ど派手な書名に惹かれて、アマゾンで購入。税込み842円。
経済ジャーナリストとして、ときおりテレビでも見かける荻原博子氏の新書『生き返るマンション、死ぬマンション』(文春新書)2016/12/20。
全7章。
目次からでは分からないのだが、各章とも具体的な事例を中心に書かれている。
柔らかくて臨場感あふれる文章なので、頭の中で具体的な状況をイメージしながらスラスラ読み進めることができる。
第1章 なぜ買ってしまったのか――50代の生活を破壊するマンション負債
冷やかし半分で電話した営業マンに背中を押されて、1999年に多摩地区で3,500万円の新築マンションを購入した松井和夫さん(仮名)。
52歳になって、子どもの教育費と住宅ローンの返済に追われ、貯金も尽きかけているという。
第2章 失われる資産価値――続発する欠陥マンション
昨年マスコミを賑わせた、「パークシティLaLa横浜」の傾斜マンション事件を中心に描かれている。
第3章 建替えという高いハードル――耐震偽装マンションの再生に学ぶ
耐震偽装事件の第1号のレッテルを貼られた「グランドステージ池上」が、建て替えコンサルタント田村文男氏の奮闘により建て替えられるまでの経緯が詳しく描かれている。
第4章 あなたのマンションは再生可能か?
それぞれの部屋に別々のオーナーがいる築47年の賃貸物件や、築47年の投資用物件など、維持管理にお金がかけられていない凄まじい老朽化マンションの実態。
第5章 資産価値を守る――マンションのメンテナンス最前線
塔屋部分のタイルが剥落して発生した死亡事故や、換気がうまくいかず風呂場の不完全燃焼で発生した死亡事故など、マンションの老朽化による事故事例の紹介。外断熱改修工法によってマンション外壁の延命化を図っている事例の紹介。
第6章 マンション管理の経営的視点――「勝ち組マンション」になるために
築8年「ブリリアマーレ有明」(33階建て、総戸数1,085戸)の理事長である星川太輔氏への取材記事を中心に、資産価値を落とさないためのマンション管理のあり方が紹介されている。
第7章 築41年の中古物件なのに資産価値が上がり続ける秘密
京都にある築41年の「西京極大門ハイツ」(7階建て、総戸数190戸)の管理組合法人理事長の佐藤義雄氏への取材記事を中心に、資産価値が上がり続ける秘密が解き明かされている。
マンション管理組合の関係者には必読書だと思う。