東日本不動産流通機構は4月10日、「月例マーケットウオッチ」(2026年3月度)を公表した。
以下では、同レポートおよび過去データを用いて、首都圏中古マンション市場で今、何が起きているのかを整理する。
中古マンション:首都圏概況(2026年3月)
- 成約件数:前年同月比+0.2%(17か月連続増加)
- 成約㎡単価:前年同月比+9.3%(71か月連続上昇、前月比+0.9%)
- 成約価格:前年同月比+11.6%(17か月連続上昇)
- 専有面積:前年同月比+2.2%(3か月連続で拡大)
- 在庫件数:前年同月比+1.8%(8か月ぶりに増加)
数字を並べるだけでは市場の輪郭は見えにくい。以下では「価格」「取引量」「在庫」の3点から、構造的に確認する。
① 首都圏全体|価格上昇と取引量の維持
成約単価
首都圏の中古マンション成約単価は、2019年前後から明確な上昇トレンドを維持している。2020年春の一時的な調整を挟んだものの回復は早く、その後も上昇基調は継続してきた。
2026年3月の成約単価は86.34万円/㎡。高値圏での推移が続いている。

(新築マンションの発売単価は不動産経済研究所データによる)
成約件数
価格だけでなく取引量も高水準である。
2026年3月の成約件数は5,001件。長期推移の中でも、3月としては比較的高い水準に位置する。

前年同月比は2025年以降プラスが続いており、2026年3月も+0.2%と増加を維持している。

在庫件数
在庫は2025年まで減少傾向で推移してきたが、足元では変化が生じている。
2026年3月は前年同月比で増加に転じており、価格上昇と取引量維持の中で、需給は一段の引き締まりから均衡方向へシフトし始めている。

② 1都3県|東京都への集中
成約単価
1都3県の中では、東京都の価格水準が他県を明確に上回る状態が続いている。
2026年3月の東京都の成約単価は123.13万円/㎡。神奈川・埼玉・千葉との差は長期的に拡大してきた。

成約件数
取引量でも東京都の存在感は大きい。
2026年3月の東京都の成約件数は2,583件。首都圏全体の約半数を占めている。

③ 23区|都心3区で現れた需給の変化
成約単価
23区内ではエリアごとの価格差が拡大している。
都心3区(千代田・中央・港)の成約単価は236.50万円/㎡。他エリアとは異なる角度で上昇を続けている。

- 都心3区:千代田、中央、港
- 城西地区:新宿、渋谷、杉並、中野
- 城南地区:品川、大田、目黒、世田谷
- 城北地区:文京、豊島、北、板橋、練馬
- 城東地区:台東、江東、江戸川、墨田、葛飾、足立、荒川
成約件数
高価格帯にもかかわらず、都心3区の成約件数は大きく落ち込んでいるわけではない。流動性は一定程度維持されている。

在庫件数
在庫にはエリア差が現れている。
23区全体では大きな増減は限定的である一方、都心3区では2025年以降、在庫が増加方向へ転じている。
価格上昇が先行したエリアで、需給のバランスが緩み始めている可能性がある。

★まとめ|強い市場の中で生じた需給の転換点
- 首都圏全体:価格上昇と取引量維持は継続。在庫は増加に転じ、需給は均衡方向へ。
- 東京都:単価・件数ともに高水準で推移し、市場の中心である構図は変わらない。
- 都心3区:価格上昇が続く一方で在庫が増加。需給の緩みが局地的に発生。
現時点では市場全体は強い状態を維持している。ただし、在庫の反転という変化は、価格主導の局面から需給調整局面への移行を示唆する可能性がある。
この変化が他エリアへ波及するのか、あるいは都心部に限定されるのか。今後の月次データの連続性が重要な判断材料となる。
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