ニューヨーク州では2010年に施行された法律で、居住者不在のマンションの部屋を30日未満で貸し出すことを禁止していた。
しかしながら、違法貸し出し物件がAirbnbサイトに溢れていたことから、サイトに掲載する行為に対して、最高7,500ドルの罰金を科す法案がNY州知事の署名により10月21日成立。11月1日から施行される。
これに対して、Airbnbはさっそく提訴。
- 民泊規制強化法を制定 NY、エア社は提訴へ(産経記事)
- NY州知事が署名した「アンチAirbnb法」の罰金は3段階
- Airbnbが連邦地裁に提訴した主張は2点
- 日本の民泊新法への影響は?
- あわせて読みたい
民泊規制強化法を制定 NY、エア社は提訴へ(産経記事)
民泊規制強化法を制定 NY、エア社は提訴へ
米ニューヨーク州は21日、一般の人が空き部屋を他人に貸し出す「民泊」の規制強化法を制定した。違法物件をウェブサイトなどに掲載するのを禁止するのが柱。クオモ知事が同日、法案に署名した。
民泊仲介サイト大手エアビーアンドビーは同法の差し止めを求めて提訴すると表明した。民泊のルールづくりを巡る論争は続きそうだ。(以下略)
(産経ニュース 10月22日)
もう少し詳しく見てみよう。
NY州知事が署名した「アンチAirbnb法」の罰金は3段階
法案(NY州上院法案S6340A)をひも解くと、罰金は3段階で課せられていることが分かる。
すなわち、住居を短期滞在(30日未満)のために貸し出すことを目的とした広告をAirbnbなどに掲載した者に対し、1回目の違反では最高1,000ドル(約10万円)、2回目には最高5,000ドル(約52万円)、3回目以降は最高で7,500ドル(約78万円)の罰金が科せられる。
SUMMARY OF PROVISIONS :
Section one amends the Multiple Dwelling Law by adding a new section 121. It makes unlawful to advertise the occupancy or use of dwelling units in a class A multiple dwelling for purposes other than permanent residence.It also contains civil penalty of not more than $1,000 for the first violation, $5,000 for the second violation, and $7,500 for the third and subsequent violations.
Airbnbが連邦地裁に提訴した主張は2点
ニューヨーク・タイムズによれば、Airbnbは10月21日、新法は違法だとして、ニューヨーク州南部の連邦地裁に訴状を提出した。
Airbnbの主張は次の2点:
- 憲法で保障された言論の自由とデュー・プロセス条項(適正手続なしに個人の財産等を奪ってはならない)に違反している
- 通信品位法により付与されている保護(ウェブサイトはユーザーによって発行されたコンテンツに対して責任を負うことはできないとする連邦法)に違反している
In its lawsuit, filed Friday afternoon in Federal District Court in the Southern District of New York, the company contends that the law violates the company’s constitutional rights to free speech and due process, as well as the protection it is afforded under the Communications Decency Act, a federal law that says websites cannot be held accountable for content published by their users.
(Airbnb Sues Over New Law Regulating New York Rentals|NYT 10月21日)
日本の民泊新法への影響は?
さて、民泊を推進している官邸は、このNYの動きをどうみているのか?
特区民泊では、罰則規定が設けられていない(国民の声は無視?たった6日間の民泊パブコメ)。
民泊新法においては、「民泊サービス」のあり方に関する検討会最終報告書で「罰則規定を設けるべき」とされているが、その後具体的な検討が進んだという話は聞こえてこない。
年末に向けて衆議院解散の風が吹き始めたので、年間営業日数の上限「180日以下の範囲内」だとか、自治体の裁量権をどうするかだとか、民泊新法の制定どころではないのかもしれない。
豊洲移転や東京オリンピックの施設・予算見直しでハチャメチャ状態の小池都知事に、民泊都条例の制定を期待するのは無理か――。
あわせて読みたい
(本日、マンション広告なし)