東京都議選(6月23日告示、7月2日投開票)まで、1か月を切ったところで、都民ファーストの会 東京都議団幹事長 音喜多 駿氏(1期)の新書『東京都の闇を暴く(新潮新書)』を読了。
世間で騒がれている豊洲問題よりも、”都議会の闇”に興味を持った。
「都議会のドン」とは
「都議会のドン」を通さずしては物事が何一つ進まないという。
「都議会のドン」とはどんな存在か
(前略)彼は都議会では質問に立つことも、表舞台の交渉事に出てくることも一切ありません。しかしながら、「内田茂さんは知っているのか」が合言葉になり、彼を通さずしては物事が何一つ進まないと言われるほど、議会のみならず都政に大きな影響を及ぼしてきました。(後略)
(「第2章 東京都議会の闇 」P58)
都議会のドンとして、小池知事誕生後たびたびマスメディアに登場していた内田茂氏は、今回の都議選に出馬せず、議員を引退することを表明。
その内田氏の後任として「2代目」の都議会のドンは、足立区選出の高島直樹氏(4期目)だという。
「ドン」の権力はどう受け継がれるのか
(前略)内田氏の後任として自民党都連幹事長に指名されたのは、高島直樹氏です。足立区から選出され、都議会議員は4期目。かねてから内田氏の右腕と目されていた人物で、この人事は多くの人にとって想定されていたことと言えるでしょう。
とはいえ期数やキャリアだけなら、高島都議より上という議員もたくさんいます。そのため彼を「2代目」とするために、都議会の中では異例の事態が発生しました。
というのも、ドンの権力の源泉となる都連幹事長のポストは、都議会で最高の名誉職である都議会議長経験者でなければならないという、暗黙の慣習があります。高齢になり、自身の後継者を早急に作りたかった内田氏は2014年10月、任期中の議長を強引に退任させ、高島氏を議長ポストにねじ込んだのです。この不可解な人事には「都議会議長の権威を失墜させるもの」「ポストのたらい回しは許されない」として、都議会自民党・公明党を除くほぼすべての会派が反発し、議長選挙では三分の一近くの棄権票(≒反対票)が投じられる結果となりました。(後略)(同 P68-69)
2代目ドン高島直樹氏の戦績
「2代目」の都議会のドンと名指しされた自民党の高島直樹氏都議のこれまでの戦績を確認しておこう。選挙区は足立区(定員6名)。
東京都選挙管理委員会のホームページに公開されている、過去の都議会議員選挙の結果から、過去5回の都議選の得票数・率をグラフに整理した(次図)。
1997年の都議選で5位(得票率12.5%)で初当選。3期連続で下位で当選したあと、2009年保守系4候補で自民党支持層の票を奪い合い落選。2013年に自民党公認で足立区選挙区から出馬し、トップ当選。
2009年の都議選は自民党に逆風が吹いた年で、内田茂氏もこの年の選挙で落選している。
さて今回の都議選で、足立区53万人の有権者はどのような判断を下すのか――。
本書の構成
全196ページ。
- 第1章 小池都知事誕生までの暗闘
- 第2章 東京都議会の闇
- 第3章 都議会議員の日常
- 第4章 都政のブラックボックス
- 第5章 東京都の大問題