2020東京オリンピック・パラリンピックに向けて、羽田空港の国際線発着回数を増やすため、都心上空を飛行する「羽田新飛行ルート問題」。
羽田新ルート周辺の新築マンション価格に影響は出ているのか?
以前ブログ記事で、大手不動産会社7社が共同で運営している新築マンション情報サイト「メジャーセブン」に掲載されている23区の新築マンション72件(次図)のうち、羽田新ルート直下から500m以内のエリアで販売されている物件は9件であることを紹介した。
この9件のうち、総戸数100戸以上で、かつ必要な価格表(※後述)が入手できたのは2件。
羽田新ルートがこれら2件の価格に影響しているのかどうか、確認してみた。
新築マンションA(練馬区)
羽田新ルート直下からの水平距離約300m、練馬区内に建つ大規模マンション(駅徒歩11分、総戸数109戸、7階建て、18年12月竣工)。
発売単価は、階数や方位によってバラツキがあるのが一般的だ。期を重ねるにつれて、単価差が収れんしていくのもよくあることだ。
新築マンションAの場合、発売単価の中央値は、第1期(18年6月)から第2期(18年9月)にかけて、下落するどころかむしろ若干上昇している(次図)。
このことから、練馬区に建つ新築マンションAの発売価格は、羽田新ルートの影響を受けていないといえそうだ。
新築マンションB(品川区)
羽田新ルート直下からの水平距離約450m、品川区内に建つ大規模マンション(駅徒歩5分、総戸数335戸、15階建て、18年9月竣工)。
新築マンションBの場合、発売単価の中央値は、第1期1次(17年4月)から先着順(18年8月)にかけて、概ね上昇傾向にある(次図)。
このことから、品川区に建つ新築マンションBの発売価格も、羽田新ルートの影響を受けていないといえそうだ。
現時点で新築マンション発売価格への影響が見られないのは、不動産会社のダンマリだけでなく、羽田新ルート問題を世間に知らしめたくない国(国交省)と忖度メディアの不作為の成果なのであろう。
※今回の分析に用いた発売単価は、「住まいサーフィン」で公開されている価格表を参照した。「住まいサーフィン」のデータの一部は会員(登録無料)でないと閲覧できない。念のため。