ブログの読者から、羽田新ルートに関連して、新規賃貸契約を懸念するメールを頂戴した。
羽田新ルートの運用開始時期をまたぐ新規賃貸契約問題
これから3月の引越しシーズンを迎え、新たに賃貸契約を結ぶ人が増えてくる。賃貸契約は一般的に2年更新なので、羽田新ルートの運用が開始される2020年をまたぐことになる。都心を低空飛行する騒音などの影響で、途中で契約解除の訴訟に発展するケースが増えるのではないのかという指摘である。
羽田新ルートは「重説」に含まれているのか?
そもそも、羽田新ルート周辺のマンションを借りる(あるいは購入する)際の「重要説明事項」に羽田新ルートの件は含まれているのか?
じつは、いまから3年前(16年2月18日)の品川区議会定例会で、石田ちひろ区議(共産)が、羽田の新ルートについて、不動産取引時の重要説明事項に含まれるか否か質問している。
これに対して、品川区の都市環境部長の答弁は、航空機騒音防止法は重要事項説明の対象とはなってはいないが、判例などを踏まえると、義務ではないが説明する必要があるとしている。
都市環境部長
(前略)不動産における重要事項説明についてですが、航空機騒音防止法は重要事項説明の対象とはなっておりません。しかしながら、判例などを踏まえると、一般的に生活に支障を来す場合には、義務ではないが、説明する必要があるとされております。(以下略)
※詳しくは、「羽田新飛行ルート|不動産取引時の重要事項説明に含まれるのか?」参照。
賃貸・購入トラブルを避けるために、重説での明確化を急げ
羽田新ルート周辺の住居を借りる(あるいは購入する)際に、すべての業者が契約前の重要説明事項で「羽田新ルート物件」である旨を説明するとも思えないので、賃借人/購入者とのトラブルの可能性は大いに考えられる。
そこで、契約解除などの訴訟に発展に発展しないよう、契約前の説明が必要な事項に「羽田新ルート物件であること」を加え、政令などで明確化してはどうだろうか。
ただ、国交省は「航空機の⾶⾏と不動産価値の変動との間に直接的な因果関係を⾒出すことは難しい」(FAQ冊v5.1、P59)というスタンスを取っているので、政令化は難しいかもしれない。ならば課長文書で通知するとか……。国交省の不作為は許されない。重説での明確化が急がれる。
いずれにしても、羽田新ルートの運用によって、不動産価値を棄損されるマンション・オーナーへの対応をどうするのかという問題は残る。
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