港区のマンションで管理規約を改正して「民泊」を禁止した後も民泊行為を続けているとして、管理組合が部屋の所有者に中止を求めた訴訟で10日、民泊の差し止めと弁護士費用の支払いを命じる判決が言い渡された。
マンション民泊 差し止め命令 (日経記事)
港区のマンションで管理規約を改正して「民泊」を禁止した後も民泊行為を続けているとして、管理組合が部屋の所有者に中止を求めた訴訟で10日、民泊の差し止めと弁護士費用の支払いを命じる判決が言い渡された。
マンション民泊 差し止め命令
東京地裁 規約で禁止後も営業で東京都港区のマンションで管理規約を改正して「民泊」を禁止した後も民泊行為を続けているとして、管理組合が部屋の所有者に中止を求めた訴訟で、東京地裁(浦上薫史裁判官)は10日までに、民泊の差し止めと弁護士費用の支払いを命じる判決を言い渡した。近年、規約改正で民泊を禁止するマンション管理組合が増えており、事業者は対応を求められそうだ。
判決によると、問題となったマンションの一室は2015年10月に神奈川県鎌倉市の男性が購入。民泊仲介最大手の米エアビーアンドビーに1泊約1万3千円で案内が掲載された。外国人の家族連れなどが滞在し、夜間にバルコニーで会話したり、ごみを分別せずに捨てたりして住民から苦情が出るようになった。(以下略)
(日本経済新聞 8月11日)
提訴から差し止め判決まで14か月
日経記事によれば、鎌倉市の男性が問題のマンションを購入し、民泊を始めたのが15年10月。その半年後に管理組合の臨時総会で規約が改正され、民泊の禁止と第三者に貸し出す場合は1か月以上の規定が追加された。
管理会社は、16年11~12月に複数回、民泊行為の中止を申し入れたにもかかわらず、止まらなかったため17年6月に提訴。
そして今回8月10日、管理規約で新設された違約金規定に基づき、民泊の差し止めと弁護士費用97万2千円の支払いが命じられた。
以上の経緯をまとめたのが次表。
民泊開始から差し止め判決まで2年10か月も要している。提訴から差し止め判決までに限っても14か月。
違法民泊を排除することがいかに大変なのか、よく分かる事案。
違法民泊の運営をしていた男性に命じられたのは弁護士費用97万2千円。
2年以上にわたって違法民泊(1泊約1万3千円)を運営していたのだから、十分に元はとれたのではないだろうか。
民泊絡みの裁判沙汰は5件目
民泊絡みの裁判沙汰は、これまでに4件報じられている。
- 17年8月大阪:無断民泊 差し止め提訴!ミナミの分譲マンション
大阪・ミナミの分譲マンションの管理組合が8月3日、区分所有者5人・法人や仲介業者らを相手取り、民泊の差し止めと計約3200万円の損害賠償を求めて大阪地裁に提訴。
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目黒区の分譲ワンルームマンション(12階建て、46戸)の管理組合が違法民泊を提訴。
⇒関連記事「目黒区で「民泊」無断営業停止求めて提訴」 - 17年1月大阪:マンションでの民泊を禁じる初の司法判断
マンションでの民泊を禁じる司法判断が初めて大阪地裁で下された。
⇒関連記事「違法民泊ホストに逆風!大阪地裁判決、京都市「民泊110番」」 - 17年1月大阪:大阪地裁 違法民泊に50万円の賠償命令
大阪地裁は、大阪ミナミのマンションで違法民泊を運営していた男性に50万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
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マスメディアに取り上げられたのは5件目だが、氷山の一角……。