東日本不動産流通機構は6月10日、「月例マーケットウオッチ・サマリーレポート」(5月度)を発表。
同レポートには首都圏の中古マンション市場動向も記されている。
中古マンション
首都圏概況
- 成約件数は前年比マイナス38.5%と、新型コロナウイルスの感染拡大により4月に続いて大幅減となったが、減少率は縮小した。
- 成約m2単価は前年比プラス0.4%、成約価格は前年比マイナス0.9%と、双方ともほぼ横ばいであった。
- 専有面積は前年比で1.3%縮小した。
地域別動向
- 成約件数はすべての地域が前年比で3割を超える大幅な減少となり、埼玉県は4ヶ月連続、その他の地域は3ヶ月連続で前年同月を下回った。
- 成約m2単価は東京都区部、多摩、神奈川県他が前年比で上昇し、神奈川県他は6ヶ月ぶりに前年同月を上回った。
これだけではよく分からないので、同機構が過去に発表したデータも含め、首都圏中古マンション市場動向のトレンドを可視化してみた。
成約単価・在庫件数・成約件数の推移(首都圏)
首都圏の中古マンションの成約単価は、アベノミクスがスタートした12年11月以降新築マンションに引っ張られるように上昇し、17年4月に50万円を突破。その後は鈍化。19年2月頃から再び上昇傾向にあったが、20年1月をピークに下落傾向(次図)。
20年5月の成約単価は52.03万円(前年同月比0.4%微増)。
(新築マンションの発売単価は、不動産経済研究所データによる)
首都圏の中古マンションの在庫件数は、大きく波を打ちながら増加傾向にあったが、19年1月をピークに減少傾向(次図)。
首都圏中古マンションの成約件数の推移を次図に示す。
5月の成約件数1,692戸は、前年同月比▲38.5%の激減。
首都圏中古マンションの成約件数前年同月比の推移を次図に示す。
新型コロナの影響で2か月連続で大幅に減少。
成約単価・在庫件数・成約件数の推移(1都3県)
1都3県の中古マンションの成約単価の推移を次図に示す。
都内の成約単価は、アベノミクスがスタートした12年11月以降上昇傾向にあったが、20年1月の74.82万円をピークに下落傾向。
1都3県の中古マンションの在庫件数の推移を次図に示す。
都内の在庫件数は、大きく波を打ちながら増加傾向にあったが、19年2月をピークに減少傾向。
1都3県の中古マンションの成約件数の推移を次図に示す。
大幅に落ち込んでいることが一目瞭然。5月の東京都の成約件数は前年同月比▲37.6%の激減。
成約単価・在庫件数・成約件数の推移(23区)
23区の中古マンションの成約単価の推移を次図に示す。
都心3区の成約単価は、19年9月に120万円を突破し、その後足踏み状態が続いていたが下落傾向。(次図)。
23区では、次の順に成約単価が高い傾向が見られる。
都心3区>城西>城南>城北>城東
- 都心3区:千代田、中央、港
- 城西地区:新宿、渋谷、杉並、中野
- 城南地区:品川、大田、目黒、世田谷
- 城北地区:文京、豊島、北、板橋、練馬
- 城東地区:台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川
23区の中古マンションの在庫件数の推移を次図に示す。
23区内の在庫件数は、減少傾向が見られる。
23区の中古マンションのうち、成約件数が多い城東地区と少ない都心3区の成約件数の推移を次図に示す。
両地区とも前年同月比で大幅に減少していることが一目瞭然であろう。
まとめ
新型コロナウイルスの感染拡大により、成約件数は激減。
- 首都圏
成約単価は20年1月をピークに下落傾向。5月の成約件数は前年同月比▲38.5%の激減。 - 都内
成約単価はアベノミクスがスタートした12年11月以降上昇傾向にあったが、20年1月をピークに下落傾向。5月の成約件数は前年同月比▲37.6%の激減。 - 都心3区(千代田、中央、港)
成約単価は、19年9月に120万円を突破し、その後足踏み状態が続いていたが下落傾向。
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