環境省の中央環境審議会小委員会は9日、全ての建物の解体や改修時に、事前調査といった飛散防止対策の義務付けを求める答申案をまとめた。
問題は、第三者による事前調査や作業確認の実施が「人材不足」を理由に見送られたこと。
環境省答申、全建物でアスベスト対策を義務化
環境省の中央環境審議会小委員会は9日、全ての建物の解体や改修時に、事前調査といった飛散防止対策の義務付けを求める答申案をまとめた。
アスベスト対策、全建物で義務化
環境省の中央環境審議会小委員会は9日、アスベスト(石綿)を使った全ての建物の解体や改修時に、事前調査といった飛散防止対策の義務付けを求める答申案をまとめた。違反業者に対する新たな罰則も含め、政府は20日召集予定の通常国会に提出する大気汚染防止法改正案に盛り込む。(中略)
一方、議論となった第三者による事前調査や作業確認の実施は、人材不足を理由に見送った。
(共同通信 1月9日)
人材不足を理由に見送った!?
共同通信の記事によれば、「第三者による事前調査や作業確認の実施は、人材不足を理由に見送った」とされている。
念のため、環境省の資料で確認しておこう。
1月9日に開催された環境省の中央環境審議会小委員会とは、第8回「中央環境審議会 大気・騒音振動部会 石綿飛散防止小委員会」(委員長 大塚直 早稲田大学大学院法務研究科教授)を指している。
同委員会の答申案「今後の石綿飛散防止の在り方について(答申案)」が資料3として公開されている(次図)。
23ページからなる答申案をひも解くと、「人材不足」という文言ではないが、「現時点ではそのような確認の体制の整備は難しい」と記されている。
(2)一定の知見を有する者による事前調査の実施
(前略)調査の実施者は第三者とすべきとの指摘があり、これは、より客観的に事前調査を行う観点からは有効と考えられるが、上述のとおり多数の調査対象が想定される中、現時点ではそのような体制の整備は難しいことから、一定の知見を有する者の育成の状況や今般の制度見直しの運用の状況を踏まえつつ、将来的に知見を有する第三者による調査について検討することが考えられる。(以下略)
(答申案 P10)
(1)作業終了時の確認等
(前略)確認の実施者は第三者とすべきとの指摘があるが、石綿含有建材の除去等作業が相当程度多数行われていると想定されることを踏まえれば、現時点ではそのような確認の体制の整備は難しいことから、解体等工事の施工者が確認を行うこととし、今般の制度見直しの運用の状況も踏まえつつ、将来的に第三者による確認について検討することが考えられる。(以下略)
(答申案 P13)
第三者による事前調査や作業確認の実施が「人材不足」を理由に見送られたということになると、アスベスト対策工事の信頼性の確保という根幹の部分が担保されないことになる。平たくいえば、施工業者が適当に処理してしまうのではないかということ。
仏作って魂入れず。アスベスト対策工事の実効性確保は道半ば……。
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次の記事は、環境省ではなく、厚労省のアスベスト工事の規制強化。
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