『2040年全ビジネスモデル消滅』というショッキングな書名。
「マクドナルド型(質より量)」と「ディズニー型(量より質)」を対比した帯に惹かれて、書店で購入。税込み864円。
ベストセラー『2020年マンション大崩壊』の著者牧野知弘氏が、両ビジネスモデルを切り口に、再び不動産問題に挑んでいる。
千葉県の松戸市や船橋市、習志野市では、中古マンションが198万円などの「売り出し価格」で販売されている。「量的充足」を満たすマクドナルド型不動産のビジネスモデルはすでに崩壊しているという。
「量的充足」を満たすために、都心部から郊外に放射状に伸びる鉄道沿線の土地を次々に開発し、都心に通うサラリーマンのために住宅を供給していく、マクドナルド型不動産のビジネスモデルは、もうすでに崩壊しているのです。
財産価値を失った不動産は、今後どのような評価を顧客から突き付けられることになるのでしょうか。少なくとも、お父さんが一生をかけて働いてやっと返済できるような、巨額の住宅ローンを組んでまで、取得したいという代物には多くの住宅が該当しなくなることだけは明らかなのです。
(「住宅に価値を見出せなくなった日本」P144-145)
2040年は、不動産価値が二極化している時代だという。
不動産は、「量的充足」を追いかけた、マクドナルド型ビジネスモデルが崩壊し、その後を引き継いだディズニー型ビジネスモデルは、数として顕著になった富裕層と超富裕層だけを相手にするようになっていることでしょう。
その他大勢の不動産は、マクドナルド型ビジネスモデルとして認定されて、価値が暴落していく運命にあるのです。
(中略)
不動産は、ディズニーランド型ビジネスモデルとして価値を向上させ続けていく不動産と、コモディティ商品として、価値が暴落していくマクドナルド型ビジネスモデルとに激しく二極化していく運命にあります。
(「不動産価値の激しい二極化時代の到来」P217-218)
分譲マンションは価値の維持ができなくなるが、賃貸マンションは不動産価値を維持向上させ続けられる、という至極まっとうな指摘にはもっと耳を傾けていいだろう。
個人が区分所有で所有し続けるようなマンションは、所有者の新陳代謝が行われずに次第にその価値の維持ができなくなっていきます。
いっぽうで、しっかりとした企業などが所有する賃貸マンションは、必要な修繕や維持更新が行われ、そこで生活するために必要なあらゆるサービス機能を付加することで、不動産価値を維持向上させ続けていくのです。
(「同」P218)
全7章。
第4章までは、マクドナルドとディズニーランドが日本に導入された経緯が詳述されている。昔のことを知らない若い人たちにはそれだけでも読む価値があるだろう。
第5章以降に、両ビジネスモデルを切り口に、不動産の来し方行く末が記されている。
- 第1章 マクドナルドが目指した「量的充足」社会の実現
- 第2章 ディズニーランドがこだわる「質的充足」ビジネスの展開
- 第3章 マクドナルドはなぜ行き詰ったのか
- 第4章 ディズニーランドはなぜ三年連続で値上げできるのか
- 第5章 マクドナルド型ビジネスモデルに見る今後の価値下落
- 第6章 ディズニー型ビジネスモデルによる価値創造
- 第7章 ディズニーの夢から醒めたとき
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(本日、マンション広告なし)