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首都直下地震、アスベストの健康被害想定は?

阪神・淡路大震災が発生して9年後に悪性胸膜中皮腫で元警官が亡くなったという事態もショッキングだが、少なくとも5人が労災や公務災害に認定されているという事実にも驚かされる。

東日本大震災に係るアスベストの健康被害の有無は?
首都直下地震に係るアスベストの健康被害想定は?


もくじ

阪神・淡路大震災、市民やボランティアの発症多発が懸念

14年に悪性胸膜中皮腫で亡くなった元警察官は95年1月から約1カ月間、長田区で警戒活動をしたことが発症原因と認定されていたことが判明したと報じる神戸新聞。

1・17震災時、大気中の石綿「高濃度」 95年2月に神戸調査の専門家

(前略)当時、現地調査した専門家が11日、大気中の石綿の数値が「全国平均より非常に高かった」と指摘した。

石綿関連疾患の潜伏期間は十数年から50年程度とされており、改めて今後の発症の多発に警鐘を鳴らした。(中略)


阪神・淡路の復旧作業などを巡る石綿被害では、少なくとも5人が労災や公務災害に認定。さらに今月、2014年に悪性胸膜中皮腫で亡くなった元警察官=当時(72)=について、95年1月から約1カ月間、神戸市長田区で警戒活動をしたことが発症原因と認定されていたことが判明した。今後、市民やボランティアの発症多発が懸念される。(以下略)

(神戸新聞NEXT 1月12日)

 

阪神・淡路大震災が発生して9年後に悪性胸膜中皮腫で元警官が亡くなったという事態もショッキングだが、少なくとも5人が労災や公務災害に認定されているという事実にも驚かされる。

アスベスト関連疾患の潜伏期間は十数年から50年程度ということなので、今後の増加が心配だ。

東日本大震災、アスベストの健康被害の有無は?

仙台市は2011年4月以降、東日本大震災に伴うがれき撤去・倒壊家屋解体等による環境への影響を把握することを目的として、大気中のアスベスト濃度を測定。

仙台市の調査結果によれば、震災後の市内の環境大気中アスベスト濃度は健康に影響を与えるレベルではなかったとしている

市内一般環境(市庁舎、公園、学校等のべ982ヶ所)及び発生源周辺(震災廃棄物搬入場周辺及びがれき撤去作業現場等のべ240ヶ所、損壊建築物の解体現場等のべ85ヶ所)において調査を実施した結果、震災後の市内の環境大気中アスベスト濃度は、WHO(世界保健機関)が示す、都市における大気中アスベスト濃度(一般環境)の範囲にあり、健康に影響を与えるレベルではありませんでした

環境大気中のアスベスト濃度|仙台市 19年12月26日)

仙台市の調査結果を信じるならば、震災によるアスベスト健康被害は発生しないことになる。


では、首都直下地震に係るアスベストの健康被害想定はどうなっているのか?

首都直下地震、アスベストの健康被害想定は?

中央防災会議の「首都直下地震対策検討WG」による「首都直下地震の被害想定と対策について(最終報告)~ 施設等の被害の様相 ~2012年12月」(PDF:2.1MB)をひも解くと、地震発生から概ね1か月後の「災害廃棄物等」の様相として、次のように記されている。

解体に伴う粉じん・アスベストの飛散や医療系廃棄物等を含む有害廃棄物の処理における周辺環境への汚染が問題となる。(P72)

「アスベストの飛散」って、それだけ?

 

ちなみに、南海トラフ地震が発生したときのアスベストの被害想定は、中央防災会議の「南海トラフ巨大地震対策検討WG」による「南海トラフ巨大地震の被害想定について(第二次報告)~ 施設等の被害 ~ 2013年3月18日」(PDF:2.2MB)に、地震発生から概ね1か月後の「災害廃棄物等」の様相として、次のように記されている。

解体に伴う粉じん・アスベストの飛散や、津波により流失した重金属類や医療系廃棄物等を含む有害廃棄物の処理における土壌汚染・水質汚染が問題となる。(P69)

南海トラフ巨大地震も首都直下地震と同様、「アスベストの飛散」としか記されていない。

震災アスベストによる健康被害を防止する。実効的な対策を立てるためにも、被害予測は欠かせないと思うのだが……。

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