羽田新ルートの運用開始(3月29日)に向けて、実際に乗客を乗せた旅客機を使った飛行試験(実機飛行確認)が3月12日に終了した。
都心上空を通過する南風時の到着ルートの結果については、すでにこのブログで紹介した。
本日は、南風時に川崎市上空を通過するB滑走路出発ルート(以下「川崎ルート」)の実機飛行確認の結果を紹介しよう。
実機飛行確認の運用実績(川崎ルート)
国交省が2月13日に公表した資料によれば、南風時に実機飛行確認が行われたのは7日間で765便。そのうち川崎ルートを飛行したのは245便(次表)。
「実機飛行確認の結果(まとめ)」より
飛行騒音の測定結果(川崎ルート)
川崎ルートの騒音測定のために国が設けた測定局は次の2か所。
- 大田区立羽田小学校 【既設】
- 国立医薬品食品衛生研究所(川崎市) 【移設前】川崎市立殿町小学校
地図に落としてみると分かるように、国立医薬品食品衛生研究所は飛行ルート直下だが、羽田小学校は飛行ルート直下から1.2kmも離れている(次図)。
「FAQ冊子v6.2」の飛行経路図(P108)に、筆者がピンと水色文字・矢印を追記
測定局2か所での最大騒音レベルを可視化したのが次のグラフ。
飛行ルート直下にある研究所の騒音レベルは概ね90dBを超えている(パチンコ店内並みの騒音)。
羽田小学校は川崎ルート直下から1.2kmも離れているにも係らず、飛行高度が低いこともあり(150m⇒300m)、80dBを超えた日が多い(幹線道路際、掃除機並み)。
川崎ルートの可視化
川崎ルートで問題になっているのは、飛行騒音もさることながら、コンビナートへの落下物・墜落事故のリスクである。
7日間で川崎市川崎区の上空を通過するB滑走路出発ルートを飛行したのは245便。これらの便は実際にどのよう軌跡を描いて飛んだのか?
実機飛行確認の最終日(2月12日)に川崎ルートを飛行した48便の軌跡を確認してみよう。
48便の内訳を次表に示す。国内線46便(JAL18便、ANA20便、その他8便)、国際線2便(ベトナム航空、シンガポール航空)。
(flightradar24のデータをもとに筆者作成)
(同上)
これら48便のすべての軌跡をグーグルマップに落としたのが次図(オレンジ色の◎が各便の軌跡を示す)。
ピンク色で着色した部分は、国交省が公開している南風時のB滑走路出発ルートを示している(最大で約2kmの幅が見込まれている)。
(flightradar24のデータをもとに筆者作成)
川崎ルートを飛んだ48便は、危険物タンクが建ち並ぶタンクヤードの上空を通過していたことが確認できる。
また、上図を見て気がつくのは、48便の多くが国交省が公開しているルート幅(ピンク色)の東寄りを飛行していたこと。
その結果、羽田小学校だけでなく、大田区や川崎区の住宅街への騒音影響がより小さくなる効果が生み出されている……。
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