か月分のデータが蓄積される都度、月次データに加工して、Twitterで周知している。
昨日(10月6日)、9月分のデータを反映した月次変化グラフを次のようにツイートした。
上図(#都心低空飛行):
— マン点 (@1manken) 2022年10月5日
最大騒音レベルの最大値72dB超(通年!)
騒音発生回数は増加傾向!!
下図(#荒川沿い北上ルート):
最大騒音レベルの最大値70dB超(通年!)
↓
【9月データ追加】#羽田新ルート|東京都の騒音測定データを可視化https://t.co/qeuJZYDSU5 pic.twitter.com/8XThffIRm0
フォロアーの方が「最大騒音レベルの最大値72dB超(通年!)」の意味を的確に理解できるよう、「最大騒音レベルの最大値」の意味を以下解説する。
「最大値」は最も大きい騒音値ではない
東京都が毎日平日に公表している騒音データは、最大騒音レベルに係る「最大値」「最小値」「平均値」と「騒音発生回数」「Lden」(次図)。
これらデータのうち、筆者が可視化しているのは、「最大値」と「騒音発生回数」。航空機騒音がうるさいと感じるのは最大値と騒音発生回数(≒飛行機の通過数)であると考えているからである。
最大騒音レベルの最大値のグラフを見るうえで注意してほしい点は2つ。
1点目は、「最大値」は最も大きい騒音値ではないということ。都が公表している資料に注釈として次のように記されている。
最大騒音レベル(単位:デシベル (dB))とは、(個々の) 航空機騒音の発生ごとに観測される騒音レベルの最大値で、本モニタリング結果は、騒音計の時間重み付け特性をS(Slow)に設定したものである。
新幹線騒音や航空機騒音などは、Slowモードで測定した騒音レベルの値を基に環境基準が定められている(一般騒音はFastモード)。
航空機騒音のように激しく変動する騒音値をFastモードで測ろうとすると極端に大きい瞬時値(瞬間の最大騒音レベル)を拾ってしまうことになるからだ(次図)。
特に誤解されがちなのは2点目。
「最大騒音レベルの最大値」とは複数の航空機のなかで最も大きい値
「最大騒音レベルの最大値」とは、羽田新ルートが運用されている時間帯に飛行した複数の航空機の最大値(Slowモードで測定)のなかで最も大きい値のこと(次図)。
言い換えると、羽田新ルートを通過する航空機が全て「最大騒音レベルの最大値」を発生させているわけではないのである。
言われてみれば当たり前のようなことであるが、ツイートしたグラフからはそこまで読み取れないだろうから、今回あえて解説した次第。
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